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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「美しき諍い女(いさかいめ)」(原題:La Belle noiseuse、1991)を見る。

 

美しき諍い女」(原題:La Belle noiseuse、1991)を見る。ジャック・リヴェット監督が、バルザックの短編小説から発想を得て現代を舞台に撮り上げた映画。上映時間が4時間(3時間58分)という長さ。2時間ほどで、第二部へという構成だった。

これまでうっかり「諍(いさか)いの女(おんな)」とばかり思っていたが「いさかいめ」と読む。タイトルの「諍い女」とは、17世紀に天外な人生を送った高級娼婦カトリーヌ・レスコーのことで、喧嘩っ早いことからそう呼ばれていたようで、主人公の画家フレンフォーフェルは、このレスコーについての本で読んで、レスコーを描こうとしたのだった。


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【ストーリー】
画商ポルビュス(ジル・アルボナ)は旧友でかつての恋仇だったフレンフォーフェル(ミシェル・ピッコリ)の邸宅に新進画家ニコラ(ダヴィッド・ブルツタイン)とその恋人マリアンヌ(エマニュエル・ベアール)を招待した。

フレンフォーフェルは10年ほど前、妻のリズ(ジェーン・バーキン)をモデルに描いた自らの最も野心的な未完の傑作「美しき諍い女」を中断して以来、絵を描いていなかった。

ニコラとマリアンヌに出会ったフレンフォーフェルは、ポルビュスの計らいもあってマリアンヌをモデルにその最高傑作を完成させる意欲を奮い起こした。

最初はモデルになることを嫌がったマリアンヌだったが、ニコラの薦めもあり5日間で完成させることを条件にしぶしぶ了承した。

だがフレンフォーフェルの要求は彼女の考える以上に苛酷なもので、肉体を過度に酷使する様々なポーズを要求され、さらには彼女の内面の感情そのものをさらけ出すことを求められるのだった…。

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4時間という時間がとにかく長すぎる。しかも、画家フレンホーフェルがペンにインクをつけて、スケッチブックにペンをこする音が延々と続く。スケッチを描くギシギシというギザギザ音が耳につく。見ているほうもかなり忍耐がいる(笑)。

子供向けの本を出版しているというマリアンヌがフレンホーフェルのモデルとなったのは、恋人で若い画家のニコラ(ダヴィッド・バースタイン)の助言があったからで、当初は「どうせ裸を描くんでしょ」と乗り気ではなかった。

 

 

案の定、最初は衣類をまとっていたが、マリアンヌ自ら全裸となり、様々なポーズをさせられるが、マリアンヌにとっては、それはまるで拷問にも近いものだった。

画家がモデルを待たせて「いつもモノを探し回っている」と自ら語っているように、物を探したり、置き場所を替えたりと無言で動き回るシーンも多い。この辺りはフランスの名優ミシェル・ピコリの独壇場かもしれない。

「体の中にある血や肉を洗い出す」というのを目指しているが、相当時間をかけた挙句「全然うまくいかない」と最後は投げ出してしまう。モデルが「終わり?」と聞くと「そうだな」というので、モデルがお役御免で身支度をして帰ろうとすると「また明日10時に待っている」だった。

画家とモデルの闘い、我慢比べの様相になっていくのだ。

長い闘いの果てにフレンフォーフェルはついに絵を完成させるが、誰の目にも触れさせないように壁の中に埋め込んでしまい、代わりの絵を一気に描き上げた。

真の「美しき諍い女」を見たのはフレンフォーフェル以外には、アトリエを覗いたリズだけであった。

次の日、代わりの「美しき諍い女」のお披露目が行われた。緊張感も和らぎ、2組のカップルにポルビュス、ジュリアンヌも加わり祝いのワインが開けられた。それぞれの思いを永遠に胸に秘めながら… 。
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モデルを演じるエマニュエル・ベアールは、当時27歳で、綺麗でナイス・プロポーションの持ち主。こんなに綺麗な女性が旦那が描く絵のヌードモデルだったら妻リズも嫉妬する。このモデルの彼氏も彼女のヌードを老画家に描かれるなんて嫉妬に狂うのも理解できる。

エマニュエル・ベアールが裸体を惜しげもなく見せている。ただべアールが動くたびにボカシが入るのは、映倫のせいか不自然(笑)。

建築家志望だったリズ(ジェーン・バーキン)は、画家フレンホーフェルと結婚してモデルを務めていたが、夫婦関係は冷え切っていて微妙。

ジェーン・バーキンといえば「太陽が知っている」でアラン・ドロンと「カトマンズの恋人」では、ルノー・ベルレーと共演した女優。数十年ぶりに観て懐かしい印象。

レンホーフェルは、友人の画商には、別の絵を急遽準備して、これが完成品だという。リズから「これでいいのか?」と問われた画商は「絵なら何でもいい」だった(笑)。リズのラストの言葉は、いろいろな意味を含めて「驚くことばかりよ」だった。

レンホーフェルのデッサンの絵は、決してうまいとは言えず、むしろ下手〇〇な部類かと思うが、実際にミシェル・ピコリが描いているようなので「絵になっている」ので、あれでいいのか。


<キャスト>
■マリアンヌ(エマニュエル・ベアール


作家志望の若い女。画家である恋人のニコラにくっ付いて、フレンホーフェル邸を訪れた。
エドゥアール・フレンホーフェル(ミシェル・ピッコリ


使用人を雇い豪邸に暮らす有名な画家。バルタザールから、マリアンヌをモデルに未完成の絵を完成させてはどうかと持ち掛けられる。
■リズ(ジェーン・バーキン


エドゥアールの妻。10年前自分をモデルに描かれた絵が未完成のままで、夫との関係がギクシャクしている。
■ニコラ・ヴァルテル(ダヴィッド・バースタイン)


若い画家。マリアンヌの恋人。マリアンヌがフレンホーフェルのモデルになることを快諾したが、次第に2人の関係性へ不安を抱く。
■バルタザール・ポルビュス(ジル・アルボナ)
化学者であり、絵画の収集家。フレンホーフェルの新作を買い付けようと、マリアンヌをモデルに推薦した。

 

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