ある地方都市在住の、27歳の独身OL安曇春子(蒼井優)が突然行方不明となり、同時期に発生した「キルロイ」と呼ばれる若者が描くグラフィティ・アートや、女子高生ギャングが男性を襲撃する事件などとの関連を軸にストーリーが展開される。
高畑充希は、舞台で鍛えていているだけあって存在感がある。
独身OL安曇春子が突然姿を消した街を舞台に、彼女が消えるまでと消えた後の時間を交錯させながら、現代女子の生き様をスリリングに描くポップなエモーショナルあふれる青春映画。時間軸などをとらえてみないと、場面が錯綜しているのでややわかりにくい。
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実家では祖母の介護のストレスがたまった母と折り合いが悪く、勤務先の会社では、社長(国広富之)から毎日セクハラ(「女は早く結婚しろ!」)などの暴言を浴びてうんざりする毎日。毎日の生活に嫌気がさしながらも、退職する訳にもいかず、鬱々としている。
ある時コンビニでバイトする幼馴染の曽我雄二(石崎ひゅーい)と再会し、淡い記憶を取り戻す。
ある日、仕事の帰り道に公園から出てくる女子高生軍団とすれ違うが、なんとなく覗いてみると曽我雄二が怪我をして倒れていた。なんとその女子高生軍団は、曽我雄二を無差別襲撃していたのだ・・・。
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春子と雄二は、その後いい関係になっていく。
実は、吉澤は、社長と専務があっというほどの切り札をもっていたのだ・・・。
春子は手取り13万円、吉澤は17万円の月給で、社長と専務は、それぞれ月給100万円ということで、不満を持つ。
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安曇春子のストーリーがレコードのA面とすると、一方で、B面ともいうべき別の話が進行。同じ街に住む元キャバクラ嬢の20歳の木南愛菜(AINA、高畑充希)は、成人式をきっかけに中学校の同級生の富樫ユキオ(太賀)と再会し、付き合いが始まる。富樫ユキオは、ふらっと入ったレンタルビデオ店で、同じく中学校同級生の三橋学(葉山奨之)と再会。
2人は、グラフィティ・アートを街に描き出すが、何とそれが行方不明になった「安曇春子」の尋ね人ポスターをモチーフにしたものだった。
さらにもう一方では、女子高生ギャング軍団が、LINEで男性を呼び出しては襲い、金品を奪うという強盗事件が巷を騒がせていた。
すると、突然、女子高生ギャング団が三橋学を襲い、殴る蹴るの暴行を働くと、富樫ユキオと木南愛菜は驚いて逃げ出し、いったんは「キルロイ」は解散。
しかし、三橋学は1人でグラフィティ・アートを続けていて、地元の芸術祭で出店することになる。
準備中にまた富樫ユキオが合流し、芸術祭を機会にアーティストとしての成功を目論見るが、結果的に芸術祭には客が全然訪れず、田舎の現実に直面した2人は今度こそ本当に「キルロイ」の活動を終了するのだった。
安曇春子は失踪後、杉崎ひとみの結婚式で再会した同級生の今井えりと一緒に暮らしていたのだ。3人と今井の一人娘は海へと向かう。
ラストでは、街の映画館に集まる女子高生ギャング団を警官が取り囲む。
女子高生ギャング団のリーダーが「指鉄砲」を撃つと、なんと前に立っていた警官は倒れてしまう。
こうして次々と指鉄砲で警官を倒していき、最後にギャング団のリーダーから安曇春子は「一緒に来る?」と誘われるが、「もう女子高生ではない」と断り、映画は幕を閉じる。
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地方では、女性が一定の年齢になって独身でいると、会社などでは、若い女性に会社に来てもらいたいと考える。37歳の女性事務員・吉澤が、社長と専務に「フランス人(アフリカ系ということはいわずに)と結婚することになった」と告げると社長と専務はグーの音も出ないほど驚くところが面白い。
27歳の春子も、社長から「結婚しないの?」など常々セクハラ、差別的言葉をを言われてきたが、あるとき社長がいつものように「彼氏できた?」と聞いてきたときに「できました」と答えると、社長も言葉がでなかった。
木南愛菜(高畑充希)が、男たちに対しての復讐として「やられたからやり返したい」というと、安曇春子(蒼井優)は、「(自身が)豊かな生活になることが復讐だ」という。高畑充希が、はじけた演技で印象的。一方、蒼井優も、くたびれたような表情や、横顔のまばたきの動きだけで表情を感じさせる演技もすごい。
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