映画「ナイアド ~その決意は海を越える」(原題:Nyad、2023)を見る。主演はアネット・ベニング(65歳)とジョディ・フォスター(62歳)。
60歳をを過ぎて“水泳界のエベレスト” とも言われるキューバからフロリダまでの約180キロに及ぶ海峡を泳破するという無茶ぶり計画に成功したという不屈のスイマーの挑戦の実話を描いている。
アネット・ベニングはアカデミー賞主演女優賞にノミネートされている。ほかに「哀れなるものたち」のエマ・ストーンと「落下の解剖学」のサンドラ・ヒュラー、「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」のリリー・グラッドストーンなど強敵がひしめくカテゴリーで果たして…。
大谷翔平が袖を通したドジャースのTシャツのポニー(ジョディ・フォスター)
・・・
マラソンスイマーを引退して30年、スポーツジャーナリストとして輝かしいキャリアを築いていたダイアナ(アネット・ベニング)だったが、60歳にしてこれまで手の届かなかった夢を叶えたいという思いが膨らむ。
それはボートやヨットではなく、キューバからフロリダまでの約180キロに及ぶ海峡を泳いでしまうという信じられないような挑戦だった。
サメよけのケージを使わずに泳ぎ切るという史上初の快挙を成し遂げるため、ダイアナは親友でコーチのボニー・ストール(ジョディ・フォスター)と献身的なセーリング・チームと共に、4年に及ぶ波乱の旅路を歩み出す──。
そして、2013年9月2日、米国人女性ダイアナ・ナイアドはキューバ―米国フロリダ間、約180kmを自力で泳ぎ切った。ナイアドの年齢はなんと64歳。
しかも、サメよけのケージ(泳者を保護し荒海で泳ぎを補助する働きもある)を使わずに達成した史上初の快挙だった。還暦を過ぎた女性が人類史上、誰も成し得なかった偉業をやり遂げたのだ。
・・・
30年前のフロリダ海峡横断の失敗に再挑戦するナイアドと親友でコーチとして支えるボニー。
還暦を過ぎてなお「バイタリティ」(死語)がすごい。
監督はアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した「フリーソロ」(2018)のコンビ、エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィとジミー・チンで、「ナイアド~」が初の劇映画となる。闘志と友情がもたらした偉業の物語
物語は、20代のナイアド本人の記録映像から始まる。ナイアドという姓はギリシャ語で「水の精霊」。その名に相応しく、外洋遠泳の世界記録を次々と打ち立てた。
そして28歳の時、“最後の挑戦”としてフロリダ海峡の横断に挑む。予測困難なメキシコ湾流の渦や高波に加え、サメやクラゲの大群が待ち受ける。
「無謀すぎると分かっているけど、私ならできると思う」と挑戦。
しかし、その挑戦は失敗。約30年後、還暦を迎えたナイアドをアネット・ベニングが演じる。アネット・ベニングといえば「バグジー」や「アメリカン・ビューティ」など正統派美人というイメージだったが「ナイアド」では、そんなイメージはまったく「ナイ」やど。
鏡に映る顔には皺が目立つ。ナイアドは海峡横断挑戦後の自身のインタビュー映像を見返す。そして、ナイアドは60歳にして再挑戦の決意を固める。2度目は61歳の時。あえなく失敗。7週間後、62歳で3度目の挑戦。クラゲに刺され失敗。4度目は雷雨に襲われ失敗…。
失敗は成功の基。5度目の挑戦でついに…。
幼少期に受けた性的虐待。親子関係の心の傷。そうしたトラウマが、感覚が遮断された外洋で幻覚となって蘇る。
一方で、孤独な闘いを支えるかけがえのない友人や仲間たちの存在がナイアドを前へと進める。人間が持つ底知れない力を感じさせてくれる一作。
ただ、ひたすら海で泳ぐシーンなどが多く、睡魔に襲われそうになるが、5度目の正直で目標の達成感が最後に伝わってくる。
ジョディ・フォスターもしわしわの60代前半で、スイマー・コーチを演じている。映画のオープニングのイントロでかかる曲はなんと名作映画の主題歌のひとつが流れる。
やられたぁというすばらしさ(「卒業」の「サウンド・オブ・サイレンス」)。
■「にほんブログ村」にポチッと!。