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映画「泥棒役者」(2017)を見る(Netflix)。舞台劇の映画化。

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泥棒役者」(2017)を見る(Netflix)。舞台劇の映画化で「ワンシチュエーション・コメディ」ということで見たら、ハートウォーミングで面白かった。

舞台がかつて人気だった絵本作家の洋風の家での登場人物の勘違い・思い込みによる行き違いの可笑しさと、”ニセモノ”が発覚してからのドタバタ劇と意外な展開に引き込まれた。

若い編集者の女性の名字が「奥」であることから、「奥さん」の存在の勘違いが笑わせる。奥さん役の石橋杏奈、出番は少ないが主人公の恋人役の高畑充希が自然体でうまい。主演は、舞台での主役と同様、丸山隆平が演じている。

ほかにアクの強い役が多い片桐仁、空気が読めず他人の話を最後まで聞かないユースケ・サンタマリア、舞台俳優らしく、様々な顔をのぞかせる市村正親といった個性派俳優が出演している。

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タイトルの泥棒役者というのは、主人公のことで、少年院にいた過去があり、悪い先輩の仲間がいて泥棒稼業を行っていたが、いまは真面目に働いていて、恋人もいる。そこへ、その泥棒仲間が刑を終え、目の前に現われて泥棒を手伝えという。さもないと、恋人に少年院にいたこと・泥棒の過去をばらすと脅かされ、仕方なく、お金のありそうな洋風の家に泥棒に入るのだが・・・。

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泥棒に押し入っている間に、編集者、セールスマン、近所のクレーマーが次々にやってくるので、泥棒の大貫はじめは、自分が作家であると嘘をつき、本物の作家はお手伝いさんと思いこませたり、編集者の名前が奥であり「奥さん」と呼ばれるなど、ハチャメチャな展開へ。

密室コメディの一篇で、主人公は泥棒であることがばれないよう嘘をつき、様々な役を演じることになる。主人公は1人4役となる。しかし登場人物は、セールスマン、編集者も大なり小なり嘘をついており、泥棒である主人公も根っからの悪人ではない。

大貫が、恋人に、過去を打ち明けるシーンがいい。恋人である美沙(高畑充希)は、付き合い始めた2年前から実は知っていて、いつ打ち明けてくれるのか待っていたというのだ。そんな大貫に対して、根底は「いい人」だから、何が問題かというサバサバしたところがいい。「きょうケンタッキーにしない」のCMだけじゃない、存在感がある(笑)。高畑充希の「アズミ・ハルコは行方不明」(蒼井優とのW主演)もよかったが。編集者の石橋杏奈は、帰国子女ということで、クレーマーに対して、英語で撃退するところは痛快。

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前科者を演じる宮川大輔は、普段の太い額縁メガネをかけていないので、別人かと思った。「前科者は仕事を見つけることは難しい」と泥棒を続けるが、最終的には作家の続編の完成イベントで、着ぐるみのキャラクターの衣裳をかぶる仕事をしていた。着ぐるみ衣装の仕事は、確かに悪党面の顔を隠せるが、あるあるの仕事かとも思った(笑)。 

 

【主要キャスト】 

■大貫はじめ〈29〉:丸山隆平(幼少期:岩田琉聖)…主人公。元泥棒の溶接工員。気弱でコミュ障。
■前園俊太郎: 市村正親…絵本作家。豪邸に住む。
■奥江里子:石橋杏奈…新米編集者。
■畠山則男:宮川大輔…泥棒。はじめの昔の仲間。はじめを脅して2人で豪邸に忍び込む。
■高梨仁:片桐仁…再生回数の少ないユーチューバー。前園家の隣に住むクレーマー。
■藤岡美沙:高畑充希…はじめの恋人。料理上手で気遣いのできる女性。
■米村真由美:峯村リエ…編集長。奥の上司。
■轟良介:ユースケ・サンタマリア…前園家に訪れる、売れないセールスマン。