fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「チェンジリング」(2008)</span>


クリント・イーストウッドが、またまた映画ファンの琴線に触れ、魂を揺さぶるような大傑作を
撮りましたね。このブログ「映画スクラップ帖」の訪問数No.1のmorebounsさん(モアひゃん)が、
「絶対にみろよ!」(笑)と自身のブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/morebouns/39265044.html)
ですすめていましたので、見ないわけにはいかないです。

イーストウッドは、1950年代、60年代と活躍し、70年代は俳優のかたわら監督業にも進出し、
一時期、市長に就任、90年代には、監督、俳優として引き続き活躍しています。2000年以降も
監督を中心に秀作・良作を撮り続けていますね。俳優と監督として、これほど長く第一線にいた
スターはいなかったように思います。

イーストウッドは、1950年代の末ごろから数年間、TVの西部劇「ローハイド」で、日本でも絶大な
人気を博しました。数年後にこのTVシリーズが打ち切られたところに、舞い込んできたのがイタリア
製作者から「スペイン」で撮影するという西部劇の話だったといいます。

TVスターというのは所詮2流のスターだと思っていたイーストウッドは、キワモノとの思いもあったようですが、主役ほしさに引き受けたのが、黒澤明の「用心棒」の焼き直し西部劇「荒野の用心棒」(1964)で、これが世界的な大ヒットとなりました。

その後3-4年「マカロニ・ウエスタン」のイーストウッドとして名を馳せ、1970年代になると、
「ダーティーハリー」キャラハン刑事役でまたまた大人気となりました。

そして、いまやハリウッドの巨匠とまで言われ尊敬されているのが、現在のイーストウッドです。

チェンジリング」では、監督だけでなく音楽も担当して、丁寧に描いています。いまのところ
この映画は今年の「My No.1」の地位を当分守りそうです(よほどの問題作・話題作がない限りは)。

「追加」・・・しかし、その後「グラン・トリノ」がでて、そちらにNo.1を(笑)。


時は1928年,ロサンゼルス。
翌年が大恐慌の年。恐慌をはさんでの数年間が描かれていくわけですね。
時代背景、風景、車などが実にリアルです。

この映画では、ロサンゼルス市警の腐敗が救いようのないほどに描かれています。警察に
にらまれると、命も失うという有様で、医師、病院などはまったく、警察の意向のまま。
腐敗の温床のような警察組織に歯止めをかける勢力はあるのか・・・。

恐ろしいほどの非人道的な警察などの横暴に対して立ち向かう、民衆、教会牧師などの
「良心」のパワーとのバランスの描写が、映画を見ていて、実に感動的。正義と悪の戦い。
絶望の母親もそれらに勇気付けられ、生きる希望を見出していく。

映画の冒頭、母親は息子一人と暮らすシングルマザーということがすぐわかるが、子供が父親に
ついて、母親に尋ねるシーンがある。「パパは、どうしたの?」。

母親は「小包の箱が届いたの。 ”責任“という箱が。それを(パパは)受け取ることができ
なかったのよ」と説明する。さりげない表現だが、含蓄がある言葉だ。

アンジェリーナ・ジョリーが、すばらしい渾身の演技だった。
良心に満ち溢れた牧師を演じたジョン・マルコヴィッチもすばらしい。
非情な警部役のジェフリー・ドノヴァンは、まったく小憎らしい役どころだが、
こういう敵役がいるから映画はおもしろい(笑)。病院の看護婦などは、セリフは少ないが表情や
有無を言わせぬ行動など、鬼気迫るものがあって、うなってしまうほど、引き込まれた。

想像を絶する「真実の事件」については触れませんが、ネタばれになりそうですが、絞首刑を
目を背けることなく描いたのもめずらしい。

この映画は、タイトルのChangelingとでたあとで「A True Story」とでる。
本当にあった事件ということで、映画を見て、いっそう恐ろしさが増しました。

ただ、「救い」があったのには、ほっとした気分です。

ロサンゼルス市警の腐敗ぶりは、50年代~60年代までも続いていたようで、
そちらは「LAコンフィデンシャル」で描かれていました。

☆☆☆☆(4つは最高)(5つというのがあるとすれば、生涯で3本くらい)