ミュージカルコメディ映画「ザ・プロム」(2020)をみた。監督は「glee グリー」のライアン・マーフィ。Netflixで12月11日から配信。2016年に初演されたミュージカル「プロム」が原作。
最初にタイトルを見た時に「プロム」だから、高校生の卒業パーティ映画だろうと”タカをくくって”ミュージカルっぽいからまあいいか、と予備知識なしで見たら、なんと、タイトルバックに、出演者がメリル・ストリープと出てきたのに驚くのも束の間、ニコール・キッドマンまで登場し、2度びっくり。思わず身を乗り出すことになった(笑)。
・・・
最初にド派手なメイクの妙齢の女性が出てきたが、これがまさかまさかの現在71歳のメリル・ストリープで、歌い踊るのだ。数年以上前に「マンマ・ミーア!」で歌って踊っているので、ミュージカルもお手のものだが、70歳を超えてダンスシーンをこなしているのには驚いた。
2020年現在、アカデミー賞を3度受賞、21回ノミネートされており、俳優としては最多の記録保持者だが「ザ・プロム」で記録をさらに更新しそうだ。
・・・
ニューヨークの人気舞台俳優ディーディー(メリル・ストリープ)とバリー(ジェームズ・コーデン)は、新作ミュージカルが大コケし役者生命の危機に。
一方、インディアナ州の田舎町では、恋人同士の女子高校生エマ(ジョー・エレン・ペルマン)とアリッサ(アリアナ・デボース)が、女性カップル2人でプロムに参加することが禁止され、悲嘆に暮れていた。
SNSでその事実を知ったディーディーらは、この機会に乗じて自らのイメージを挽回しようと、同じくキャリアアップを図るアンジー(ニコール・キッドマン)らと共に計画を練るが、ベテラン舞台俳優と女子高校生カップルの行く先には、思いもよらない騒動と、愛と感動のドラマが待ち受けていた。
↑ これがメリル・ストリープ!
・・・
アメリカ映画で時々登場するプロム(Prom)は、プロムナード(舞踏会)の略称で、イギリス・アメリカ・カナダの高校で学年の最後に開かれるフォーマルなダンスパーティーのこと。カップルによるダンス・パーティを行うので、必ず相手を連れて参加しなければならない。たまに一人で参加して、当日会場で探すこともあるらしい。
映画「ザ・プロム」の舞台となっているのは保守的な州といわれるインディアナ州。そこの高校での運営責任者の女性が、参加の条件として、カップルの相手は「異性」であること、というのを生徒に宣言。エマ(ジョー・エレン・ペルマン)はさて困った。相手というのがアリッサ(アリアナ・デボース)という黒人女性で、アリッサは、「ゲイ」(女性同士でも「レズ」のほかゲイと呼んでいた)であることを公言(カミングアウト)していない。しかも、母親がプロム開催の責任者で、自分がカミングアウトしたらどうなるか恐怖心しかない。
エマが参加するということで、地元のPTAなどの大反対にあいプロムがいったん中止になってしまう。これが、SNSなどで広く世間に伝わり、大きな騒動、ムーブメントになっていくのだが・・・。
・・・
メリル・ストリープ、ニコール・キッドマンなどの見せ場も見どころだが、主役のエマを演じる新人のジョー・エレン・ペルマンは、一見するとドリュー・バリモア(「ラブソングができるまで」)に似ているが、この映画で注目されそうだ。
ニコール・キッドマンは舞台女優を演じているが、ミュージカル「シカゴ」のロキシー・ハート役を取れたと大喜びするシーンがある。ロキシー・ハート役は映画版「シカゴ」では、レネー・ゼルウィガーが演じ、舞台では、鳳蘭や米倉涼子(ブロードウエイ版も)が演じている。
「ザ・プロム」は、ミュージカル・ナンバーもなかなかいい。
年末から来年にかけての賞レースに名を連ねることは確実のようだ。