
映画 「焼肉ドラゴン」(2018) は、高度経済成長の1970年(昭和45年)に前後に時代に翻弄されつつ必死に生きる焼肉屋を営む在日コリアン一家の姿を通じて、日韓の過去、現在、未来を描く。
家族の誇り、愛情、衝突、そして時代に翻弄されていく姿を描いたヒューマンドラマ。原作・脚本・監督は鄭義信。出演は真木よう子、井上真央、桜庭ななみ、大泉洋など。
在日韓国人の支え合う姿と、差別、高度成長の波に押しつぶされる一家の姿と未来への希望を描く。


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<あらすじ>
時は高度成長期の1969年。バラック小屋のような家が並ぶ関西地方の一角。そこには、在日韓国人一家などが暮らしている。
一家には、第二次世界大戦に従軍して左腕を失い、四・三事件で故郷の済州島を追われて来日した金龍吉(キム・サンホ)と、再婚相手の高英順(イ・ジョンウン)を中心とした家族らがいた。

龍吉は長女・静花(真木よう子)と次女・梨花(井上真央)、英順は三女・美花(桜庭ななみ)をそれぞれ連れており、二人は国有地を不法占拠した集落で焼肉店「焼肉ドラゴン」を開業し、やがて長男の時生(大江晋平)が生まれた。
中学生となった金時生が「僕はこんな町大嫌いだ!」と屋根の上で叫ぶ。
梨花は李哲夫(大泉洋)と結婚パーティーを挙げようとしていたが、区役所の窓口で担当者と哲夫がケンカして婚姻届を提出できなかった。
夏になると国有地から立ち退くように一家は通知を受け、有名私立中学に通う時生はいじめにあって不登校となる。
哲夫が働かないこともあって梨花は立腹し、かつて付き合っていた静花の事をまだ好きなのではないかと責めたてる。
これを気にした静花は尹大樹(ハン・ドンギュ)と付き合うが哲夫はそれでも静花への好意を捨てず、梨花も常連客の呉日白と関係を持つようになった。


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1969年から1971年前後が描かれるが、大阪万博、当時の世相などが描かれていて興味深い。CMで一世を風靡した小川ローザの「オー・モーレツ!」や、万博の「太陽の塔」のミニチュア、ラジオで紹介されていた当時話題の大ヒット映画など(12月のクイズに出す予定。笑)。
当時は、今でははばかられる差別用語(かたわ、など)も日常的に登場していた。また、在日朝鮮人の北朝鮮への「帰還事業」などがあった。
この宣伝に乗って北朝鮮に渡ろうとする人もいたが、現地から帰還した知り合いの手紙には「釜ヶ崎のように楽しい場所」とあったと、帰還しないよう説得する声も。
釜ヶ崎はドヤ街で日雇い労働者が集まる場所で、関東で言えば「山谷(さんや)」にあたる場所。楽しい場所というのは、北朝鮮の検閲を考えての言葉。
タイトルからして、おいしい焼肉料理が出てくるのかと思ったら、タイトルが出たときに少し出たくらいで一切、焼肉は登場しない。
俳優陣の渾身の演技(特に、井上真央の反抗的な叫びの演技など)が見どころだった。
大泉洋とハン・ドンギュが、「やかん酒」の飲み比べ競争のシーンが面白い。


自分が茶碗で酒を飲み終えると、相手に「お返し」と酒を飲むよう催促する。これが何度も繰り返される。間にいた真木よう子のあきれた表情がいい。

<主な登場人物>
■父・金龍吉:キム・サンホ…朝鮮戦争で片腕を失った在日一世。豪快で不器用だが家族を強く守る。
■母・高英順:イ・ジョンウン…家族思いで明るい。懸命に店と家族の橋渡しをする肝っ玉母さん。
■長女・金静花:真木よう子…美しく芯が強いが、夫・哲男との夫婦仲が悪化。過去の恋愛と現在の結婚生活に苦しむ。小さいころに足のけがをしている。
■次女・金梨花:井上真央…純夫から想いを寄せられているが、美花のトラブルの後片付け、両親の負担、静花の心配など自分の幸せを後回しにし続ける。
■三女・金美花:桜庭ななみ…末っ子。自由奔放に恋をし、若さゆえの勢いで家族と時に激突する。
■長男・金時生:大江晋平…中学生。いじめが原因で失語症に。物語のナレーションの形式で語る。
■李哲男:大泉洋…静花の夫。愛情はあるが、すれ違いが続く。
■長谷川豊:大谷亮平…クラブ支配人。
■尹大樹:ハン・ドンギュ…静花の婚約者。
■呉信吉:宇野祥平
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