「現地(にいない)特派員」(原題:Special Correspondents、2016)を見る。米加英合作のコメディ。監督はリッキー・ジャーヴェイス、主演はエリック・バナ、リッキー・ジャーヴェイス。共演はヴェラ・ファーミガなど。
2009年公開のフランス映画「Envoyés très spéciaux(Special Correspondents)」のリメイク。ポスターを一見すると「現地特派員」のように見えるが小さな文字で「(にいない)」とあり、ここがミソ。期待しないで見たらおもしろかった。
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「カプリコン・1」では宇宙探索の様子をスタジオででっち上げていたが、それに似た設定だ。ただ「現地(にいない)特派員」では、ごまかし通すためには、なんとかして「現地」に行かなければならない状況に追い込まれるところが面白い。
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警官になりすまし事件現場に入るフランク(中央)と同僚のクレア
ラジオ局に勤めるフランク・ボネヴィル(エリック・バナ)は警察関係者になりすまして殺人事件の現場に潜入することに成功した。自分が身分を詐称したという証拠を隠滅した後、ボネヴィルは現場を立ち去り、その足でラジオ局へと向かった。
特ダネをすっぱ抜いたボネヴィルは同僚たちから称賛されたが、上司のマラード(ケヴィン・ポラック)からは違法行為を厳しく叱責された。
その夜、フランクの同僚であるイアン・フィンチ(リッキー・ジャーヴェイス)は妻のエレノア(ヴェラ・ファーミガ)を局のパーティーに連れて行ったが、急に仕事が入ったために退席せざるを得なくなった。
その後、エレノアはフランクに会った。フランクはエレノアが既婚者であると知らないまま、彼女と一夜を共にしてしまった。
翌日、フランクとイアンはマラードからエクアドルの紛争を現地で調査するように命じられた。しかし、イアンはエレノアに離婚を切り出されたことで頭がいっぱいになっており、仕事どころではなかった。
後に、イアンが落ち着いたため、フランクは彼と共にエクアドルへ向かうことになった。ところが、空港到着後に、イアンがパスポートと飛行機のチケットをゴミと間違えて処分してしまったことが判明する。
パスポートの再発行などは時間がかかり間に合わないので、フランクとイアンはラジオ局の近くにあるカフェに身を隠し、オーナー夫妻(ドミンゴとブリジッダ)の協力の下、そこからあたかもエクアドルにいるかのように、エクアドルでの騒乱を放送することになった。
フランクとイアンは話を盛り上げるためにエミリオという名前の男性の存在をでっち上げ、彼を騒乱の重要人物であるかのように仕立て上げた。
しかし、ここで思わぬ事態が発生した。アメリカ政府が2人の話を信じ込んでしまったのである。
しかも、エミリオの名前はテレビでも放送されるようになった。2人が命の危険にさらされていると思い込んだマラードは、2人に現地のアメリカ大使館に駆け込むよう勧めた。
自分たちがエクアドルにいないことがばれるのを恐れた2人はSIMカードを破壊した。ところが、この行動が裏目に出た。
フランクとイアンの足取りがつかめなくなったことで、紛争中のエクアドルで2人の記者が失踪したという誤解が広まってしまったのだ。
そこで、フランクとイアンが事態を収拾すべく、とんでもない計画を思いつくのだった。それは現地の過激派組織にとらえられ、身代金を国に要求、受け入れられなけらば殺される、という場面をでっち上げたのだ。
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(以下、一部ネタバレあり)
エレノア(ヴェラ・ファーミガ)は、見栄っ張りで、常にセレブ気取り。夫フランクとは離婚したいと思っていて、カフェでイケメンがいると指輪を外して男に近づき、その日のうちに関係を持ってしまう。
しかし、その男こそ、夫の同僚で、バディを組んで、エクアドルに出張に行く男だったとは・・・!
これは序の口で、夫たちが現地で捉えられた映像を見ると、自身を悲劇のヒロインに仕立てて一般の同情を集め「ヒーローを救うためにジョージ・ワシントン(1ドルの肖像画)を寄付して」とテレビなどでアピール。たちまち40万ドル(約4,000万円)も集まる。これを夫の隠し金庫に隠しておく。
エレノア自身は、ファッション誌の表紙を飾ったり、夫の現地での拘束を踏み台に名誉とおカネを増やす自己中女で、このあたりはヴェラ・ファーミガの独演場。
フランクとイアンは、エクアドルに行かざるを得ない状況になり、フランクの妻が隠しているおカネのありかは金庫に違いないと、イアンとともに金庫を開けに行く。金を開けているところを妻エレノアが発見!
しかも夫フランクと一緒にいたのが、あの男だった!
事情を妻に話し、お金は折半することにして、フランクとイアンは船を使ってエクアドルに密入国することに。エクアドルにつくと、実際に、犯罪グループに捕まってしまう。途中で手に入れた薬物を吸うと、力がわくフランクは、銃で悪党どもを一網打尽、アメリカ大使館にいき、ヒーロー扱いになる。
飛行機で帰国後は、エレノアは、一人セレブを目指し、一方のフランクは、5年間職場で仕事をしている同僚女性から好意を寄せられていて、エレノアに愛想を尽かし、その女性と、空港から歩いて町中に帰るのだった。なかなか味わいのあるエンディングだった。
■主な登場人物:
エリック・バナ :フランク・ボネヴィル(ラジオ局の局員)
リッキー・ジャーヴェイス:イアン・フィンチ(ラジオ局で取材担当。弁が立つ)
ヴェラ・ファーミガ:エレノア・フィンチ(フランクの妻。セレブ志向)
ケリー・マクドナルド:クレア・マドックス(ラジオ局の取材アシスタント)
ベンジャミン・ブラット:ジョン・ベイカー
ケヴィン・ポラック:ジェフリー・マラード(ラジオ局責任者。特ダネ優先)
アメリカ・フェレーラ:ブリジッダ(カフェオーナーの妻)
ラウル・カスティーヨ :ドミンゴ(カフェオーナー)
アリ・コーエン:ランプリング
メイガン・ヘファーン:ヴァージニア