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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

【伝説の大女優】ソフィア・ローレン(「エル・シド」「ひまわり」)、元気に90歳を迎える。

 

イタリアの伝説的な大女優ソフィア・ローレンが9月20日に元気に90歳の誕生日を迎えた。最近では、2023年のベネチア国際映画祭に出席。

今年3月には「ダミアーニ」の100周年記念パーティに足を運ぶなどその行動力は驚くばかりで、現在も現役で活躍している。

ソフィア・ローレンは1934年9月20日ローマ生まれ

本名はソフィア・ヴィラーニ・シコローネ。ハリウッドとヨーロッパで半世紀以上にわたって第一線で活躍し、数々の受賞歴を誇っている。

ゴージャスな見た目を裏切る誠実で真面目な人柄で、根強い人気を保ち続けている。
映像出演では、2020年に息子のエドアルド・ポンティ氏が監督を務めるNetflixのドラマ「これからの人生」(原題:The Life Ahead, 2020)に出演し、ホロコーストを生き延びたユダヤ人女性の元娼婦マダム・ローザを演じた。

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「これからの人生」(2020)

【1950年頃】…ソフィア、15歳のころ。

ナポリ近郊で貧しい幼少期を過ごしたソフィア。ナポリ海の女王コンテストで最終審査に残り映画界へ。1951年に後の夫となるカルロ・ポンティに見出され、スターダムを駆け上がることになる。

駆け出しの頃は、ゴージャスな美貌でありながら、当時はグラマラス(肉感的)なボディのウケが悪く、スクリーンテストでは整形をすすめられたこともあったとか。それでもありのままの自分を貫いた意志の強さが、初々しくも輝く瞳に垣間見えて。眉尻が上がった眉、ハネ上げたアイラインがその魅力を後押ししている。

【1952年】…ソフィア、17歳のころ。

キャミソールとショートパンツ姿でグラマラスなボディが映えます。鋭角的な眉山、ぽってりとしたリップライン、キュートなカーリーヘアが50年代のムードを伝えている。

【1954年】…ソフィア、19歳のころ。

初期の主演作のひとつ、映画「Due notti con Cleopatra/Two Nights with Cleopatora (クレオパトラと二夜)」(1954)では美しいボディを披露。ヨーロッパでは受け入れられたものの、イギリスやアメリカではカットして公開されたとか。

【1955年】…ソフィア、20歳のころ。

ヴィーナスのサイン

イタリア映画「ヴィーナスのサイン」のスチール写真。デビュー当初のセクシーなキャラクターから徐々に演技力、表現力が評価されるようになり、俳優としての地位を確立していった頃。

【1957年】…ソフィア、22歳のころ。

 

ハリウッドに進出し始めたころ、スレンダーボディにオーラを漂わせている。「島の女」で国際的なスターとみなされるようになり「誇りと情熱」(1957)で憧れの大スター、ケーリー・グラントと共演。

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【1960年】…ソフィア、25歳のころ。

 

ふたりの女」                                  「ナポリ湾」

この年には「西部に賭ける女」「ナポリ」「求むハズ」「バラ色の森」「ふたりの女」に出演。「ふたりの女」ではアカデミー主演女優賞を受賞。英国アカデミー賞主演女優賞もあわせて受賞、大女優の仲間入りを果たした。

  

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その後は「エル・シド」(1961)「戦場を駈ける女」(1961)「ボッカチオ'70」(1962)「昨日・今日・明日」(1963)「アルトナ」(1963)「ローマ帝国の滅亡」(1964)「あゝ結婚」(1965)「レディL」(1966)「アラベスク」(1967)チャップリンの最後の作品「伯爵夫人」(1967)などを経て、ローレンの集大成ともいうべき名作「ひまわり」(1970)に出演。

  

                 特別な一日

 

その後「結婚宣言」(1972)「ラ・マンチャの男」(1972)「カサンドラ・クロス」(1977)「特別な一日」(1978)「愛の彷徨」(1978)「リベンジャー」(1979)「プレタポルテ」(1994)「微笑みに出逢う街角」(2002)「NINE」(2009)「ソフィア・ローレン 母の愛」(2020)「これからの人生」(2020)などがある。

