「ダラス・バイヤーズ・クラブ」(2013)は昨年のアカデミー賞で6部門にノミネートされ、主演男優賞(マシュー・マコノヒー)、助演男優賞(ジャレッド・レトー)、メイク・ヘアスタイリング賞の3部門を受賞した。
役柄のため、21キロも減量して臨んだというマシュー・マコノヒーは、ガリガリに痩せたHIV患者役で、痛々しいほどだが、強力なライバルとみられたレオナルド・ディカプリオ(「ウルフ・オブ・ウォールストリート」)を退け、アカデミー賞主演男優賞を射止めた。マコノヒーは「ウルフ・オブ・ウォールストリート」にも出演し、デイカプリオの上司役で、出番は少なかったが、あの胸をどんどんと叩き、ドラッグを吸う役も印象的だった。助演”男優”賞を受賞したジャレッド・レトーも「トランスジェンダー」役でインパクトがあった。
1985年、電気工でロデオカウボーイのロン・ウッドルーフ(マシュー・マコノヒー)は、医師のセヴァード博士(デニス・オヘア)と女性医師イブ・サックス博士(ジェニファー・ガーナー)の診察を受け、血液検査の結果、「HIV陽性で余命30日」と診断される。
アメリカには認可治療薬が少ないことを知ったロンは代替薬を探すためメキシコへ向かい、本国への密輸を試みる。偶然出会った性同一性障害でエイズを患うレイヨン(ジャレッド・レトー)とともに、国内未承認の薬を販売する「ダラス・バイヤーズクラブ」を設立するが・・・。
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1980年代当時はまだエイズは「ゲイ特有の病気」だと一般的に思い込まれており、無類の女好きであるロンは診断結果を信じようとしなかったが、詳しく調べるうちに、異性との性交渉でも感染することを知る。しかし友人や同僚たちに疎んじられ、居場所を失ってゆく。
治療薬のAZTは、当時臨床試験が開始されたばかりだった。
当時、HIV治療薬ではAZTが臨床試験段階で存在していた。ロンは、AZTの存在を知り、セヴァード、イブ医師に依頼するが、処方はできない、と言われる。そこで、ロンは、病院勤務の用務員(イアン・カッセルベリー)にカネを渡して、AZTを横流しするように依頼する。
ロンはAZTを受け取って、早速服用し始める。
病院で、ロンは性同一性障害のエイズ患者・レイヨン(ジャレッド・レトー)と知り合う。後にレイヨンは、ロンの仕事上の相棒となる。ロンは、メモで教えられたヴァス(グリフィン・ダン)という無免許医の病院へ向かう。ヴァスはアメリカの医師免許を剥奪されたのだった。
病院で、ロンは性同一性障害のエイズ患者・レイヨン(ジャレッド・レトー)と知り合う。後にレイヨンは、ロンの仕事上の相棒となる。ロンは、メモで教えられたヴァス(グリフィン・ダン)という無免許医の病院へ向かう。ヴァスはアメリカの医師免許を剥奪されたのだった。
ロンはヴァスの診察を受ける。彼は、AZTによる副作用が出ており、その治療を行う。HIV治療を受け、アメリカで内服薬を売って儲けようとロンは考える。牧師に変装するが、国境で捕まる。薬の内容を問われたロンは「末期癌患者で、未認可治療薬を密輸しようとしたのだ」と告げ、事なきを得る。
テキサスに戻ったロンは、街角で代替治療薬を売りさばく。レイヨンを相棒にし、会員に会費(月額 400 ドル)を払わせる代わりに、メンバーには薬を無料で渡すという方法をとることとした。そして、そのクラブを「ダラス・バイヤーズクラブ」と名づけた。
未認可薬で、よりよい治療薬がないか、とロンは考える。
FDA(米国食品医薬品局)のリチャード・バークレー(マイケル・オニール)は、治療薬を押収し、ロンを「逮捕する」と脅す。しかし、女医のイブはダラス・バイヤーズクラブの存在意義を認め、協力する。
FDAはロンの行動に、規制をかけ、さらに未承認治療薬の流布に歯止めをかけようとする。さらに、ダラス・バイヤーズクラブが資金不足になると、レイヨンは父にお金を無心し、さらに自分の生命保険を解約して資金を作って助けたのだった。
レイヨンは喀血し、死亡してしまう。ロンは悲しみに暮れる。さらに、AZTの副作用を問題とする会合で、「患者を救えるのに、どうして政府はそれを規制しようとするのか」と力強く主張する。
ロンは、利益を求めるよりもHIV患者への手助けをすることに使命を帯び始めていた。1987年、ロンはFDAを相手取り、治療薬の合法化を求めて裁判を起こす。結果、裁判では訴えは棄却されてしまう。だが、地元では仲間たちから喝采を受け、賞賛される。
余命30日と診断を受けてから7年後の1992年にロンは亡くなる。しかし、治療薬は少しづつ認可されるようになったのだった。
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劇中に「ロック・ハドソンもゲイでHIV患者だった」という会話が交わされ「ああ、”北北西に進路を取れ”に出ていたな」という箇所があるが、もちろんロック・ハドソンではなく、ケーリー・グラントだが、わざと間違えるという遊びゴコロも面白い。HIVの薬を求めて日本のシーン(渋谷のスクランブル交差点)も登場している。
映画の中で、コカインと注射にまみれた生活の中で、普通の暮らしをしたいとロンが語るが、「普通とは?」と聞かれて、「冷たいビールとロディオへの復帰だ」というところも面白い。
「ダラス・バイヤーズ・クラブ」も「ウルフ・オブ・ウォールストリート」も、コカインや麻薬といったテーマにしているが、その出発点は、ベトナム戦争の後遺症があった1960年代末期のヒッピー登場あたりではないかという気がする。
エンタメ性はないが、役者を見る映画と言えそうだ。
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