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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ユージュアル・サスペクツ」(1995)鑑賞は3回目。

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ユージュアル・サスペクツ」(1995)を見るのは3回目(HULUにて)。何度見ても面白い。きのうテレビのバラエティ番組で、アンジャッシュ渡部建が、オススメ映画のベスト3作品の1位に上げていた。

”グルメ王”とも言われる渡部がこの映画を劇場で初めて見た時に「何だ、これは!」と3回続けて見たという。映画が最後にすべてひっくり返るどんでん返しの面白さを強調していた。ちなみに2位は「猿の惑星」(1966)3位が家族(子供)が大ファンという「カーズ」。

今回初めて吹き替え版で見た。この映画は、爆発事故で27人もの人の命が奪われ、唯一の生き残りの男の語りで成り立つ。この語り部の話は真実だったのか、そうでないのか、観る側は信じるしかないのだが・・・。

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ケヴィン・スペイシーアカデミー賞助演男優賞受賞)が圧巻。”常連容疑者”(=ユージュアル・サスペクツ)の面々の中には、性格俳優のベニチオ・デル・トロもいる。トロも脂がのっている。

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(ストーリーと完全ネタバレあり)

アメリカ・カルフォルニ州サンペドロ。ある夜、港に停泊をしていた麻薬密輸船が、爆発炎上する事故が起きた。対立する組織による抗争事件だと思われたこの爆発事故。27名もの人が命を落とされた。また、9100万ドルもの現金が行方知れずとなった。

爆発事件に巻き込まれながら生き延びた生存者が2人いた。一人は、全身にやけどを負ったハンガリー人の「アーコッシュ・コバッシュ」。もう一人は、一切傷を負っていない障害者の「ヴァーバル・キント」。

この事件を担当していたクイヤン捜査官は、早速、無傷のヴァーバル・キントを呼び出して、尋問をする。

尋問を受けたキントによると「事件の発端は、6週間前にニューヨークで起きた銃を積んだトラックのハイジャック」からだと、事件のあらましを語り始めた。

そして、ニューヨークで起こったこのハイジャック事件の容疑者として名前が挙がったのが「ユージュアル・サスペクツ(=容疑者の常連)」と言われている5人。

●マイケル・マクマナス…忍び込みのプロ。怒ると怖いが人はいい奴。

●フレッド・フェンスター…見た目はチャラいが、頭は切れる。常にマクマナスと組んで仕事をしている。

●トッド・ホックニー…爆薬を扱わせたらピカ一。自己中心的な性格。

●ディーン・キートン汚職で退職した元刑事。現在は、レストランを経営している。

●ヴァーバル・キント…「おしゃべりキント」と呼ばれている詐欺師。

警察での面通しが終わり、拘置所で一堂に会する5人。そこで、マクマナスが「面白い話がある」と、一緒に仕事をする事を提案。その仕事とは、南米の運び屋が密輸するエメラルドを強奪するというもの。殺しをしないでスマートに奪い去るには、最低5人必要という。

最初は、誘いを断ったキートンだが、堅気としていくことは難しいと悟り、嫌々ながらマクマナスの誘いに乗り、仕事を手伝う。

ニューヨークでは、汚職警官が密輸業者からお金を受け取りパトカーで護衛をつくという「特別なタクシーサービス」と呼ばれる不正が頻繁に行われていた。

今回の密輸でもパトカーが密輸業者を護衛についていたが、キートンたち5人は見事な連携で、相手を傷つける事無くエメラルドを奪い去る。

また、キートンの機転のおかげで、50人以上の汚職警官が芋づる式に検挙され、一掃された。そして、密輸業者から強奪したエメラルドを、ロサンゼルスにいる宝石仲介業を営むレッドフットという男に渡した。

一人の死傷者を出すことなくスマートにエメラルドを奪い取ったキートンたち5人に対して、今度はレッドフットから仕事を依頼される。

今度の仕事は、ロサンゼルスに滞在しているテキサスの宝石屋を襲い、盗んだ宝石と現金を山分けにしようと言う内容。

この仕事の依頼を受けた5人は、ホテルの駐車場で、テキサスの宝石商を襲うが、相手の反撃にあってしまう。そこで、やむを得ず、マクマナスが相手のボディーガードを、そしてキントが宝石商を銃で殺してしまう。

しかも、強奪したアタッシュケースを開けてみると、中身は現金や宝石ではなく、ヘロインだった。

想定をしていなかった事態に陥ったキートンら5人は、レッドフットを問い詰め、この話をレッドフットに持ち掛けた黒幕が「コバヤシと名乗るイギリス人弁護士」だと聞き出す。

そして、今回の話のバックにいた"コバヤシ"と直接会わせるように手配させた。待ち合わせ場所でキートンら5人が待っていると、弁護士のコバヤシが現れる。実は、このコバヤシと名乗る男性は、闇社会の大物「カイザー・ソゼ」の側近中の側近だったのだ。

このカイザー・ソゼは闇社会では、誰もが名前を知る伝説の人物だが、誰も会った事がない謎だらけの人物だ。当然、キートンやマクマナスはカイザー・ソゼの名前を知っており、余りにも危険なヤマに手を出したと顔色を曇らす。

