「アウトバーン」(原題: Collide、2016)は、アメリカ、ドイツの共同製作によるアクション映画。監督はエラン・クリーヴィー。原題は「衝突」の意味だが、邦題の「アウトバーン」が残念。これでは、わかりにくい。ドイツの無制限高速道路のことだが、一般には浸透していない。
出演は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のニコラス・ホルト、「博士と彼女のセオリー」「ローグ・ワン」のフェリシティ・ジョーンズ、「ベン・ハー」(劇場未公開)後に「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」のマーワン・ケンザリ、「ガンジー」のベン・キングズレー、「ハンニバル」のアンソニー・ホプキンス。
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物語の舞台は、ドイツ・ケルン。マフィアを率いるゲラン(ベン・キングズレー)の下で働いていたケイシー(ニコラス・ホルト)は、美しく快活な女性ジュリエット(フェリシティ・ジョーンズ)と恋に落ち、裏家業から足を洗おうと決意する。
だがその矢先、ジュリエットが病に倒れ、ばく大な手術代が必要になってしまう。
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脚本の中のセリフなどで、映画ファンをニンマリとさせるセリフが多い。
マフィアのボス・ゲランは、手下2人をトラック強奪に使うのだが、ケイシーに対しては、頭脳(アタマ)を使う担当ということで、映画「脱出」(原題:Deliverance、1972)で主演の”バート・レイノルズ”と呼び、マティアスは、映画「パーフェクト」で演技はイマイチだがアカデミー賞ものだというジョン・トラヴォルタの度胸がいいことから”グリース”(映画「グリース」1978)と名付けていた。
ケイシーが、ゲランに「危険な仕事か?」と聞くと、ゲランは「危険に決まってる。安全がいいならイケヤに行け。」
そんな時、ケイシーに転機が訪れる。ジュリエットというアメリカ人女性と出会ったのだ。ケイシーはジュリエットに近づき「ドイツの地で、偶然アメリカ人の二人が出会うのは運命だ」とかなんとか言うと、ジュリエットは、定番の決まり文句だとはねつけると「じゃあ、もう一度挨拶からやり直す」といって、遠ざかってから、再びやってきて「ハ~イ!」となる。
ジュリエットのために悪事から足を洗うことを決意したケイシーだったが、ジュリエットが重い病気を患っていることが判明。ジュリエットを救う手術には高額な費用が必要なことを知ったケイシーは、ゲランの誘いに乗り、とある大仕事へと臨むのだった。
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限界無視のノンリミット感、研ぎ澄まされたスピードとダイナミックなカー・アクション映画といえば、「マッドマックス」「ワイルド・スピード」「トランスポーター」などがあるが、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のニコラス・ホルトの最新主演作が「アウトバーン」だ。
最後のミッションとしてケイシーが挑んだのは、車を盗み、ただ届けるだけの簡単な仕事のはずだった。しかし、トラックには膨大な麻薬、高級車には500万ユーロの大金が隠されていた。
2つの巨悪組織の追っ手を振り切り、ケイシーは愛するジュリエットのもとに帰ってこられるのか・・・といったサスペンスとアクションがこれでもかというほど続いていく。
俳優陣も見どころだった。
ジュリエット役には、エディ・レッドメインとの共演作「博士と彼女のセオリー」でアカデミー賞主演女優賞ノミネートされたフェリシティ・ジョーンズが扮した。髪をブロンドに染め、ケイシーを真っ当な道へといざなう。「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」でも主演し、トム・ハンクス主演最新作「インフェルノ」にも出演するなど今や注目女優の1人だ。
名優対決(アンソニー・ホプキンス(左)とベン・キングズレイ)
名優対決は息を飲む。
アカデミー賞受賞経験を持つ名優ふたり、アンソニー・ホプキンス(「羊たちの沈黙」)、ベン・キングズレー(「ガンジー」)の激突だ。大物俳優がふたりも悪役として登場するのは珍しく、キングズレーはホプキンス演じるボスを倒して下克上を狙うキャラクター。テーブルを挟んでの対決シーンはうならせる。
アンソニー・ホプキンスが、ハンニバル・レクター博士(「羊たちの沈黙」)並みに怖い。チンピラの泥棒(ケイシー)が、強奪したトラックを隠した場所を問い詰めるシーンは、恐怖そのものだ。
追いつかれた結果、クラッシュしてしまうシトロエン。
命からがらコクピットから抜け出した主人公が次に手にするのは、なんとメルセデスベンツAMG GT(約2,000万円)。最高出力500馬力を超えるモンスターマシンで、主人公ケイシーは「アウトバーン」を爆走。アクセルを床まで踏み抜き、300kmオーバーで追っ手をぶっちぎってみせるのだった。
アクション映画、特にカーアクションでは、「ブリット」「フレンチ・コネクション」「マッドマックス」「トランスポーター」などに勝るとも劣らない映画といえそうだ。
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