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<span itemprop="headline">映画「プレタポルテ」(1994):パリコレを舞台にした群像劇。</span>



ロバート・アルトマン監督の「プレタポルテ」(1994)を見た。
パリコレを舞台に、有名デザイナーやカメラマン、モデルなどのファッション業界の人々と、それを取材するファッション雑誌、マスコミの人々をシニカルに描いた群像コメディ。実際にパリ・コレにカメラを持ち込んで撮影したといい、ジャン・ポール・ゴルチェやジャン・フランコ・フェレ、ソニア・リキュエルといったファッション・デザイナーも登場している。


フランス語の「プレタポルテ」(prêt-à-porter)は、高級既製服のことで、文字通りに英語に訳すと「Ready To Wear」といい、アメリカではこのタイトルで公開された。

監督のアルトマンは、「ザ・プレイヤー」で豪華キャスト映画を作ることに味を占めたのか、「ショート・カッツ」、「プレタポルテ」と3連発で豪華キャスト映画を作った。小粋な作品ではあるが、中身は空っぽのピーマン。ラストシーンは、あっと驚くフルヌードのファッション・ショー。「何を着るかではなく、どう着るか」だというメッセージがあり、衣服にこだわることへの皮肉だった。

出演者は豪華で、ソフィア・ローレンマルチェロ・マストロヤンニのイタリアの黄金コンビを始め、アヌーク・エーメ(「男と女」)、ローレン・バコールキム・ベイシンガー(「ナイン・ハーフ」)ティム・ロビンスジュリア・ロバーツテリー・ガー、今や人気のフォレスト・ウィティカーなど。このほか、歌手のハリー・ベラフォンテシェール三宅一生、さらにパリのオートクチュール(高級衣装店)の著名デザイナーなどが本人役でカメオ出演している。

過去の映画のパロディやオマージュ、引用も多く、映画ファンをニンマリさせてくれる。「昨日今日明日」のオムニバスのワンシーンで、ソフィア・ローレンマルチェロ・マストロヤンニの前で、ストッキングを脱いで行くストリップのようなシーンも”再現”されている。


          「昨日今日明日」(1963)の1シーン

          プレタポルテ」(1994)の1シーン

「昨日今日明日」の時はローレン29歳、「プレタポルテ」の時には60歳だが、そのグラマー(死語)ぶりは健在だった。ローレンとマストロヤンニは元夫婦という設定。ローレンが15歳で結婚すると、マストロヤンニが「共産党なのでロシアに行く」と言ってモスクワに行ってしまい、音信不通になるというのは、なにやら「ひまわり」を彷彿とさせる。

スポーツ記者のティム・ロビンスと雑誌編集助手のジュリア・ロバーツが、ホテルの最後の空き部屋をどちらも譲らず、同室に宿泊して、いちゃいちゃする関係に・・・というのは「プリティ・ウーマン」そのもの。映画の物語には無関係。

登場する「ヴォーグ」「ニューヨーク・タイムス」「エル誌」などのファッション誌やメディアも実名。

「その歩き方ではジョン・ウエインランドルフ・スコットだ」「”パリの恋人”のヘプバーンがいい」「”巴里のアメリカ人”で行ってみよう」「(オカマに向かって)バーブラ・ストライサンドに目がそっくり」といった言葉のお遊びも目立った。クリスチャン・ディオールイブ・サンローラン、ブルガリといった名前くらいはわかるが、ファッション・ブランドに詳しい人なら、あれもこれもと登場するので興味も倍増かもしれない。ただし、ファッションの流行に対するアンチテーゼなのか、モデルのフルヌード(テレビでの放映は無理だろう)や、裸の赤ん坊たちの写真撮影のエンディングなど、ファッション重視に対する痛烈な皮肉を込めていた映画かも知れない。

テレビ局のインタビュアのキム・ベイシンガーが、生き生きと奮闘していたのが印象的だ。ジュリア・ロバーツの役名は、アメリカ大統領と同じアイゼンハワーというのも笑わせる。アルトマン監督の戦争ブラックコメディ映画「M★A★S★H」に紅一点で出演し話題となったサリー・ケラーマンも出ていた。

オールスターによるドタバタ映画だが、パロディ映画としてみれば、面白い。

★★


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