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<個人的なマイベスト10> ※トップ3は不変。
(1)「ひまわり」
(2)「昨日・今日・明日
(3)「ラ・マンチャの男
(4)「エル・シド
(5)「ローマ帝国の滅亡
(6)「島の女」
(7)「ふたりの女
(8)「レディL」
(9)「カサンドラ・クロス
(10)「結婚宣言」

このブログでは、女優としてはソフィア・ローレンが一番多く登場しているかもしれない。見返すと、同じことを何度も書いている(笑)。

生きた伝説の女優としてこれからも長生きしてほしい。

 

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中国映画「ノー・モア・ベット 孤注」(原題:孤注一擲/No More Bets、2013)を見る。ネット詐欺犯罪。

中国映画「ノー・モア・ベット 孤注」(原題:孤注一擲/No More Bets、2013)を見る。中国では、公開6日で興行収入16億元(320億円)を突破した。

中国で大ヒットを記録した「クレイジー・ストーン」などのヒットメーカー・寧浩(ニン・ハオ)がプロデュース。若手監督の申奥(シェン・アオ)が監督と脚本を務めた社会派サスペンス。

ノー・モア・ベットはルーレット用語で、ディーラーが白球を盤に投げてから発することばで「(賭けは)もうだめです!」といった意味。

原題の「孤注(こちゅう)」はばくちで有り金を全部かけて勝負すること。一擲はサイコロを投げること。「孤注一擲(いってき)」はイチかバチかの大勝負をすることをいう。

韓国の男性アイドルグループEXOのメンバー・張芸興(レイ・チャン)と中国ドラマ「萌妃の寵愛絵巻」で人気となった美人女優・金晨(ジーナ・ジン)がW主演を務めている。

         

日本でも話題になっている闇バイトや特殊詐欺のような中国社会で深刻化するネット詐欺をテーマにしている。

軽くお金稼ぎのつもりで関わると、話しが違うと気づいても抜け出せなくなり深みにはまっていく。人の心の根底にある「欲」によって人生を翻弄されながらも、必死に抗い立ち上がろうとする人間の強さが描かれている。

オープニングの人集めの逆リクルーティングがテンポよくすすむが、そこから自らの陥った状況を知って絶望を覚える主人公たちと見る側ものめりこんでいく展開。

囚われの身から脱出して警察に逃げ込んだら、警察もグルという状況。果たしてパン・シェンとアンナの2人は生き残れるのか…。

・・・
プログラマーのパン・シェン(レイ・チャン)とモデルのリャン・アンナ(ジーナ・ジン)は、エリック・ワン (ルー・ビンクン)から海外で高収入の仕事があるという言葉に惹かれ、海外へと出発する。

しかし、約束された雇用は実際には奴隷収容所のような詐欺工場であることが判明。パン・シェンは海外に拠点を置く詐欺集団に拘束され、アンナに助けを求めるが私利私欲に駆られたアンナは、それを拒否する。

だが、そんなアンナの目に、違法カジノによって騙され崩壊してしまった無数の家族の姿が映る。目を背けたくなるような悲惨な光景に、アンナの心にも変化が起こる。

ハンドラーによって投獄され、虐待された彼らは、オンラインの被害者に対してサイバー詐欺を犯すことを余儀なくされてしまう。

彼らの行動の結果として、グー(ダレン・ワン)という名前の見知らぬ人物はオンライン・ギャンブルに夢中になる。

貯金をすべて失ったグーは、ビルから飛び降りて自殺を試みる。グーのガールフレンドのユー(ソン・ユー)が警察に通報する。

警察のチョウ・トウラン(ヨン・メイ)は捜査を開始し、最終的にはシンジケートを取り締まることになる。

・・・
詐欺工場は田舎の辺鄙なところの一角にあるが、建物の中は、ネットにつながれたパソコンが数十台もあり操作する人間も数十人と大がかり。脱出を試みた人間は、暴力を振るわれ、動物が入れられるような檻に閉じ込められる壮絶さ。

