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<span itemprop="headline">映画「聖(さとし)の青春」(2016)</span>



聖(さとし)の青春」(2016)を見た。
昨年(2016年)の東京国際映画祭のクロージング作品。第40回日本アカデミー賞優秀主演男優賞(松山ケンイチ優秀助演男優賞東出昌大を受賞。
 
1998年8月8日に29歳の若さで亡くなった棋士村山聖の生涯・生き様を描いている。松山ケンイチ主演の人間ドラマで、病と戦いながら、将棋に全人生をかけ、全力で生きた村山の一生を、師弟愛、家族愛、ライバルとの友情とともに描く。
 
松山が体重を増やして別人のようにふっくらした容貌で村山を演じ、東出昌大も村山の最大のライバル、羽生善治を徹底した役作りで演じているのが見所
 
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幼い頃から腎臓にネフローゼという難病を抱えていた村山聖(さとし)(松山ケンイチは、入退院を繰り返す中で、父から教わった将棋に夢中になる。
 
やがてプロ棋士を目指すようになり、森信雄リリー・フランキーに弟子入り。15歳の頃から10年間森師匠と同居、師匠に支えられながら将棋に打ち込んでいった。
 
1994年、七段になった聖は将棋界最高峰のタイトル名人を狙い、森師匠のもとを離れ上京しようとする。家族や仲間は反対する中、将棋にかける聖の情熱を見てきた森師匠は、彼の背中を押す。
 
東京で荒れた生活をする聖に皆あきれるものの、聖の思いを理解し陰ながら支えていく。前人未到の七冠を達成した同世代のライバル・羽生善治を猛烈に意識する一方で憧憬も抱く聖。名人位獲得のため一層将棋に没頭し、快進撃を続けていくが、彼の体をガンが蝕んでいた。それでも医者の制止を聞かず、聖は将棋を指し続けるMovieWalker)
 
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29歳の若さでこの世を去った村山聖(さとし)は、羽生善治1996年2月14日将棋界で初の7タイトル独占1996年当時のタイトル数は7を達成)の好敵手として、対戦成績は6勝8敗だった
 
村山聖の人物像、生き様が見事に描かれたいた。病(膀胱炎からステージ3Bの腫瘍)があり、医者からの再検査の連絡も無視していたが、医者から、手術をしなければ、持って3ヶ月、手術をしても1年間は将棋を指せないと宣告される。
 
村山と羽生との交流、会話がこの映画のキモかもしれない。
七段となった村山は、羽生との将棋で勝つ。村山は羽生に聞く。「なぜ私たちは将棋を始めたんでしょうね」。「あなたに負けたことが一番悔しい」と羽生。「負けたくない?」(村山)。「それが全てだと思います」(羽生)。
 
村山は続ける。「羽生さんの見える海はみんなと違うでしょう。」羽生は「海の深海が怖い時がある。そこに行ったら、戻ってこれない気がする。ただ、村山さんとだったら大丈夫な気がする。いつか行ってみましょう」と。
 
村山聖は、とにかく1位にこだわる性格。まわりの棋士たちには「羽生さんを倒さないと意味がない。羽生さんに勝つのは20勝の価値があるんです。将棋は殺し合いなんじゃ」と。アルコール依存症のくらいに酒を飲み、不健康で不衛生な環境で生活している。家の中はぐしゃぐしゃ。
 
師匠の森信雄リリー・フランキー)から飲み屋で奢られた時に、いくらだったかと払おうとするが、森が断ると紙幣を破って捨ててしまうという行為に及ぶ。まわりが、やめさせようとすると「死ぬ人間には金なんか意味がない。勝って名人になるんじゃ」だった。
 
村山聖の食に関するこだわりも強い。「牛丼は吉野家、シュークリームはミニヨン(広島ケーキ)、とんかつはみっちゃん、カツ丼は徳川、でなければ意味がない」と何度も言う。「東京のうどんはまずい」とも。おいおい、それは言い過ぎでは?(笑)。












吉野家・牛丼(左)と、とんかつ・みっちゃん。








シュークリーム・ミ二ヨン
とカツ丼徳川

 
将棋の駒の動かし方や、駒の特徴、持ち時間などある程度の知識がないと、理解しにくいところがあるかもしれない。持ち時間がなくなると、「1分以内」で指さなければならない。

残り1分になると、30秒・40秒・50秒、1・2・3・4~と声がかかる。追い込まれていく状況となりギリギリ残り数秒のところで、駒を動かす、というのが繰り返される。1手を打つのに2時間、3時間と掛かる一方、最終的には数秒で指していくという圧迫(緊迫)感。
 
現在の将棋界で”羽生世代”(年齢は40代後半)をリードしている羽生を演じている東出昌大が、時々テレビの対局で見る羽生の表情、癖などを見事に演じているのが印象に残る。村山聖の実物写真を見たが、ソックリで松山ケンイチにとっても代表作の1本になったようだ。


                    生名人本人(左)と東出昌大



主な出演者:
森信雄(聖の師匠): リリー・フランキー
聖の母・トミ子: 竹下景子
弟弟子・江川貢:染谷将太
病床の村山をサポートするプロ棋士・橘正一郎:-安田顕
東京にきた聖と交流するプロ棋士荒崎学:柄本時生
井守鶏三 :遠藤たつお
聖の父・伸一 - 北見敏之
「東京の師匠」として村山を支える将棋連盟の職員・将棋雑誌編集長・橋口(モデルは原作者の大崎自身):筒井道隆

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