↑上:「時計仕掛けのオレンジ」でアレックス役のマクダウエル(27歳)と最近のマクダウエル(62歳):下:鮮烈なポスター
マルカム・マクダウエル(1943年生まれ)。英国出身で、シェークスピア劇などで、演技を磨き、1968年から映画に進出しました。
主演第1作は「ifもしも…」(1969年)というタイトルの映画でした。
この映画は、英国で500年の伝統を誇る全寮制のパブリック・スクールが舞台で、1960年代後半の世界を席巻していた学生パワーをアナーキーな形で結実させ、青春の暴力的衝動を幻想を交えて描く異色の学園ドラマとなっていました。
厳格教育で知られる名門校にも反逆分子はおり、ミック、ジョニー、ウォレスの三人組はウォレスを慕う美少年の下級生やコーヒー・ショップの女店員を仲間に引きれ、“革命”を起こそうとします。決行は、開校500年記念祝典の日というわけです……。
いたずらめいた“ごっこ”の世界が、現実のテロルを反映したラディカルな暴力幻想に浸っていくさまがスリリング。この一作でリンゼイ・アンダーソン監督は一躍時代の寵児となり、カンヌ映画祭のグランプリを受賞しました。
しかし、マルカム・マクダウエルの名前を天下に轟かせたのは、1971年に公開された、
スタンリー・キューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」です。これは、主人公の特異なキャラクター(レープと暴力とベートーベンだけに全エネルギーを費やす恐るべき若者たちの一人)と、奇抜な映像で、観客に嘔吐をもようさせるようなセンセーショナルな映画であり、大きな話題となりました。
映画のスタートからして、ショッキングです。
時代は近未来。毎日のように暴力やセックスに明け暮れていた不良グループの首領アレックス(マクダウエル)は、ある殺人事件で仲間に裏切られ、ついに投獄させられてしまう。そこで彼は、攻撃性を絶つ洗脳の実験台に立たされるのですが……。
映画の色彩がすごい。赤一色の画面からオレンジ色に変わってゆくオープニング、有名な「雨に唄えば」のメロディに乗せて繰り広げられるレイプ・シーン。
広々としたレコード店の独特のセット。あらゆるシーンにキューブリック監督の手腕が冴え渡っていました。「2001年宇宙の旅」と並んで、SF映画という枠におさまらない突出した輝きを持っている作品ともいえるかもしれません。
「さすらいの航海」(1977年)・・・ナチスによる迫害を逃れ、大西洋に乗り出したユダヤ船。ところが大戦の勃発で船は各国から受け入れを拒否され、洋上をさまようことに。豪華客船を舞台に、大国のエゴに翻弄されるユダヤ難民の悲劇を描いた人間ドラマ。船長役のマックス・フォン・シドーを始めオールスター・キャストの大作でした。
主な出演者:
○フェイ・ダナウェイ
○オスカー・ウェルナー
○マックス・フォン・シドー
○オーソン・ウェルズ
○ジェームズ・メイソン
○マルコム・マクダウェル
○キャサリン・ロス
○リー・グラント
○ジュリー・ハリス
○マリア・シェル
○ホセ・ファーラー
ほかといったすごいメンバー。
「カリギュラ」(1980年)・・・この作品も強烈でした。
ローマの暴君、カリギュラを主人公に、ローマ大国の退廃を描いた大作。米の男性誌ペントハウスが製作したという変わり種。出演陣は豪華。性○のUPを捉えたショットが余りに多かったために、日本公開時は何が何だか解らなかったという声が強かったようです。大作らしい豪華なセットが目を引 くが、何しろ上映時間が長いために途中かなり苦しい。
マクダウエルが出る作品は、どれも一筋縄でいかない、強烈な役柄が多かったようです。
参考:Gyaoで「ナインハーフ3」(1998年)を今(6月25日)やっていますが、この映画の
マクダウエルは、とんでもない”クワセモノ”の役柄で、相変わらず「あっ」といわせていますね。
マルコム・マクダウエルの全出演作品:
■ 『夜中に星のあるように』(1968)
■ 『ifもしも・・・』(1969)
■ 『時計じかけのオレンジ』(1971)
■ 『ベッドかざりとほうき』(1971)
■ 『Long Ago Tomorrow』(1971)
■ 『オー!ラッキーマン』(1973)
■ 『ローヤル・フラッシュ』(1975)
■ 『スカイエース』(1976)
■ 『さすらいの航海』(1977)
■ 『タイム・アフター・タイム』(1979)
■ 『カリギュラ』(1980)
■ 『キャット・ピープル』(1982)
■ 『ブルーサンダー』(1983)
■ 『SFキング・オフアーサー魔剣伝説』(1983・日本劇場未公開)
■ 『Get Crazy』(1983)
■ 『Merlin and the Sword』(1985)
■ 『キャデラック・カウボーイ』(1988)
■ 『The Caller』(1988)
■ 『Buy & Cell』(1988)
■ 『MOON44』(1990)
■ 『クラス・オブ・1999』(1990)
■ 『沈黙のリベンジ』(1990)
■ 『サイボーグ3』(1993・日本劇場未公開)
■ 『からみつく愛欲の罠』(1993・日本劇場未公開)
■ 『ジェネレーションズ』(1994)
■ 『殺人療法』(1994・日本劇場未公開)
■ 『ミルク・マネー』(1994)
■ 『北斗の拳』(1995)
■ 『タンクガール』(1995)
■ 『不死身の男』(1995・日本劇場未公開)
■ 『サイキック・ターゲット』(1996)
■ 『ハイドロスフィア』(1996)
■ 『TOO BEAUTIFUL TO KILL』(1996)
■ 『精神病棟』(1996・日本劇場未公開)
■ 『機甲戦虫紀LEXX』(1997・日本劇場未公開)
■ 『Mr.マグー』(1997)
■ 『ヒューゴ・プール』(1997)
■ 『2103 the Deadly Wake』(1997)
■ 『ナインハーフ3』(1998・日本劇場未公開) (Gyaoで最近見ましたが、エロいだけでなく、内容も最後にどんでん返しがあり、意表をついています。結構面白かったなあぁ。)
■ 『ガーデン』(1998・日本劇場未公開)
■ 『Beings』(1998)
■ 『Nazis: The Occult Conspiracy』(1998)
■ 『Y2K』(1999・日本劇場未公開)
■ 『HELP!おたすけエイリアンズ』(1999・日本劇場未公開)
■ 『ザ・リミット』(1999・日本劇場未公開)
■ 『My Life So Far』(1999)
■ 『Love Lies Bleeding』(1999)
■ 『フライショック』(2000・日本劇場未公開)
■ 『The Visitors』(2000)
■ 『Gangster No. 1』(2000)
■ 『St. Patrick: The Irish Legend』(2000・TV)
■ 『The David Cassidy Story』(2000・TV)
■ 『マイ・ラブリー・フィアンセ』(2001)
■ 『ブラックホール』(2001・日本劇場未公開)
■ 『レジェンド・オブ・アロー』(2001・日本劇場未公開)
■ 『Dorian』(2001)
■ 『The Barber』(2001)
■ 『The Chemical Wedding』(2001)
■ 『Stanley Kubrick: A Life in Pictures』(2001)
■ 『アイ・スパイ』(2002)
■ 『炎の少女チャーリー:REBORN』(2002・日本劇場未公開)
■ 『Between Strangers』(2002)
■ 『インハビテッド』(2003・日本劇場未公開)