

映画「エンジェルフライト THE MOVIE」(2026)を見る。2023年3月に独占配信されたドラマシリーズ「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」の続編。2月13日から240以上の国や地域でプライムビデオで世界独占配信を開始。エンターテインメントドラマ。脚本は古沢良太。監督は堀切園(ほりきりぞの)健太郎。
「人間は一人で生まれ、一人で死んでいく」という言葉が印象に残る。
第10回開高健ノンフィクション賞を受賞した佐々涼子氏の「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」が原作。久しぶりに考えさせられ、泣かせるシーンもあり、ぐっと迫るものがある。
米倉涼子が「ドクターX」終了後、主人公・伊沢那美役で主演を務め、国境を越えて遺体を遺族の元へ送り届ける国際霊柩送還士の姿を感動的に描いている。さらに続編もあるかもしれない。
海外で事件や事故に巻き込まれたり、突然の病気などで不慮の死を遂げた人々を祖国で待つ人たちの元に送還しようと奮闘するエンジェルハースのメンバーたち。
今回、エンジェルハースのメンバーたちは、メキシコ、オーストラリア・イタリア・アメリカ・日本が舞台となる世界をまたにかけた厳しい案件に立ち向かう。



<あらすじ>
海外で亡くなった日本人や日本で亡くなった外国人の遺体を母国に搬送する国際霊柩送還士の伊沢那美(米倉涼子)のもとに、海外の事故で8年前に安否不明となった恋人の足立幸人(向井理)がメキシコで生きているかもしれないという知らせが届く。
今さら知りたくもないとあしらう那美だったが、メキシコで亡くなった日本人の送還のために現地へ赴くことになる。


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国際霊柩送還士という仕事についてはなじみがなかったが、外国で亡くなった人を母国に送り届けるというものだった。化粧を施したり「おくりびと」の国際版のような仕事ぶりだった。
「エンバーミング」という言葉が登場するが、エンバーミング(遺体衛生保全)は、遺体に殺菌・消毒・防腐処理を施し、長期の安置(約10日〜2週間)を可能にする技術のこと。専用の技術者(エンバーマー)が血液と防腐液を交換し、生前の健康な姿に近づける修復や化粧も行う。これにより、衛生的で安心な別れが可能になる。

イタリア人との国際結婚で生まれた赤ん坊のミーナが亡くなり、両親は苦しむが、イタリアにいる夫の親たちも孫の顔が見たいというので、「エンバーミング」で可愛いお人形のようになり、イタリアで家族たちが対面、抱き上げていた。
ミーナの母・真衣ランベール(入山法子)がお気に入りという”ノクターン”(Nocturne、夜想曲)が何度も流れ、涙を誘う。
来日中に亡くなったハリウッドの有名俳優マービン・クルーゾーは大人気で、映画「Dangerous Cop(危ない刑事)」でのセリフ「ルールは破るもの(Break the Rules!)という有名セリフを生み出した。
エンジェルハース社の会長・柏木史郎(遠藤憲一)の世代にとっては、マービンの映画はドンぴしゃ世代で、その名セリフとして記憶されているらしく、銃を構えて「ブレイク・ザ・ルールズ!」とモノマネをする。
このせりふは、クリント・イーストウッドのハリー・キャラハン(「ダーティ・ハリー」)の名セリフ「Make My Day!(おかげでいい一日になったよ)」のようなものかもしれない。
マービンと親しかったというサクラ(赤間麻里子)が、マービンとサクラのが一緒の写真を見せられた柏木は「スクリーンでは見せない楽しそうな笑顔は見たことがない」と驚く。柏木が「写真で見ると普通のおっさんじゃん」というとサクラが「普通のおっさんですよ」というのが笑わせる。
車椅子で世界一周に挑戦した健臣(佐藤緋美)は、外国で車椅子でも皆普通に接してくれ、スリにもあったといい「自分が普通の人間であるということを実感した」と語る。
最終ゴールがオンラインで会話を交わしていた泉(月島琉衣)がいるお寺であったことから、亡くなった後も、応援者たちの力を借りて棺をゴール目指して運ぶのだった。
健臣の友人が
「健臣~!泉ちゃんは(顔を)加工していなかったぞ!」(=美人だぞ)も印象的。
美沙子(鶴田真由)と譲司(木村祐一)の出会いは30年前。傷心の美佐子がたまたま路上でギターを弾いていた譲司が歌う歌詞に惹かれて「下手な歌だけど救われた」というのだ。
二人は、駆け落ちのように海外に飛び出し、30年間メキシコで暮らすことになる。「Cafe MISAKO」を開店するも、譲司のギャンブル、借金でメキシコ人に店を乗っ取られてしまう。
美沙子は「譲司とで会わなければよかった」と譲司にいっていたが、その後、美佐子は「30年間つきあわされ、最高の人生だった。毎日が楽しかった」と語っていたと、店を継いだメキシコ人のミゲルから伝えられ涙ぐむ譲司。
美佐子の死が自殺と思い込んでいた譲司は責任を感じていたが、死因がくも膜下出血であることがわかり、日本の美佐子の実母・君江(島かおり)から「娘は気むずかしく気が強いので大変だったでしょう」とねぎらいの言葉もあった。