クライム・スリラーとして面白かった。ミャンマーでは、映画が無名の東南アジアの国としているが、ミャンマーとの類似性から上映禁止となったという。

<主な登場人物>
■Gina Jin(ジーナ・ジン):アンナ…詐欺工場にディーラーとして閉じ込められる美人のモデル。

■Lay Zhang(レイ・チャン):パン・シェン…詐欺工場に閉じ込められるプログラマー

■Eric Wang(エリック・ワン):ルー・ビンクン…詐欺工場のマネージャー。

■Sunny Sun(サニーサン):An Juncai…ルーの手下。

■Darren Wang(ダレン・ワン):グー・ティエンジー…パンとリャンに騙された見知らぬ人物。カジノで大負けする。

■ヨン・メイ:チョウ・トウラン…中国の女性警察官。

■Zhou Ye(周葉):Song Yu(宋雨)…グーのガールフレンド。

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映画「東京湾炎上」(1975)を見る。タンカーをシージャックするパニックムービー。

     

東京湾炎上」(1975)を見る。1970年代以降流行ったパニック映画の1本。監督は「喜劇 三億円大作戦」「父ちゃんのポーが聞える」の石田勝心

石油を満載したタンカーをシージャックしたテロリストやその脅威にさらされた乗組員たちの人間模様と、事態を秘密裏に解決するために情報操作を行う政府関係者を描いたパニック映画。

1970年代半ばは「日本沈没」(1973)や「ノストラダムスの大予言」(1974)などのパニック映画が流行していた。そのうえ、前年に発生した第十雄洋丸事件などの石油タンカー爆発事故が相次いでいたため、これらに影響を受けて製作されたのが原作が田中光二の「爆発の臨界」。主題歌は「あなたは旅人」(歌:橋本葉子)。

・・・
20万トン級タンカー「アラビアン・ライト」は航海を終え、31名の乗組員を乗せて日本へ戻ろうとしていた。石油技師の館次郎(藤岡弘)にとっては2年ぶり、他の乗組員にとっては半年ぶりの帰国となる。

館は初山船医(金井大)や寺田司厨長(しちゅうちょう、下川辰平)たちとメスルームで話した後、伊豆の風景を見るためにブリッジヘ行くことにした。彼は途中で五十嵐無線局長(久野四郎)や宗方船長(丹波哲郎)と会話を交わす。

館は宗方船長に「いよいよ海から降りられますね。陸にあがると重役とか専務とか呼ばなきゃきけませんね」というと、宗方船長は「キャプテンでいいよ。どうも俺はデスクワークにはむかん。次はオンボロ貨物船の船長だ」

ブリッジに辿り着いた館は伊豆を眺めながら、江原一等航海士(北村総一朗)に思い出を語る。江原は館が日本に恋人の未知子を置いて来たことを知っており「一番大切な山を見つけておきながら、そいつに気が付いていないようだな」と告げる。

すると館は「今度は、それを確かめに戻ったんです」と述べた。館は未知子(金沢碧)から「常に手の届く所にいてほしい」と求められた時のことを回想する。

遭難信号が打ち上げられ、6人の男たちを乗せた救命ボートが近付いて来るのを江原は発見した。江原の連絡を受けた宗方は、エンジンを停めて6人を救助するよう指示した。

しかし双眼鏡を覗いた宗方は、男たちが銃を隠し持っていることに気付いた。彼は慌てて「縄梯子を外せ」と叫ぶが、男たちは銃を構えて乗組員を脅した。

五十嵐は第三管区海上保安本部にメイデーの通信を送った。男たちは乗組員を制圧して伏せさせ、船に爆雷を仕掛けてからエンジンをスタートさせた。

一味のリーダーであるシンバ(ケイ・アモア)は、東京湾へ向かうよう宗方に命じた。その時、新聞記者の岩動達也(渡辺文雄)を乗せた取材ヘリが接近した。

特ダネを掴むことに意欲を燃やす岩動は、アラビアン・ライトの写真を撮影する。しかし民間飛行禁止エリアを飛んでいたため、自衛隊機の警告を受けたヘリは飛び去った。

シンバは宗方に対し「日本政府にメッセージを送る。船や飛行機を近付けるな。日本の港のどこかにいる船に爆雷をセットした。無事に東京湾へ入れば、港と船の名前を教える。断ればタンカーは爆破する」という。

