原作は1939年に発行されたロバート・ネイサンの同名小説。セルズニック・スタジオ作品。主演のジェニファー・ジョーンズは、1940年代初めに大物映画製作者デヴィッド・O・セルズニックのスクリーンテストを受けて認められて、主演デビュー作「聖処女」(1943)でいきなりアカデミー賞主演女優賞を獲得。その後4度アカデミー賞にノミネートされた。監督は「旅愁」「情炎の女サロメ」などのウィリアム・ディターレ。音楽は「スミス都へ行く」「西部の男」「白昼の決闘」などのディミトリ・ティオムキン。
映画は、冒頭のナレーションで、美術館に飾られた一枚の肖像画から(インスパイアされて)物語が生まれたという説明がある。
この不思議な物語には二つの要因が基本にあり、それは真実と希望だという言葉がある。真実はこの映画にではなく、あなたの心に委ねられている、として、ジェニーという女性が実在したかしなかったのかの受け止め方は観客次第という。NYメトロポリタン美術館にある架空の絵画「ジェニーの肖像」、その創作秘話を切り口としたミステリー・ラブファンタジー。
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彼の描いた少女のスケッチは画商のマシューズ(セシル・ケラウェイ)やスピニー嬢(エセル・バリモア)の気に入り、彼もようやく芽が出かけた。公園のスケート・リンクで再びジェニーに出合ったアダムスは、彼女が暫くの間ににわかに美しく成長したのにうたれ、早速その肖像画を描く事を約した。
約束の日、彼女は来ず、彼女の両親がいるという劇場を訪ねたアダムスは、その劇場が既に数年前に潰れて当時からジェニーは尼僧院に入れられていることを発見した。
数ケ月後、消息不明だったジェニーは、成熟した女性になって突然アダムスの画室に現れた。彼は直ちに肖像画制作にかかるが、未完成のまま彼女は姿を消してしまった。
しかしモデル不在のまま完成したその画は非常な評判となり、アダムスは一躍画壇の寵児となった。ジェニーを求めて尼僧院を訪れたアダムスは、彼女が1920年ニュー・イングランドを襲った津波で溺死したことを聞いた。
彼はすぐ現場の岬へかけつけねボートを漕ぎ出したが、彼のボートも猛烈な暴風で叩き潰された。命からがら崖にはい上った彼はジェニーのボートが近づいて来るのを見て、夢中で救い上げたが、襲いかかった波は二人を呑んでしまった。
アダムスが気がついた時、周囲の人々は誰ひとりとしてジェニーを知らなかった。彼女は、ただアダムスの心の中だけに永久に生きている女性なのであった
(MovieWalker)。
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ジェニファー・ジョーンズ(「終着駅」「慕情」)は、この映画の出演当時は、20代後半。少女から大人になるまでを演じている。映画のラストは、大きな美術館でイーベンの絵画展が開かれていた。そこにある一枚の絵に人々が立ち止まる。それは、一人の少女との出会いをきっかけに生まれた肖像画だった。
主な登場人物:
売れない画家。自分の才能に疑問を感じていたところ、ジェニーと出会う。
イーベンが公園で出会った少女。再会する度、急激な速度で成長していく。
●ミス・スピニー(エセル・バリモア):
アダムスの描いた絵を気に入った婦人。
ジェニーが籍を置いていた修道院の尼僧でジェニーと手紙のやりとりを
していた。
●マシューズ(セシル・ケラウエイ):
画商。
主演のジョセフ・コットンは、「市民ケーン」(1941)でデビュー。「ジェニーの肖像」ではベネチア映画祭・男優賞を受賞。翌年には「第三の男」(1949)に出演して強い印象を残した。この映画は、デヴィッド・O・セルズニック自らが映画界入りさせ、本作公開の翌年に結婚することになるジェニファー・ジョーンズのためにセルズニックが製作した。ジェニファー・ジョーンズの神秘的な美貌が印象的。
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