この映画の最後に「この映画をまだ見ていない方のために、決して結末をお話しにならないでください」というテロップが出る。決して結末は言わないでください」というこうしたキャッチコピーは枚挙にいとまがないほど多くなった。
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タイロン・パワーが主役のようになっているが、老弁護士ウイルフリッド(チャールズ・ロートン)の古だぬきぶりが抜きんでて面白い。身内の看護師からは、健康上、タバコ(葉巻)とアルコールは厳しく禁じられているが、あの手この手で、わからないように葉巻を吸ったり、クスリ用のボトル(水筒)をブランデー入りの水筒と取り替えたり、ステッキの中に葉巻を隠し持ったり…というのが愛嬌があっていい。
この看護師プリムソンは、ウイルフリッドからは”おしゃべり女”と言われるが全く意に介さない。退院したウイルフリッドと車で事務所に戻るときにも休まずしゃべり続け「いい天気、車の窓を閉めましょうか」というと、ウイルフリッドから「(そのうるさい)口を閉めてしまえ」と言われる始末。この二人の掛け合いがおもしろい。
小道具もいろいろ出てくるが、中でもウイルフリッドが、相手に質問するときに、”片目のメガネ”をかざすのだが、これが太陽光線を反射して、相手の顔を照らすのだが、これが相手がウソを言っていないかを知る手掛かりになっているのか。
階段の上り下りに便利なロープウエイのような自動の椅子が備え付けられ、ウイルフリッドは無邪気に試し「これは楽だ」とはしゃぐのだ。
一世一代の名演技というのはこのことか、と思わせるようなマレーネ・ディートリッヒがすごい。冷静さを装っていたが、実は・・・なのだが「ダ――――ム、ユーーー―!(Damn You!)(=「永遠に地獄に落ちろ」字幕:この野郎~!)」というシーンにはしびれる(笑)。二度言うが、これも演技だった!
ストーリーの流れをすべて以下に書くので、未見の人はスルーしてください。
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弁護士のウィルフレッド卿(チャールズ・ロートン)は心臓発作で一時は昏睡になるほどの重体から回復し、2か月ぶりに退院。頑固で我儘な卿に対して付き添い看護婦のミス・プリムソル(エルザ・ランチェスター)は一歩も退かず、あれこれと世話を焼く。
そこに、金持ちの未亡人フレンチ夫人を殺害した容疑をかけられたレナード・ヴォール(タイロン・パワー)という青年の弁護の依頼が舞い込んできた。ヴォールは感じのよい快活な青年で、容疑を完全に否定。
事件の起こった晩、ヴォールは8時から9時まで被害者宅を訪問し、9時半に帰宅したと言う。それを証明できるのはヴォールの妻クリスチーヌ(マレーネ・ディートリッヒ)だけだが、妻の証言は法廷では効力がない、と卿は心配する。
そこに、金持ちの未亡人フレンチ夫人を殺害した容疑をかけられたレナード・ヴォール(タイロン・パワー)という青年の弁護の依頼が舞い込んできた。ヴォールは感じのよい快活な青年で、容疑を完全に否定。
事件の起こった晩、ヴォールは8時から9時まで被害者宅を訪問し、9時半に帰宅したと言う。それを証明できるのはヴォールの妻クリスチーヌ(マレーネ・ディートリッヒ)だけだが、妻の証言は法廷では効力がない、と卿は心配する。
さらに、未亡人がヴォールに遺言で8万ポンドもの大金を残したことがわかり、これが動機とみなされてヴォールは逮捕されてしまう。
医者から刑事訴訟の担当を止められている卿は、助手のブローガン・ムーアにこの事件を任せることにする。
ウィルフレッド卿の事務所にヴォールの妻クリスティーネが訪ねて来る。クリスティーネはヴォールが戦時中に軍隊でドイツに派遣された時に助けて連れ帰った妻だが、極めて冷静で夫に愛情も感謝も感じていないかのような態度を見せる。
裁判が始まる。被害者の死因は鈍器による撲殺で死亡時刻は午後9時半から10時の間と推定。被告人席のヴォールは9時に被害者宅を出て30分後には家に到着していたと無罪を主張。
未亡人に10年間仕えた家政婦のジャネットは事件当夜の9時25分に忘れ物を取りに帰った時に被告人の声を聞いたと証言し、被告人は妻がいることを未亡人に隠していて未亡人が全財産を被告人に譲ると遺言書を書き換えたことも知っていたと言う。
それに対して卿は、未亡人が書き換える前の遺言ではジャネットが遺産の相続人だったこと、ジャネットは耳が遠くあの晩聞いた声が被告人のものと断定できないことを証明してみせた。
ところが、裁判の3日目に”検察側の証人”(映画の原題)としてクリスティーネが召喚される。証言台に立ったクリスティーネは、「夫は事件の夜10時10分に帰宅し、袖には血がついていて興奮状態で”彼女を殺した”と言った」と証言。
その女は昔クリスティーネに恋人を盗られて顔を傷つけられたために恨んでいるのだと言う。額のヨコには傷ついたアザの痕が。
裁判の最終日、ウィルフレッド卿はクリスティーネを証言台に立たせて手紙を読み上げる。それはマックスという愛人に宛てた手紙で、夫が殺人容疑で逮捕されたので自分が不利な証言をすれば、夫は有罪になって別れられるからあなたと一緒になれる、という内容だった。
裁判の最終日、ウィルフレッド卿はクリスティーネを証言台に立たせて手紙を読み上げる。それはマックスという愛人に宛てた手紙で、夫が殺人容疑で逮捕されたので自分が不利な証言をすれば、夫は有罪になって別れられるからあなたと一緒になれる、という内容だった。
手紙を売った匿名の女の正体は、実はクリスティーネの変装だったのだ。クリスティーネはドイツにいた頃は女優だった。妻の証言は効力がないので、他にヴォールを救う方法はないかとクリスティーネが考えた策略だった。なぜなら、未亡人を殺した真犯人はヴォールだったからだ。
(英国の法律では、一度裁判で無罪が確定した被告は後で有罪だったと判明しても罪に問われない・・・一事不再理)「殺人犯を助けたのか?」と問う卿にクリスティーネは答える。 「わかってないのね、彼を愛しているの」そこにヴォールが現れクリスティーネに感謝するが、クリスティーネを捨てて、新しい若い恋人を選ぶヴォール。
クリスティーネはその場にあったナイフでヴォールを刺し殺し逮捕される。
クリスティーネはその場にあったナイフでヴォールを刺し殺し逮捕される。
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