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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

アニメ映画「言の葉の庭」(2013)を見た。新海誠監督(「君の名は。」「天気の子」)。

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言の葉の庭」(2013)を見た。原作・脚本・絵コンテ・撮影・編集・演出・監督は「君の名は。」の新海誠風景描写の緻密さ・美しさが息を呑む。作品の舞台として新宿をとり上げるのが多く、今作では主に「新宿御苑」が舞台。新海監督の上京当時の新宿へのあこがれがあるといわれる。

新海作品は「君の名は。」を劇場で見て引き込まれ、続いて「天気の子」を劇場で見て、過去の作品の追っかけモードに突入(笑)。「秒速5センチメートル」「言の葉の庭」を動画配信で見た。アニメ映画はわずかに7本で、あとはデビュー作「ほしのこえ」など3本だ。”完走”の日も近い。「言の葉の庭」は、興収1億5,000万円。ちなみに「君の名は。」(250億円、歴代邦画2位。1位は「千と千尋の神隠し」308億円)「天気の子」(140億円。歴代同7位)。

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職人を目指す高校生のタカオ(秋月孝雄)は、雨の日の1限は授業をサボって、庭園で靴のデザインを考えていた。ある日、タカオはそこで昼間からビールを飲んでいる女性、ユキノ(雪野百香里)に出会う。

どこかで会ったかとタカオが尋ねると、ユキノは否定し、万葉集短歌 「鳴る神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか きみを留めむ」 を言い残して去っていった。

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こうして雨の日の午前だけの2人の交流がはじまる。タカオは靴職人になる夢を語り、味覚障害を患うユキノは、タカオの作る弁当の料理に味を感じられるようになる。

ある日、ユキノはタカオに「靴作りの本」をプレゼントし、タカオは今作っている靴をユキノのために作ることにする。

その後、梅雨が明け、しばらくの間2人は逢わなくなる。2学期になった夏のある日、タカオは学校でユキノとすれ違い、ユキノが古文の教師だったこと、生徒の嫌がらせによって退職に追い込まれたことを知るのだった…。

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そして首謀者で3年生の女生徒、相沢に会いに行くが、からかわれたタカオは相沢の頬を叩き、その取り巻きの男子生徒に返り討ちにされてしまう。

庭園に向かったタカオはユキノと出会い、万葉集の返し歌 「鳴る神の 少し響みて 降らずとも 吾は留まらむ 妹し留めば」 を口にする。

互いの立場を知って戸惑う2人だったが、急な土砂降りに遭って、2人でユキノのマンションへ行く。

ユキノは濡れた服を乾かしながら、タカオは2人分の料理を作りながら、2人とも今が一番幸せだと感じる。そしてユキノへの好意を口に出したタカオに、ユキノは地元の四国に帰ることを告げる。ユキノは部屋を出たタカオを追いかけ、お互いの気持ちをぶつけ合う。

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季節は変わって冬、四国でまた教師となったユキノからは、手紙が来るようになっていた。タカオは完成した靴を手に庭園を訪れ、雨の日々を「2人とも歩く練習をしていた」のだと回想し、「もっと遠くまで歩けるようになったら」ユキノに会いに行こうと思う。

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なかなかロマンチックな青春ドラマだ。新宿御苑の中にある屋根付きのベンチで、ユキノとタカオは、雨の日だけ逢う。六月の梅雨入りの時期だ。

27歳のユキノは「金麦」の缶ビールをいつも飲んでいる。ユキノは「自分は15歳の時と同じで、少しも賢くなっていない」と物憂げな表情。バッグの中には、チョコレートがぎっしり。時々、気分転換にコーヒー(スタバ)や、お茶伊右衛門)も飲む。

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二人の間にはほとんど会話はなく、靴職人を目指す高校1年で15歳のタカオは、ユキノの足元をチラチラと覗き見しながら、足のスケッチを描く。2人が逢っているシーンでは、服装の違いで何度も逢っていることを示すところがいい。「(自分など)ガキのように思われているんだろうな」と思うタカオ。

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七月になると、ほとんど雨が降らず、八月は夏休みのバイトで明け暮れるタカオ。ユキノのことが頭に残るタカオ。九月になり、学校でユキノとすれ違う。タカオは、ユキノが、古文の雪野先生であることを知る。ガーン!しかも、学校内でいじめに遭って、四国へ引っ越すというのだ。

新宿御苑で、何も話してくれず、何も知らなかったタカオは「ユキノさんなんか大嫌いだ」と世界の中心でなく、ユキノの家で叫ぶのだった。「ユキノさんでなく、雪野先生でしょう」というユキノは、タカオの胸に飛び込むのだったが・・・。

ツッコミどころがないわけではない。高校生が、午前中の授業をサボって新宿御苑に行くのか?(あとから教師というのがわかるが)国語(古文)の教師が、雨の日だけ新宿御苑に行く?雨の描写が多く、新宿御苑を上空から俯瞰して(ドローンのように)二つの傘が、屋根付きのベンチの場所に向かって映し出されるのも1回で良いのになんども繰り返して、”運命に吸い寄せられて”感があるとでもいいたいような(笑)。

 

新海監督のアニメ映画:

ほしのこえ」(The voices of a distant star)(2002)

雲のむこう、約束の場所」(The place promised in our early days)(2004)

秒速5センチメートル」( 5 Centimeters Per Second)(2007)✩✩✩

星を追う子ども」(Children Who Chase Lost Voices)(2011)

言の葉の庭」(The Garden of Words)(2013)✩✩✩

君の名は。」(Your Name.)(2016)✩✩✩✩

天気の子」(Weathering With You)(2019)✩✩✩

 

新宿御苑」の入場は有料で、駅の改札のような機械を通る。新宿御苑内の舞台となった「ベンチ」がこちら(↓下)。

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