マーティン・スコセッシ監督の「沈黙-サイレンス-」(2016)を見た。MOVIXさいたまにて。スコセッシ監督はこの企画を28年間も温めていたといい、満を持しての映画化ということになる。2009年から具体化していった。
長崎奉行による厳しい弾圧の下、司祭たちの苦悩や抵抗、日本人キリシタンたちの悲劇が克明に描かれる。信仰を貫くことで命を捨てるのか、信仰を捨て、生きるかの試練が、目を疑うような衝撃的なシーンで描かれる(PG12)。3時間という長尺だけでなく、厳しく過酷なシーンが多いので見るにはある程度の覚悟が必要かも。
日本におけるキリスト教の歴史は、16世紀半ば(1549年)のフランシスコ・ザビエルにより伝来したが映画「沈黙」では、それからおよそ80年後の17世紀(1630年前後)の時代が背景で、雲仙での地獄責め、長崎での踏み絵、イエズス会日本管区責任者ファレイラの棄教などが詳細に描かれている。
ハリウッドの大作にして、日本の江戸時代を本格的に描いた作品というのは過去にも例がなく、ハリウッド俳優のアンドリュー・ガーフィールド(「スパイダーマン」役)、リーアム・ニーソン(「96時間」「シンドラーのリスト」)の豪華俳優に加えて、浅野忠信、イッセー尾形、窪塚洋介、塚本晋也、笈田(おいだ)ヨシなど日本人俳優が熱演し、撮影は台湾で行われたが、江戸時代の日本が人物、風景共に違和感なく描かれている。
・・・
時は17世紀、江戸時代初期。
ポルトガルで、イエズス会の宣教師であるセバスチャン・ロドリゴ神父(アンドリュー・ガーフィールド)とフランシス・ガルペ神父(アダム・ドライヴァー)のもとに、日本でのキリスト教の布教を使命としていたクリストヴァン・フェレイラ神父(リーアム・ニーソン)が日本で棄教したという噂が届いた。尊敬していた師が棄教したことを信じられず、2人は日本へ渡ることを決意する。
2人は中国・マカオで日本人の漁師にしてキリシタン(キリスト教徒)であるキチジロー(窪塚洋介)の手引きにより、日本のトモギ村に密入国する。そこでは隠れキリシタンが奉行の弾圧に苦しみながらも信仰を捨てずに祈り続けていた。
キチジローはかつて弾圧を受け、踏み絵により棄教を示したが、自分以外の家族は踏み絵を行えず、眼前で処刑されたのだという。罪の意識を背負い苦しむキチジローは自分の村である五島列島にも2人の宣教師を招き、布教を広める。そこでフェレイラの手掛かりも掴み、任務は順調かと思えた。
・・・
日本人キリシタンの悲劇と、”神の沈黙”を描いているが、踏み絵(棄教)を拒んだものに課せられる拷問・処刑方法が、残酷極まりない。
火あぶりにされたり、藁で体をまかれ舟から海に沈められたり、海辺で十字刑にされ、打ち寄せる波に沈んだり、藁で縛られ、逆さづりにされたり、しかし、最も驚きは、刀での打ち首。首をスパっと切られ、ゴロゴロ首が転がる様は残忍。タランティーノ(監督)の世界。
日本人出演者が、日本映画のように熱演している。
裏切り者の役を演じる窪塚洋介、”怪優”ぶりを発揮したイッセー尾形などが印象的だが、通詞役(通訳)の浅野忠信の完璧ネイティブの英語は流暢すぎる(笑)。当初、通詞役は渡辺謙が予定されていたがスケジュールの都合が付かず、代役で浅野忠信が引き受けた。
・・・
出演者:
ヴァリニャーノ院長 - キーラン・ハインズ
リカルド - リッチ・グラフ
Old Goto Man - 江藤漢斉
☆☆☆
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「にほん映画村」に参加しています:ついでにクリック・ポン♪。