タイトルだけ見ると、フランス映画「現金(げんなま)に手を出すな」のようなギャング映画を期待すると肩透かしをくらう。B級映画ならまだ救いようがあるが、キョンキョンが出ていればいいというだけの映画だった。平坦なドラマ展開で、火曜サスペンスのテレビで十分の映画だ。
「予告編」
小泉今日子は、1980年代なかばのアイドル歌手時代から女優としての今日まで、常に第一線で活躍してきた数少ないタレントの一人だ。しかも、年齢を重ねてますます女優としても魅力が増している。
「ボクの女に手を出すな」は、タイトル倒れで、このタイトルのようなシーンは一切ない。孤児院育ちで不良娘だった黒田ひとみ(小泉今日子)は、これからは真面目に生きようと考え、スーパーのバイトを始めるが、客に対して文句を言ったりして、クビになってしまう。
家賃を滞納し、大家から立ち退きを言い渡され、アパートを追い出されてしまう。
だが、失敗し津山刑事(夏八木勲)に追われたひとみは、通りがかりの若い弁護士、加島(石橋凌)に救われる。そして、彼の紹介で信州の大富豪、米倉家の進の家庭教師をすることになった。古参の使用人の水谷きよには、ひとみは東京女子大の英文科卒という触れ込みで紹介されていた。実際には、ひとみは中卒だった。
進は手がつけられないわがままっ子だが、雇い主である米倉家の腹違いの姉、妙子(森下愛子)が、厳しく対応して欲しいということから、進に厳しい態度で接し、悪ふざけをしたときには池に放り投げた。それをみた女中のきよは、怒り、ひとみをクビにしようとする。
妙子が米倉家の采配を振っていたが、ひとみは田舎道で美知子のボーイフレンド、佑介と徹に出会い、進と共に彼らの泊まっているペンションに遊びに行く。
佑介は進を誘拐しに来たのだと告げ、ひとみに仲間入りを勧めた。
「進を誘拐しました。3,000万円用意してください。警察に知らせたら進を殺します」というメモを祐介はひとみに読ませた。それをカセットテープで録音していた。
米倉家に電話して、そのテープを聞かせたことから、ひとみが誘拐犯と思い込んでしまうきよたち。
彼らのボスは白木という不気味な男だったが、ひとみは勇気をふるって進と脱出した。翌朝、ひとみはワゴン車と共に黒焦げの死体となった佑介と徹を見た。
そして、白木の執拗な追跡をかわして東京へ戻り、美知子の実家を訪ねた。
妙子に連絡をしたひとみは、翌日、約束した神宮絵画館前に進と美知子と出かけた。だが、白木が現われて襲いかかって来た。やっとの思いで白木を振りきったひとみに、美知子は妙子が怪しいと告げる。
そして、進名儀の預金が銀行に50億円あることを知った。
加島のもとを訪ねたひとみは、そのことを告げた。加島は米倉家の別荘のある無礪島に行くように勧める。その頃、津山もひとみを追っていた。
島に行く船に乗る寸前、白木が出現するが、ひとみは彼を海に沈めるのに成功。
翌朝、島の近くに停泊中のヨットを発見、乗っていたのは妙子だった。
妙子はひとみを殺害しようとするが、誤って死んでしまう。
島では加島が待っていた。これから二人でやっていこうと抱き合う加島とひとみ。
そこに白木が現われ、加島に「乗りかえたのか」と挑んでいく。激しい闘いの後、加島は刺され、白木は船上から刑事の津山の射った弾に倒れた。ひとみは放心状態のまま、進や津山と島を去って行く(MovieWalker)。
キャッチコピーにある、どんでん返しが二転三転というのは「ない」。
せいぜい黒幕が、近くにいた人物というだけだ。
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ストーリーもまとまりがつかず、ラストシーンも尻切れトンボだった。
小泉今日子は不良っぽい役どころだが、あまり不良らしく見えなかったのが残念。
30年近く前の東京の風景、背景は、当時は当たり前でも、今から見ると、雑然としているような印象だ。時代の変化を見るのも面白い。公衆電話で、お金がなくなり、近くにいるおばさんに「10円貸して」という時代だった。
弁護士事務所のパソコンはどっしりしたデスクトップモニターで、テレビもブラウン管式。ノート・パソコンや携帯などはもちろんない。それでも当たり前の時代だった。
小泉今日子が主題歌「木枯らしに抱かれて」を歌っていた。
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