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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「人生の特等席」(2012):イーストウッド、4年ぶりの出演。</span>


 
 
人生の特等席」なんていうタイトルだったので、お仕着せの人間賛歌の映画かと思いきや、頑固おやじに頑固娘あり・・・の溝がだんだんと埋まっていく父娘の再生の物語で、じわじわと感動が伝わり、こんな映画を見せられたら「映画は止められない」と映画はいいな、と思わせる味わいがある。
 
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映画の原題が”Trouble with the Curve” で、これは野球のドラフトで一番に指名された選手ボーだが、目が少々悪くなっても音でわかるという老スカウトマンのガス(クリント・イーストウッド)の長年の経験から、手が泳いでしまうので「カーブが打てない問題」があり、獲らないほうがいいという言葉からきている。
 
邦題の「人生の特等席」というのは、父親ガスは娘のミッキーに苦労させたくないので、ガスが「野球なんか嫌いだろう。あちこち移動したり”三等席”(Cheap seat)だ」というと、弁護士としてキャリアップが目前のミッキーは、「野球は大好き。(今まで疎遠にされてきたが)弁護士になれば受け入れてもらえると思った。こっちに来て、徹夜でビリヤードをしたり、まずい食事もあるけど、”人生の特等席”(Best seat in a
house)よ」からきているようだ。
 
 

 
イーストウッドが、「グラン・トリノ」で監督・主演して、今後は俳優は卒業して監督に専念するようなことを言っていたと思うが、いまや監督としても巨匠の仲間入りを果たしたイーストウッドが、俳優だけの映画への参加は、「ザ・シークレット・サービス」(原題:In the Line of Fire、1993)以来19年ぶりという。
 
映画の冒頭、一頭の馬が走ってくる夢を見て、うなされたように起き上がるガス(クリントイーストウッド)。トイレに立っても、小水のキレがなく、視力も劣ってきて、イスにつまずいて倒れそうになると「チキショー」(Son of a bitch!)とぼやく。馬のシーンは、ガスのトラウマであることが最後に明かされる。
 
マネー・ボール」でも野球のGMやスカウトの話がメインだったが、今は選手などのデータは、パソコンで管理され、直ちにアクセスできるが、老スカウトマンのガスにとっては、「野球の知らない奴がコンピューターを使っている」となる。
 
さいころから親の影響で野球が好きだったガスの娘のミッキー(名前も親の好みで、有名選手のミッキー・マントルからつけた)(エイミー・アダムス)は、頭がよく、スポーツも万能のようで、ガスがいる酒場に行って、ビリヤードをしていると、男が挑戦しようとすると「そんなに負けるのが好きか?」と自信たっぷり。野球クイズを出せば、すらすらと正解を言い当て、”弁護士で野球通”ぶりがすごい。父親の球を打てばホームラン。
 

 
ミッキーは、弁護士事務所では、すでに7年間の実績を積み、共同パートナーの地位も目前にあるほどの力を備えている。仕事もでき、自信に満ち溢れているバリバリのキャリアウーマンだが、ひとつだけ、大きな心配事は父親との関係だった。まともに話をしたいのだが、なかなか腹を割って話に応じてくれないのだ。
 
そんな時、父親ガスのスカウト仕事の現場に行き、そこで話をし、これまで小さいときに親戚に自分が預けられたのは、自分が拒絶されていると思っていた誤解などが解消されていく。実はまさに正反対で、不器用な父親だが、娘のためにそうしてきたことなどがわかるのだ。
 
スカウトマンとしての契約が3か月で終了であったガスが再評価され、契約延長の申し入れがある。ガスの答えは「考えておく」。
 
ミッキーも、共同パートナーのポジションが外されかけていたのだが、別の人間のプレゼンの失敗があり、会社から、「ぜひパートナーに」という打診があったが「考えさせてください」だった。
 
一度は、別れたボーイフレンド(ジャスティン・ティンバーレイク)が現れ、ミッキーに野球クイズ。近づきながら正解を言うミッキー。「野球の問題を出すためだけに来たんじゃないでしょ」
 
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二人を見やってガスは、「俺はバスで帰る」。
 
ドラフトで、いかにいい選手に見えようとも、速球だけしか打てない選手などは「捨てる勇気も必要だ」という言葉も印象に残る。
 
エイミー・アダムスは「ダウト~あるカトリック学校で~」の若い修道女が印象的だったが、最近の「アメリカン・ハッスル」では、ジェニファー・ローレンスと”女の闘い” で存在感があった。アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされている。
 
「人生の特等席」では、美人で頭もよく、非の打ちどころのないキャリアウーマンだが、”心の壁”があると友達に指摘される。友達と海に飛び込むシーンがなかなかいい。相手にあまり近づきすぎないように「安全な距離を保っている」のだが、だんだん距離がちじまっていく。
 
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イーストウッドの頑固ぶりは絶品だ。
ガレージから車を出そうとして、ガレージの角に車をぶつけてしまうと「ミニ・ガレージか?」とつぶやいたり、車の運転は危ないから私(ミッキー)が運転すると言ってもなかなかキーを渡さなかったり、あげくの果てに運転していて車と衝突して軽いけがをしたり・・・。ばんそうこうをつけて、スカウトの現場に行くと、知り合いたちから「どうした?」と聞かれると「カミソリでちょっと」と答えるのだが・・・。
 
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今回は、監督は一緒に仕事をしてきた仲間に任せたが、イーストウッドは、まだまだ
俳優として、いい脚本があれば出演するかもしれない。
 
映画のセリフの中に、「明日に向かって撃て!」は、ロバート・レッドフォードよりもサミー・デイビスJr.のほうがよかった、なんていう会話もあったが「?」でしょ!(笑)
 
ジェニファー・ローレンスよりも、エイミー・アダムスのほうがお気に入りかも。
エイミー・アダムスに進路を取れ!(笑)。
 
「人生の特等席」は、センターオーバーの3塁打くらいの映画でしょう。
(guchさんも絶賛だったような。笑)
 
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