貧しい侍たちが、愛する者との暮らしを願って武家社会のしきたりに歯向かう姿を、絢爛な映像でドラマティックに描き出す。
(簡単なあらすじ)
それは裕福な大名屋敷に押し掛け、庭先で切腹させてほしいと願い出ると、面倒を避けたい屋敷側から職や金銭がもらえるという都合のいいゆすりだった。
そんなある日、名門・井伊家の門前に一人の侍が、切腹を願い出た。
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武士の面目でもある刀を売った瑛太と、刀を売らずに置いていた市川海老蔵、「武士に二言があってはならぬ」と武士の面目を貫こうとする井伊家の家老・役所広司、武士の面目なんてバカバカしい、生きることが第一だと考えるようになった市川海老蔵。
この作品の根底にあるのは「武士社会」「武士道」に対する疑念だ。
この物語の主人公・津雲半四郎もそうした「武士道」、武士社会のもつ「形式」の世界の中でに生きてきた。武士としての誇りとともに清貧な生活を送ってきた。
しかし、娘に子供(半四郎にとっては孫)が産まれ、そうした「人」としての自然の喜びに触れ、子供たちのために生きていこうとする欲求が生まれていく。
家族のためではなく「面目」「体面」「様式」のために生きていくことと、家族のために「3両を譲ってくれ」と物乞いする生き方のどちらが本来の在り方かを問う。
津雲は乱闘の最中、屋内にどうどうと据え付けられた「赤備え」の甲冑を見て、こうした武士の生きかたを喝破する。「武士の面目とは人身を飾るだけのものと存じます」。
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三池崇史監督は、もともとやくざ映画や裏社会を描いた映画が多いが「十三人の刺客」などの重厚な侍映画も印象に残る。意表をついた作品としては「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」(2007)や「愛と誠」(2012)などがあり「愛と誠」などはお気に入り作品の1本だ。
現在公開中の「無限の住人」のあと「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」が8月に公開される。
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