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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「一命」(2011)市川海老蔵主演。

 
三池崇史監督の「一命(2011)を見た。仲代達矢主演切腹」(1962)のリメイク
音楽・坂本龍一、主演・市川海老蔵という豪華スタッフ&キャストによる史上初の3D時代劇。原作は滝口康彦の「異聞浪人記」。
 
出演は、市川海老蔵のほか瑛太満島ひかり役所広司笹野高史新井浩文青木崇高、波岡 一喜ほか。
 
貧しい侍たちが、愛する者との暮らしを願って武家社会のしきたりに歯向かう姿を、絢爛な映像でドラマティックに描き出す。
 
(簡単なあらすじ)
戦国の世は終わり、平和が訪れたかのようにみえた江戸時代初頭、徳川の治世。   その下では大名の御家取り潰しが相次ぎ、仕事も家もなくし生活に困った浪人たちの間で“狂言切腹”が流行していた。
 
それは裕福な大名屋敷に押し掛け、庭先で切腹させてほしいと願い出ると、面倒を避けたい屋敷側から職や金銭がもらえるという都合のいいゆすりだった。
そんなある日、名門・井伊家の門前に一人の侍が、切腹を願い出た。
 
名は津雲半四郎(市川海老蔵)。家老・斎藤勘解由(役所広司)は、数ヶ月前にも同じように訪ねてきた若浪人・千々岩求女(ぢぢいわもとめ、瑛太)の、狂言切腹の顛末を語り始める。
 
武士の命である刀を売り、竹光に変え、恥も外聞もなく切腹を願い出た若浪人の無様な最期を・・・。半四郎は、驚くべき真実を語り出すのだったMovieWalker)
 
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時代は1610代後半。テーマは「武士の面目」生活に窮する一部の浪人の間で流行ったという狂言切腹を扱っている。ひたすら悲劇が続く映画。
 
武士の面目でもある刀を売った瑛太と、刀を売らずに置いていた市川海老蔵、「武士に二言があってはならぬ」と武士の面目を貫こうとする井伊家の家老役所広司、武士の面目なんてバカバカしい、生きることが第一だと考えるようになった市川海老蔵
 
市川海老蔵は、瑛太が井伊家の庭で切腹させられる直前に妻子を助けてもらえるように懇願したことを井伊家家老役所広司)に問いただすシーンがあ
 
 
 
妻子を救うため3両を乞う瑛太に対して、大勢の中の武士のうちの一人でも、同情・慈悲を持った武士はいなかったのか・・・と。このあたりの海老蔵の迫力はすさまじい。
 
さらにすごいのが、市川海老蔵と井伊家の大立ち回り。木製の刀で真剣を持った武士数十人と闘うのだ。「三十郎」の三船敏郎大殺陣回りをも彷彿とさせる大迫力だった。
 
この作品の根底にあるのは「武士社会」「武士道」に対する疑念だ。
この物語の主人公・津雲半四郎もそうした「武士道」、武士社会のもつ「形式」の世界の中でに生きてきた。武士としての誇りとともに清貧な生活を送ってきた。
 
しかし、娘に子供(半四郎にとっては孫)が産まれ、そうした「人」としての自然の喜びに触れ、子供たちのために生きていこうとする欲求が生まれていく。
 
家族のためではなく「面目」「体面」「様式」のために生きていくことと、家族のために「3両を譲ってくれ」と物乞いする生き方のどちらが本来の在り方かを問う
 
 
 
津雲は乱闘の最中、屋内にどうどうと据え付けられた「赤備え」の甲冑を見て、こうした武士の生きかたを喝破する。「武士の面目とは人身を飾るだけのものと存じます」
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市川海老蔵の映画はそれほど見ていなかったが、風格・貫録があるのには驚いた作品だった。大物感漂う役所広司もかすむほどだった。木の刀で切腹をしようとくり返し挑む瑛太の壮絶な姿もすさまじいものがある。
 
 
三池崇史監督は、もともとやくざ映画や裏社会を描いた映画が多いが「十三人の刺客」などの重厚な侍映画も印象に残る。意表をついた作品としては「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」(2007)や「愛と誠」(2012)などがあり「愛と誠」などはお気に入り作品の1本だ。
 
現在公開中の「無限の住人」のあと「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」が8月に公開される。
 
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