1983年だったと思う。
ある日の「日経新聞」朝刊を何気なく見ていたら、目をくぎ付けにするような全面広告が掲載されていた。その全面広告は、ほとんど真っ白な余白だらけ。真ん中に、ネズミでもかじったのか、”かじりかけ”のりんごのイラストが載っていた。
説明文もほとんどない。
へえぇ、思い切った広告を出す会社があるもんだな。
と思った、のはｆｐｄ一人ではなかったのでは。
下の方に、小さい文字があった。
確かこんな文句だったように思う。
「アップルとはりんごです。きょう、アップルは日本で
産声を上げました。いつの日か、アップルが注目された
ときに、このアップルが、「あの」アップルだったのか…
という日が来ることを願っております。・・・」
と、こんな感じだったような。
日本の朝・毎・読・日経などの広告料金は、全面広告1頁で、一回こっきりだったら、約1,000万円。複数紙に出せば、一日で読み捨てられてしまう新聞に広告料が数千万円だ。ちょっとやそっとでは、新興企業や中小企業では出せない。
米国本社からのプレッシャーもあったろう。巨人ＩＢＭが1985年にパソコン分野
に参入しても、アップルは、一定のシェアを確保するほど、信奉者が存在したようだ。
一時代を画したＩＢＭはどうなったか。
ＤＴＰ（デスクトップ・パブリッシング）で、英文雑誌編集に関わっていた時期があり、数年間以上、アップルの「マッキントッシュ」パソコンを使っていた（1990年前後）。
そんな親しみのあるアップル・パソコンだった。
アップル・パソコンの生みの親で、アップルの創業者のスティーブ・ジョブズ氏が、56歳の若さで亡くなった。20世紀の天才の一人であることは間違いない。
ライバルで友人のマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏や、ソフトバンクの孫正義氏は、「スティーブは、300年、400年後には、レオナルド・ダ・ヴィンチと並び称される天才として、歴史に残るだろう」と讃嘆している。
パソコンを始め、携帯分野、音楽分野でも世の中、生活のシーンを一変させるような製品を送り続けてきた。
影響力の大きい偉大な革命児を失った。
ご冥福を祈ります。
以下、報道。
米アップルは５日、同社創業者で前最高経営責任者（ＣＥＯ）のスティーブ・ジョブズ会長が死去したと発表した。５６歳だった。死因など詳細は明らかにされていないが、今年１月から「病気療養に専念する」として休職、８月にＣＥＯを退任したばかりだった。
スマートフォン（多機能携帯端末）「ｉＰｈｏｎｅ（アイフォーン）」をはじめ、革新的なヒット商品を次々と生み出し、世界の情報技術（ＩＴ）業界を主導してきた。
ジョブズ氏は１９５５年２月、米カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。７６年、同州シリコンバレーでアップルコンピュータ（現アップル）を設立。パソコン「マッキントッシュ」などを発売し、同社を世界的企業に育て上げた。
８５年に経営方針をめぐる社内対立が原因でアップルを去ったが、９７年に経営に復帰。斬新なデザインで話題を呼んだパソコン「ｉＭａｃ（アイマック）」や携帯音楽プレーヤー「ｉＰｏｄ（アイポッド）」など人気商品を次々と発売し、業績の低迷していたアップルを立て直した。
０７年にはアイフォーン、１０年には多機能携帯端末「ｉＰａｄ（アイパッド）」と大ヒット商品を矢継ぎ早に発売。アップルの株式時価総額は１０年５月に米マイクロソフトを抜き、情報通信（ＩＴ）業界世界一になった。
０４年に膵臓（すいぞう）がんの摘出手術、０９年には肝臓の移植手術を受けるなど長年にわたり健康問題を抱えた。
今年８月に「ＣＥＯとしての責務と期待に応えられない」として退任を表明。後任に最高執行責任者（ＣＯＯ）のティム・クック氏を指名し、会長に退いた。
ジョブズ氏はネット検索最大手グーグルなどとインターネット時代の覇権をかけた競争をにらんでいた。アップルは「彼の聡明（そうめい）さと情熱、エネルギーは我々の生活を豊かにする数々の革新の源泉だった」との声明を発表した。
そうか。
「あの」アップルだったのだ！（爆）
