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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「ウインターズ・ボーン」(2010)</span>


 
ウインターズ・ボーン」(原題:Winter's Bone)は、2011年のアカデミー賞作品賞にノミネートされた10作品の中の1本。内容は一貫して、重たくダークな物語で、映画を見る前に気合いが必要だ(笑)。アメリカ社会の底辺で生きる人々の生活をリアルに描き、サンダンス映画祭では絶賛された。
 
主役のジェニファー・ローレンスが主演女優賞候補になったほか、脚色賞と助演男優賞ジョン・ホークス)など計4部門にノミネートされた。若いジェニファーのタフネスぶりが見どころだ。
 



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ミズーリのとある寒村で貧しい一家を支える17歳の少女リー(ジェニファー・ローレンス)が、行方不明の父親を捜すうちに危険な状況に陥っていく。世の中には、知ってはいけない真実がある・・・。
 
全編にわたって映し出される寒々とした山林の景色がまた侘びしい。


投獄された父親が保釈中に失踪し、このまま保釈金を返済できない場合は、担保に入れられた土地と家を取り上げられてしまうという状況が冒頭で説明される。
 
幼い弟と妹を抱えて生活するリーにとっては、母親(シェリル・リー)が精神を病んでいて、頼りないばかりか、近所に住んでいる親戚一同もまた、誰も助けようとしない。逆に、父のことを訊ねるだけで怒り出して追い返される始末。特に叔父(ジョン・ホークス)の態度が冷たい。

地域の共同体にあって、極端に冷淡な親戚達が奇妙だが、実は隠されていた事実があることに気づかされる。一体何が隠されているのか・・・。
 
リーは、父親の失踪、母の病気、幼い弟・妹の生活のために、軍隊への入隊を志願するが、18歳以上(リーは17歳)が条件。父親が亡くなったことを証明して、なにがしかの現金を受け取る。
 
幼い弟がリーに言う。「軍隊に行かないの?」
「このお荷物(二人の幼い弟・妹のこと)がなかったら気が抜けちゃうでしょ」と、絶対に離れないことを誓う姿が印象的だった。
 
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ジェニファー・ローレンスが、最近の「アメリカン・ハッスル」でしたたかさを見せる貫録であるのに対して、わずか2-3年前には、17、8歳で、ハイティーンで健気な少女役だったのには驚く。

暗い雰囲気の中で淡々と進行していく陰鬱なミステリー。
原作者ダニエル・ウッドレルによると、「カントリー・ノワール」と呼ばれるジャンルだそうだが。
 
総じて低所得の貧困層が中心に描かれ、法律よりも一族の血縁や掟を重視する傾向があり、ワイルドな人達が描かれるようだ。

 

 
バンジョーやギターを使ったカントリー・ミュージックが登場する。
バンジョーと言えば、「脱出」(1972)のバンジョー(デュエリング・セッション)を思い起こす。
 
劇中でも何度か音楽が演奏されるが、陽気な歌ではなく、物悲しい落ち着いた曲が多い。
 
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映画では、父親は刑期の10年に耐えられず、一族を裏切った。密告は重大な掟違反である。そもそも父親の罪状が何であったかは話題にはならず、「一族の危ない仕事」のことを官憲(警察)に密告したことが重大な罪であるらしい。
 
少女の与(あずか)り知らぬところは、劇中でも深くは語られないが、「掟に背いた父親は一族の手で断罪された」ことが暗示されている。親戚一同の口が堅いワケだ。

映画の題名が「ウィンターズ・ボーン」である「冬の骨」とは・・・。
最後に明らかになるが、かなり残酷。

ネタバレ(反転):
一族に殺された父親の骨のことで、寒々とした海に投げ捨てられていた。
 
映画は、暗い、重苦しい映画だが、最後にわずかばかり救いがあった。
エンディングでかかる曲はいい。
 
♪誘惑と試練の中で 私たちは生きてゆく
  一日中 悩みながら なぜこうなのか --
  私たちの隣には 幸せな人々がいて
  何の苦しみもなく 暮らしているのに --
  ずっと歩んでいけば なぜだかわかってくるだろう
  妹よ 元気を出して 光の中で生きよう ♪
 
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ジェニファー・ローレンスの映画に進路を取れ・・・。
 
 
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