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映画「血と砂」(1965)を見る。岡本喜八監督と三船敏郎による戦争活劇大作映画。

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血と砂」(1965)を見る(Netflix)。監督と主演の屈指の名コンビと言われた岡本喜八監督と三船敏郎による戦争活劇大作映画。三船敏郎にとっては黒澤作品(「七人の侍」「椿三十郎」など)に劣らず代表作かもしれない。モノクロ、シネマスコープ、132分。

椿三十郎」で三船の宿敵だった仲代達矢が、三船の上官を演じている。岡本喜八の反骨精神サム・ペキンパー(「ワイルドバンチ」)もびっくりの壮絶な銃撃戦が見どころ。

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昭和20年の北支戦線。陽家宅の独歩大隊に、小杉曹長三船敏郎)と音大出身の軍楽隊の少年13人、それに小杉にほれている慰安婦・お春(団礼子)がやってきた。軍楽隊によるハレルヤの音楽や「聖者の行進」が奏でられる。

小杉は朔県の師団指令部で少年軍楽隊を最前線に送るのを反対して、転属を命じられたのだった。

独歩大隊には、小杉の弟・小原見習士官がいたが、小杉のつく直前に銃殺されていた。通称ヤキバ砦の守備隊を指揮していた見習士官・小原(満田新二)は、八路軍の猛攻にあい、彼を除いた全員が戦死し、連絡に戻った小原は、敵前逃亡の罪で銃殺されたのだ。

怒った小杉は佐久間大尉(大隊長)(仲代達矢)を殴りとばし、根津憲兵曹長名古屋章)に逮捕されてしまった。営倉には、戦うことがいやで、3年も入っているという志賀一等兵天本英世)や見習士官殺しの炊事係・犬山一等兵佐藤 允)などがいた。

そのころ、少年兵たちは、楽器をとりあげられ、一般兵として毎日軍歌を歌わせられていた。

一方、お春は、小杉の身を案じて、寝物語りに佐久間隊長に泣きこんで、小杉の命乞いをしていた。そのかいあってか、数日後小杉に出動命令が下った。

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少年兵を指揮してヤキバ砦を奪い返せというのだ。それからというもの、小杉の指揮のもとに、少年兵たちは猛烈な戦闘訓練に明けくれた。

そして数日後、お春に送られて出発した小杉隊は、熾烈な戦闘の末、見事ヤキバ砦をとり返した。

ところが、それから数日後、日本軍のトラックに乗った敵のゲリラ隊のために、砦は、また多くの犠牲をだしてしまった。

小杉は、少年兵を元気づけようと、お春に少年たちの筆下しをたのんだ。これに感激した少年兵たちは今度は、敵のゲリラ隊に勇敢に立ちむかった。

しかし敵の潮のような人海戦術にはいかんともしがたく小杉をはじめとするヤキバ砦の隊員は佐久間大尉の指揮する援軍をまたずに、全員うち死にした。

日本軍の中で倒れた敵の少年ゲリラの手には、終戦を告げる伝単がしっかりとにぎられていた。時にして、8月15日の朝のことであった。

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岡本喜八監督熱量がすごいとしかいいようがないほどの戦争巨編。三船が音楽学校を出たての少年兵たちを訓練するのは、まさに「椿三十郎」スタイルで、かなり意識している様子。トランペット、ドラム、クラリネットなどによる音楽が全体に響き渡り、重要な役割を担っている。

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最後にすべての若者が亡くなっていくのは監督の戦争に対する怒りの表れか。銃撃戦の迫力は「史上最大の作戦」に迫るものさえ感じられる。

 

主な登場人物:

小杉曹長三船敏郎

持田一等兵(葬儀屋):伊藤雄之助

犬山一等兵:(出刃)佐藤允

志賀一等兵(営倉):天本英世

お春こと金春芳:団令子

佐久間大尉(大隊長仲代達矢

三保少尉(副官):伊吹徹

根津曹長憲兵):名古屋章

中野伍長(憲兵):長谷川弘

原田(コンダクター):大沢健三郎

大賀(ドラム・大太鼓):根津克巳

今井(スネア・小太鼓):木下陽夫

吉野(トランペット):樋浦勉

植木(クラリネット):仲村絋一

関(アルトサックス):阿知波信介

矢部(テナーサックス):宮尾博

渡(トロンボーン):伊東昭夫

坪井(フルート):西川明

斉藤(チューバ):関富士夫

大川(スーザホーン):木村豊幸

猪又(ホルン):金井和博

佐伯(ピッコロ):日吉としやす

陳(少年ゲリラ):木浪茂

小原見習士官:満田新二

杉山:滝恵一

稲本:宇野晃司

出口:加藤茂雄

銃殺隊下士官桐野洋雄

ゲリラA:伊原徳

ゲリラB:鈴木治夫

八路観測兵:伊吹新

苦力A:沢村いき雄

苦力B:小杉昇司

慰安婦A:森今日子

慰安婦B:浦山珠美

慰安婦C:河美智子

 

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