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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「君の膵臓をたべたい」(2017)を見た。

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君の膵臓をたべたい」(2017)を見た。今頃?シリーズ。凡百の青春映画とは一線を画す映画。まず膵臓(すいぞう)を食べたいとはタイトルが衝撃的。人肉を食うカンニバル系とは思わないにしても、予告編を見る限り「よくある難病もので泣かせる映画」だろうとタカをくくっていた。病死ではない衝撃の結末だった。アニメ版も見てみたい。

主演の浜辺美波(はまべ・みなみ)の透明感のある愛らしさには釘付けになる。注目女優リストに追加だ。この映画で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞などを獲得した浜辺美波は撮影時は16歳になったばかりだが、大人びて小悪魔的で表情も豊か。

毎年新たな新人女優が誕生するが、同世代ではおそらく最も期待される女優の一人かも知れない。JA共済のテレビCMシリーズでは、人気女優の有村架純浜辺美波が姉妹役で共演。いまや人気若手女優である証明だ。

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高校時代のクラスメイト、山内桜良(浜辺美波)の言葉をきっかけに、母校の教師となった「僕」(小栗旬)。彼は図書館の蔵書の整理作業中、教え子と話すうちに、桜良と過した数ヶ月を思い出していく。

膵臓の病を患う彼女が書いていた「共病文庫」(=闘病日記)を偶然に見つけたことから「僕」(北村匠海)と桜良は次第に一緒に過す時間が増えていくことに。だが、残された日々を懸命に生きる彼女の人生は、ある日突然終わりを告げる・・・。

桜良の死から12年。結婚を目前に控えた桜良の親友の恭子(北川景子)もまた「僕」と同様に桜良と過した日々を思い出していた。そして、ある事件をきっかけに、桜良が12年の時を超えて伝えたかった本当の想いが二人に明かされる・・・。

 

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北村匠海演じる主人公の僕は、病院で偶然見つけたクラスメイトの山内桜良(浜辺美波)が綴った秘密の日記帳「共病文庫」を拾う。その中には、膵臓の病気により、命が長くないことが書かれていた。桜良は「読んだでしょう?」というが、病気の秘密を知った僕の反応が、桜良の予想を裏切るものだったようで、桜良の「死ぬ前にやりたいこと」に半ば強引に付き合わされることになる。

その中身は「お泊まり旅行をする。恋人でない男の人と”イケナイこと”をする」などが含まれていたことから、呆れ果てる僕。僕の反応に「うそうそ、冗談だよ」と付け加えるのだが・・・。

 

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性格が正反対の2人。桜良は、何事も前向きで笑顔を絶やさず快活。一方の僕は「他人には興味がない」タイプ。桜良からのメールには「これからも仲良くしてね」とあった。恋人でもなく、仲良しということで、桜良から「仲良しくん」と呼ばれることになる僕。お互いに足りないところを補い合いながら、心を通わせていく二人。自らの死と向かい合う桜良と、そんな桜良によって変わっていく僕。映画では原作にない12年後の現在も描いている。原作を読んでいないが、12年後は、付け足したものだったのか。

タイトルの「膵臓を食べたい」というのはどういうことか。

2人で行った博多旅行の帰り際に、桜良は「私が死んだら私の膵臓、君が食べていいよ。人に食べてもらうと魂がその人の中で生き続けるんだって。」と僕に言いう。

さらに「私生きたい。大切な人の中で」とも呟く。それを僕がまだ覚えていたと仮定すると、桜良が死んでも桜良の魂を僕の心の中で生かすことで、桜良の願いを叶えようとしていたことが伝わる。 

普通では思いもつかないような「君の膵臓をたべたい」という言葉は、相手への憧れや感謝、あるいは恋愛的な気持ちも含めた言葉に表せない相手への思いを表すための言葉だったのかもしれない。

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主演の一人、北村匠海は、見たことがあると思ったら「勝手にふるえてろ」(2017)で見ていた。子役としては「重力ピエロ」「沈まぬ太陽」などに出ているが気付かなかった。「君の膵臓をたべたい」で、桜良から「相手のことをキミ、キミと呼ぶのは珍しい」と言われる。桜良も僕のことを「キミ」と呼ぶようになる。細かな伏線も面白い。高校時代のクラスメートの男が「ガムをどう」と勧めるが、断り続けていたが、あるとき、貰うことにする。

このガムを勧めていた男が、桜良の高校での一番の親友・恭子(北川景子)と結婚することになるとは・・・。”美女と野獣”か(笑)。

桜良は、自分が死んだら、恭子をよろしくね、と言っていたほか、恭子への遺言の手紙の中で、高校時代、嫌っていた「僕」と仲良しになってと、残していたのだ。

秘密の日記帳「共病文庫」について、桜良は、自分が亡くなったあとに「僕」だけは読んでもいいと言い残した。「僕」がこの「共病文庫」を読んだときの、込み上がる気持ちは・・・。6年間務めた教師を辞めるつもりで「辞表」を机に用意していたが、図書室の後輩の「辞めないで」などにより、辞表を破くことに・・・。

なにやら「いつも心に太陽を」のシドニー・ポワチエのような(古い!笑)。

なかなか面白い、興味深い映画だった。

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