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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「17歳の肖像」(2009)</span>



17歳の肖像」(原題:An Education, 2009、イギリス)を見た。第82回アカデミー賞では作品賞、主演女優賞、脚色賞にノミネートされた。日本公開は2010年。

タイトルだけは知っていたが、映画「ドライヴ」(2012)で、キュートな新妻ぶりが可愛かったキャリー・マリガンが主演で「ゴーン・ガール」(2014)の悪女役が記憶に新しいロザムンド・パイク、さらに「ウォルト・ディズニーの約束」のエマ・トンプソンが出演しているというので見た。アンジェリーナ・ジョリーの「17歳のカルテ」(1998)という映画もあり紛らわしい。

 ■あらすじ(表向き):
1961年、ロンドン郊外のトゥイッケナム。
ジェニー(キャリー・マリガン)はこの町の学校に通う16歳の少女。
両親のジャック(ルフレッド・モリー)とマージョリーカーラ・セイモア)は、成績優秀なジェニーがオックスフォード大学に進学することを期待している。

苦手なラテン語に悪戦苦闘し、楽団でチェロを弾き、寝室ではジュリエット・グレコシャンソンに耳を傾け、フランスに憧れ、ロマンティックな恋を夢見る日々。




             1960年代はじめ(16歳でタバコぷかぷか・・・)

もっとも、今のボーイフレンドは、生真面目だが冴えない同級生のグラハム(マシュー・ビアード)。現実はロマンティックにはほど遠いように思われたが、大学に入ればもっともっと自由に好きなことができると信じていた。だが彼女の人生はある日突然、一変する・・・。

楽団の練習の帰り道、どしゃぶりの雨に見舞われたジェニーは、高級車を運転する見知らぬ大人の男性から声をかけられる。

「君のチェロが心配だ。チェロだけ載せるから車の脇を歩いて」。
自宅までのほんの僅かな距離を行く間に、彼の紳士的な態度と柔らかな物腰、ウィットと教養に富んだ言葉が、魔法のようにジェニーの心を捉える。気がつくと、彼女は彼の隣のシートに座っていた。それがデイヴィッド(ピーター・サースガード)との出会いだった。

雨の日の出会いから数日後、ジェニーは街角でデイヴィッドを見かけて声をかける。彼女を音楽界と夕食に誘うデイヴィッドの申し出を喜んで受けるジェニー。

問題は堅物の父親だ。ジェニーの大学進学のことしか頭にない父親が、許すわけがないとわかっていた。ところが金曜の夜、彼女を迎えにやって来たデイヴィッドは、巧みな話術でたちまちのうちに初対面の父親の了解を得て、彼女を驚かせるのだった。



デイヴィッドは友人で美術品取引の仕事仲間のダニー(ドミニク・クーパー)とその恋人へレン(ロザムンド・パイク)をジェニーに紹介する。

彼らが足を運ぶナイトクラブや絵画のオークションに同行したジェニーは、今まで全く知らなかった洗練された大人の世界にすっかり魅了されていく。彼女は生まれて初めて、“人生を楽しむ”ということを知ったと同時に、これまでの自分の人生が急に色褪せたものに思えてしまった。

踏み出した世界の心地よさに浸りながら、それを教えてくれたデイヴィッドにますます恋をしていくジェニー。そしてデイヴィッドもまた、ジェニーの聡明さに惹かれていくのであった。

音楽会の次に、デイヴィッドはオックスフォードへの週末旅行にジェニーを誘う。
泊りがけの旅行はさすがに父親に反対されると思っていたジェニーだったが、またもデイヴィッドは、オックスフォード大学の恩師であり有名作家のC・S・ルイスを紹介すると言って、父親をうまく説得してしまう。

初めての旅行に胸を躍らせるジェニーは、見違えるほどのおしゃれをして旅立つ。旅先でも仕事に精を出すデイヴィッドたちに、大学見学をするとばかり思っていた彼女は若干の違和感を覚え始めるが・・・。

初めての真剣な恋に夢中のジェニー。
17歳の誕生日を前に、もう後戻りができない大人のへの入り口で、大切な選択を迫られる。そして彼女が最後に自ら選んだ道とは・・・?



・・・というのは、通り一遍のストーリーで、デイヴィッドというのが実はトンデモな人間だった! しかし、憎めないキャラではあった。

高校の学長に扮したベテランの味わいがあるエマ・トンプソンは、貫禄。
これまでもさまざまな女子生徒を見てきたが、大学を諦めて、年の離れた男と婚約してしまったジェニー(キャリー・マリガン)にアドバイスをするものの、ジェニーは聞き入れなかったが、結局は、苦い社会経験などを通して成長し、学長の元に戻るという展開。



怪しい仕事をしていて、口八丁の、実は既婚者でありながら、ジェニーに近づいたディヴィッドという男の話術の巧みさ。例えば、父親を説得するのに「(ジェニーから)パパは頭が固いと聞いたが、そうではないと思う」とまず相手を持ち上げ、気持ちよくさせてしまう。アルコールを飲んで、いい気分になって、面白いジョークを連発。

父親がすっかり、ディヴィッドのファンにしてしまうのだ。
母親に対しても、初対面で「お姉さんかと思った」と当たり前のように口をついて出てくる。洋服も褒め、家のものも褒め・・・。心底悪人というわけではないのだが、人は騙されてしまうだろう。

ジェニーが、ディヴィッドが近くに住んでいるということを知りその家に行ってみると、
やややつれたような奥さんと子供と出てきた。「あなたも?」とこれまでに何人も若い女が騙されてきたというのだった。

高校3年で、学問一筋だった少女が17歳を前に、これまで知らなかった大人の世界を体験し、一回り大きくなって、体験した世界に流されることなく、再び学ぶことの重要性を再認識して、なんと、念願のオックスフォード大学に合格してしまうのだ。

・・・
イギリス人から見たら、イギリス以外のヨーロッパは大陸。
ジェニーの父親は、「大陸(コンティネント)は嫌いだ。特にフランス人が嫌い」と語っていた。ディヴィッドがユダヤ人だと知ると、「反ユダヤというわけではないが」と口ごもり、妻は「キリストを殺した人でしょ」と、眉をひそめるが。相手がオックスフォード大出身(実は嘘)と知るや、すぐに手のひらを返したような態度になり、まさに本音と建前が交錯する。

色々と見所のある映画だった。


・・・
西郷輝彦の歌の中に、「17歳は一度だけ」という歌があったと思うが、日本でも外国でも、17歳というのは、子供と大人の中間で、微妙な年齢のようだ。早く大人になりたい、大人の世界を知りたいと思う一方で、おかしいと思ったら、ブレーキも持ち合わせていたというところで、ハッピーエンドの結末になっている。


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