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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ラスト・ムービースター」(原題:The Last Movie Star, 2017)を見る。

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ラスト・ムービースター」(原題:The Last Movie Star, 2017)を見る。2018年に亡くなったバート・レイノルズ遺作となった作品。レイノルズの晩年とかぶるような作品で、老人と運転手のヤンキー娘との奇妙な2人のロードムービーとして行く先々での出会いなどが心にしみる佳作。この映画の2年後くらいに作られた「グリーン・ブック」を彷彿とさせる(guchさんにはオススメです。笑)

バート・レイノルズの若い時と現在の姿が合成で映像化されていて面白い。映画の中で、デ・ニーロ、アル・パチーノなどは役柄の選択が正しかったと評価する一方で、バート演じるエドワーズは自身の役の選択を間違ったと後悔するといった一面もあった。

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かつて一世を風靡した映画界のスーパースター、ヴィック・エドワーズ(バート・レイノルズ)のもとに、ナッシュビルのある映画祭から功労賞受賞の招待状が届く。
歴代受賞者がロバート・デ・ニーロクリント・イーストウッドがいると聞いて、しぶしぶ参加したが、似て非なる小規模の自主開催のイベントだった。

「カンヌ」「ベネチア」のような映画祭かと思ったら、騙しに近い名もない、映画ファンの自主上映の映画祭だと知ると、エドワーズは憤慨する。

映画熱心な参加者ばかりで、ストレートな質問も投げかけられる。

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つまらないちっぽけな映画祭に来てしまったと悔しがるエドワーズだったが、映画祭が行われていた場所は、エドワーズが生まれ育った街であるノックスビルに近くにあることから、運転手役のリル(アリエル・ウィンター)に命じて向かった先は、自分が育った家や大学のフットボールで活躍したスタジアム、さらに最初の妻にプロポーズした岸辺などだった。

最初の妻は認知症を患っていて「どちら様?」状態だったが、妻と出かけた海辺を案内すると、わずかに思い出したようだ。

エドワーズのために模様してくれた、小さな映画祭のありがたさも理解して、特別賞受賞式に出席し、軽視していたことを詫びるのだった。
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エドワーズは、過去の栄光のプライドがあって、映画祭の場所に到着して、リムジンの出迎えがあると思ったら、おんぼろ車で、ドライバーといえば、鼻にピアスでタトゥーいりのイカレたヤンキー娘リルだった。リルは、うまくいっていない彼氏との電話のやり取りに夢中で「ジジィを迎えるところ」などと、頼まれ仕事をいやいやこなしている。

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リルが隣で運転していると思ったら、いつのまにかリルが過去の自分に変わっていて猛スピードで運転していたパトカーに追われる羽目になる

一方、ただのジイさんかと思ったら、行く先々で、エドワーズを知る人々から大歓迎を受けるので、リルもエドワーズの凄さに気づき、だんだんエドワーズと心を通わせることになる。

エドワーズが故郷に戻った理由のひとつは、最初の妻が認知症で入院していて、妻と自殺した娘を捨てたことに対して後悔の念と詫びるためでもあった。

宿泊先のホテルで、かつて利用したことがある有名ホテルに行き、受付で予約していないのに予約しているると言い張ると、担当の女性は頑固な客には対応しかねると思い「上のものと相談する」と言ってマネジャーを連れてくる。

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隣でマネージャーの対応をしている女性フロント・スタッフの表情の変化も面白い。

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「えっ」というフロント女性の顔(笑)。

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(事情は飲み込めないものの)ニコッとする女性スタッフ。

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エドワーズって何者なんですか?」と聞いてきた女性スタッフに「生ける伝説だ」と応えるマネジャー。

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このマネジャーの対応がなかなか感動的だった。サービス業は、客のクレームや無理難題などにも対応しなければならない。”お客様は神様です”(三波春夫)か(笑)。

人種問題もさりげなく触れている。1950年代は、ユダヤ人の俳優は、名前を変えて出演していたという。エドワーズ自身も、エドワーズは、後から付けた名前だった。

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トニー・カーチスの名前はバーニー・シュワルツだ(ユダヤ系)。

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バート・レイノルズは、1936年2月11日生まれ。フロリダ州で育ち、大学でアメリカンフットボール選手として活躍したが、けがで演劇へ転向。ミュージカル出演などをへて、1960年代にはTVシリーズガンスモーク」に出演。1972年のアドベンチャー映画「脱出」で映画スターとしてブレイクを果たし、コスモポリタン誌ではヌードを披露。セックスシンボルとして地位を確立した。

代表作には「ロンゲスト・ヤード」(1974)「トランザム7000」(1977)や「キャノンボール」(1981)などがある。1997年のポール・トーマス・アンダーソン監督作品「ブギーナイツ」でポルノ監督役を演じ、アカデミー賞助演男優賞ノミネートとゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞、復活を印象づけた。

レイノルズのキャリアのなかで話題になるのは、出演を断った役柄で、ジェームズ・ボンドハン・ソロを断った話が有名。「愛と追憶の日々」(1983)はジャック・ニコルソンが代わりに出演しアカデミー賞主演男優賞を受賞。

2018年9月6日、フロリダ州の病院で死去。クエンティン・タランティーノ監督の最新作で、ブラッド・ピットレオナルド・ディカプリオが共演する「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(」に出演が決まっていたが、出演シーンは撮影されていなかった。

主な出演者:

ヴィック・エドワーズ: バート・レイノルズ:往年の映画スター。

リル: アリエル・ウィンター:映画祭期間中のヴィックの運転手。

ダグ: クラーク・デューク:映画祭主催者。リルの兄。

シェーン: エラー・コルトレーン:映画祭のスタッフ。リルの幼なじみ。

フェイス: ニッキー・ブロンスキーニケライ・ファラナーゼ):映画祭のスタッフ。

ソニーチェビー・チェイス- ヴィックの親友。

クラウディア: キャスリーン・ノーラン:ヴィックの最初の妻。