しかも、キートンら5人は、知らぬ間にカイザー・ソゼの取引の邪魔をしていて、ニューヨークでの5人の出会いは、カイザー・ソゼが仕組んだものだった。

すべてカイザー・ソゼの手のひらで踊らされていたと知り凍り付く5人に対し、弁護士のコバヤシは「カイザー・ソゼ氏の仕事の邪魔をした借りを返して欲しい」と告げる。

そんなカイザー・ソゼからの仕事の依頼内容は「3日後に行われるソゼと対立しているアルゼンチン組織のコカイン取引を邪魔をして船ごと燃やせ」というもの。 コバヤシは、ソゼ氏からの贈り物だと言って、取引が行われる麻薬密輸船の見取り図が入ったアタッシュケースを置き去っていった。

カイザー・ソゼが本当に存在するかどうかわからないこともあり、この仕事を依頼を受けるかどうか悩むキートンたち5人。

フェンスターは、カイザー・ソゼはいないと踏んで、翌朝に逃げ出すが、海辺で死体として発見される。キートンたちは「カイザー・ソゼの正体は、コバヤシなのではないか!?」と考え、コバヤシのオフィスに奇襲をかける。

コバヤシのボディーガードを殺し、作戦は成功したかに思えたキートンたち。しかし、コバヤシは、キートンたちが襲ってくると予想をして、キートンの恋人のイディを人質にとっていた。

また、他のメンバーも同様に、近しい人が人質に取られており、キートンたち4人は、カイザー・ソゼの仕事から逃れられないと悟ったのだった。

コカインの取引が行われる当日、キートンたち4人は、それぞれの持ち場について、準備を進めていた。キートンは「生き残ったら、金を持って逃げろ。そして、イディにすべての話せ。」と、一緒にいたキントに話す。

そして、いよいよ作戦の結構開始。ホッケニーが船に設置した時限爆弾の爆発を合図に、船に乗り込んだキートンとマクマナスは、手当たり次第に敵を殺していく。一方、金を持って逃げろとキートンに言われたキントは、船の外で隠れている。

ホッケニーは銃で撃たれて犠牲になったものの、敵をほぼ全滅して、作戦が成功したかに思えたキートンたちだが、肝心のコカインはなかった。

キートンやマクマナスが困惑をしている最中、船の中で、「カイザー・ソゼが現れた」と騒ぎが起こる。そんな中、マクマナスは、後方から喉を切られて亡くなってしまった。また、カイザー・ソゼと思われる背広の男は、船の甲板でキートンも銃殺する。

そして、背広を着た男は、船に火を放って逃げ去った。                     一方、キントは物陰に隠れて、キートンが殺される様子を一部始終を見ていたのだった。

以上のようなキントの話を聞いたクイヤン捜査官は、キートンを助けたかったキントを責め立てる。しかし、キントは、マヒをした左手を見せながら、悪魔のようなソゼが怖かったと告白する。

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そんな中、爆発をした船には、薬物が無く、またソゼの正体を知っている密告者"アルトゥーロ"がいた事が判明。また、キートンの恋人"イディ"が、ホテルで殺されたことも判明する。

これらの状況証拠や、以前、キートンが自分の死を偽装したこと、キントはキートンの死体を実際に見ていないことから、クイヤン捜査官は、死んだと思われているキートンこそが、カイザー・ソゼだという結論に達する。

そして、キートンの目的は、コカインと船を燃やして取引を邪魔するのではなく、カイザー・ソゼの正体を知っている密告者の"アルトゥーロ"を殺して、再び闇に消えることだと確信した。

そしてクイヤン捜査官は、キートンが狙うのは、カイザー・ソゼの正体を唯一知っているキントだと思い警察の保護を受けることを提案する。

しかし、キントは、クイヤン捜査官の提案を拒否し、警察署から出ていく。キントが警察署から出て行ったあと、もう一度、今回の事件のことや自分の推理を考え直してみるクイヤン捜査官。

クイヤン捜査官がふと壁に目を移してみると、様々な新聞の切り抜きがあり、「イリノイ州のカルテット」「レッドフット」「グアテマラ」など、キントが話していた単語があることに気づく。

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そして極めつけは「コバヤシ」と言う名前。

なんと、クイヤン捜査官が飲んでいたコーヒーのマグカップの裏側には「コバヤシ陶器」と描かれていた。

クイヤン捜査官は、キートンがカイザー・ソザという推理は間違いで、本当のカイザー・ソザの正体は、今まで目の前にいたキントだと気付き慌てて、追いかけていく。

しかし、キントは、コバヤシと名乗っていた男が運転していたクルマに乗りこみ、街へと消えていったのだった。

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この面白さはどんでん返しに尽きるが、キント(ケヴィン・スペーシー)を尋問するクイヤン捜査官(チャズ・パルミンテリ)が、事務所の壁に貼られた切り抜き記事を見て、キントが話した固有名詞がすべて切り抜きの中にあったことを発見した時のクイヤン捜査官の驚きは、まさに観客の驚きと同じ効果があった。

 

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しかも、驚いて手元から落としたコーヒーカップの割れた底には「コバヤシ陶器」とあった。「クソぉ~コケにしやがって」と完全に騙された、とキントのあとを追うが、すでに後の祭り。不自由な足を引きずっていたキントの足元のアップ。その足は突然ピンと張り、待ち構えていた車に乗るのだった。運転手の顔を見ると、なんとコバヤシ〈を劇中演じていた)顔があった。見事な幕切れだった。