1日だけ死者が蘇るというメキシコの「死者の日」

脇役陣が充実。中でも、準主役ともいえる生瀬勝久、木村祐一と赤間麻里子が印象的だった。
<主な登場人物>
■伊沢那美:米倉涼子…エンジェルハース社の剛腕社長。国際霊柩送還士。口は悪いが情に厚い敏腕リーダー。海外で亡くなった人を遺族のもとへ帰すことに使命感を持つ。シングルマザー。
■柏木史郎:遠藤憲一…エンジェルハース社の会長で重鎮的存在。現場を見守るベテラン。那美と旧知の関係。
■高木凛子:松本穂香…海外で活躍できる国際霊柩送還士に憧れを抱いて入社した頑固な新入社員。真面目で優しいがまだ不器用。那美を尊敬し行動を共にする相棒的存在。
■柊(ひいらぎ)秀介:城田優…遺体修復・処置のスペシャリスト。クールでプロ意識が高い。技術職としてチームを支える。那美から「完璧主義すぎる」と注意される。
■矢野雄也:矢本悠馬…若手社員。明るく人懐っこいムードメーカー。現場作業の実働要員。
■松山みのり:野呂佳代…事務・現場をサポートする社員。チームの潤滑油でコミカルだが人情派。
■田ノ下貢:徳井優…ベテラン社員。霊柩車ドライバー。事務・手配など裏方で支える。経験豊富で落ち着いている。
■伊沢航:織山尚大…那美の息子。母の仕事に複雑な思い。
■伊沢海:鎌田英怜奈…那美の娘。
■足立幸人:向井理…8年前に事故死したと思われていたが、メキシコで生存情報。那美の過去に関わる。
■黒崎:谷田歩…幸人が巻き込まれた事件を追う刑事。
■倉持吾郎:生瀬勝久…海外滞在中の車いすの息子・健臣を亡くす。
■倉持健臣:佐藤緋美…吾郎の息子。車椅子で世界一周を配信をしていた若者。オーストラリアで事故死。
■菊池譲司:木村祐一…30年前、ストリートミュージシャンで歌っているところ、美沙子と知り合い、日本を脱出、逃避行のようにメキシコへ渡る。
■菊池美沙子:鶴田真由…譲司の歌う曲に救われ、譲司とともに海外へ。30年間メキシコで暮らす。くも膜下出血で亡くなる。
■澁澤勲:丸山智己…美沙子の弟。当初は譲司が姉を自殺に追い込んだと思っていたがあとで病死と知り理解。
■澁澤君江:島かおり…美沙子と勲の母。気丈なおばあさん。
■真衣ランベール:入山法子…乳幼児突然死症候群(SIDS)で子どもを亡くした母。イタリア人の夫ルカと国際夫婦。
■ルカ:ALEX J.D.…真衣の夫(イタリア人)。妻とともに子どもの死を受け止める。
■圭子:原日出子…真衣の母。真衣に寄り添い支える。
■マービン・クルーゾー:リチャード・E・ウイルソン…ハリウッドスター。主演映画「Dangerous Cop(危ない刑事)」などがある。
■サクラ:赤間麻里子…日本の料理屋の女将で、マービン・クルーゾーが客として訪れ親しくなる。
■泉:月島琉衣…自身も車椅子で、健臣の「(車椅子でも)世界のどこにでも行けるを証明する」という言葉に勇気づけられる。山の上のお寺に住む。
今回、エンジェルハースのメンバーたちは、オーストラリア・イタリア・アメリカ・日本が舞台となる世界をまたにかけた厳しい案件に立ち向かう。
「何かできるなんて思うな。寄り添うしかないだろう」と語りかける那美。

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