「転校生-さよならあなた-」(2007)を見た。
オープニングから斬新な映像で驚かされる。
大林宣彦監督の「転校生」(1982)のリメイク作品である。
ことし8月17日に「野のなななのか」(2014)を見たときに、大林宣彦監督が、舞台挨拶をしたが、その時に「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」が、大林監督の出身地・尾道市(広島県)を舞台にした尾道三部作であることを知った。
それならば「転校生」を見てみようと思ってレンタルしたのだが、”間違って”リメイク版「転校生-さよならあなた-」を借りてきたのだった。「間違えられたDVD」ということになる。作品の呼び名を分けるために、1982年版を「尾道転校生」、2007年版を「長野転校生」というように呼ぶこともあるという。
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大林宣彦監督作品は、これまでほとんど見たことがなかったが、映像の魔術師と言われるように、画面の構成や構図がユニークだ。
「転校生-さよならあなた-」のオープニングも、画面に”□(四角”の線が描かれ、
真ん中に「A」の文字。次に「MOVIE」の文字が現れる。さらに、その四角の中の文字が、MOVIE→転校生に変わる。その文字の下に、アンダーバーが加えられ、「転校生」となり、副題のさよならあなたの文字が加わっていく・・・という具合。
画面に斜めの線が一本現れると、その線に沿って映像も傾いたような斜めの映像が映し出される。電車のシーンも、窓の景色もまるで、登山電車のように傾いているのだ。スクリーンが、あのヒッチコックの「北北西に進路を取れ」のオープニングのビルの壁面が斜めになっているように、30度ほど傾いていて、画面に引き込まれる。
・・・と前置きが長くなったが、「転校生」という映画は、中学生の男女の身体が入れ替わってしまう事から起こる騒動と、主人公の名前が「一夫(かずお)」と「一美(かずみ」と似ているように、”二人で一人の物語”である。実際は男なのに、外見が女になって、まわりは外見で判断するので、それに合わせる主人公のおかしさ。逆もしかり。
人間がこの世に生を受けた以上、 だれでもなにかを次の時代に残していく、というメッセージが込められているようだ。
男女の中身が入れ替わるという映画は、「転校生」(1982)が映画化された時には、出資スポンサーも、内容がハレンチということで降りたという。
角川映画も、原作が角川作品でなく、旺文社だったことで製作から外れた。
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大林監督は、新人の発掘では定評があるようで、「転校生」では、新人だった小林聡美を、「転校生-さよならあなた-」では、初主演の蓮佛美沙子をそれぞれ売り出した(蓮佛美沙子は日本アカデミー賞新人賞受賞)。蓮佛は、キムタクと共演したドラマ「Priceless」で知り、昨年の「独身貴族」などを見ていた。
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※YouTubeで「転校生-さよならあなた-」を全編見られる。
共演には田口トモロヲなど。
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