テロ集団は、日本人のムンク水谷豊)を介してタンカーの原油タンクに時限爆弾を仕掛け、喜山CTSを爆破したうえで、その様子をテレビ中継しなければ、東京湾の中央に停泊させたアラビアンライト号を爆破すると要求するのだった。

はたして日本政府の対応は…?

・・・

冒頭、「東京湾炎上」というタイトルが大きく表示された後、オープニング・クレジットと共に橋本葉子が歌う主題歌「あなたは旅人」が流れる。

ムード歌謡映画を思わせるような始まりで場違いのようなタイトル。タイトルにも偽りありで、結局、東京湾は炎上しなかった(ネタバレ)。

メロドラマ風の始まりだが、歌詞は主人公・館次郎(藤岡弘)の恋人・未知子(金沢碧)の心情を歌い上げているが、2人の映像は過去のフラッシュバックが数分描かれるだけで、あとは、ほぼタンカー内の描写。女性キャラは完全に付け足しのようで不要に思える。

今から振り返ると体裁は「ジャガーノート」(1974)と「カプリコン・1」(1974)を足して2で割ったような作品だったが、シージャッカーたちのゆるゆるさも目立った。

ジャガーノート」は豪華客船に爆弾を仕掛けたという話。「カプリコン・1」は、宇宙飛行を別撮りカメラで偽装する話。片言の変な日本語を話すゲリラたちと、その仲間に日本人が一人という設定の不可思議。

丹波哲郎のこの頃(1975年)の映画出演数は半端なく多い。前年の1974年には「砂の器」「直撃地獄拳 大逆転」「ノストラダムスの大予言」などが公開され、1975年には「少林寺拳法」「新幹線大爆破」「暴力金脈」「神戸国際ギャング」「水滸伝 杭州城決戦」などが相次ぎ公開された。同時にテレビでは「Gメン'75」がスタートし、第1話(1975年5月24日)から第355話(1982年4月3日)まで続く活躍を見せている。

日本人のテロリストを誰が演じているのかわからなかったが、水谷豊だった。水谷豊は脚本を読んで予定の役柄とは逆の立場のテロリスト役を志願したという。日本人が、大義のために同胞の日本人を追いつめる役を演じた。水谷豊は、翌1976年の「青春の殺人者」でキネマ旬報主演男優賞を最年少(24歳)で受賞した。

<主な登場人物>
■宗方:丹波哲郎…大型石油タンカー「アラビアンライト号」の船長。
■館次郎:藤岡弘…地質学者。恋人・未知子を残し中近東など長期滞在が多い。
■小佐井:宍戸錠…「アラビアンライト号」の機関長。
■未知子:金沢碧…恋人・舘が長期にわたり海外にいることが不満。
■西沢:内田良平…「アラビアンライト号」の甲板長。
■岩動達也:渡辺文雄…新聞記者。
■葛城対策本部長:鈴木瑞穂…テロ対策本部長。対テログループの日本政府の代表窓口。
■深見久:佐藤慶
■江原:北村総一朗…一等航海士。
■井上:潮哲也…三等航海士。
■片岡:富川澈夫…「アラビアンライト号」の機関士。
■五十嵐:久野四郎…無線局長。
■初山:金井大…船医。
■寺田:下川辰平…司厨長(しちゅうちょう)。
■担当官:加藤和
■若林進:佐竹明夫…特撮監督。
防衛庁長官:入江正徳
■有島:高杉哲平…海上保安庁長官
ムンク:水谷豊…ゲリラ(テログループ)の唯一の日本人。
■キファ…:ケン・サンダース…ゲリラのメンバー。両親を戦争で日本人に殺され、日本人を憎んでいる。
■シンバ:ケイ・アモア…ゲリラのリーダー。先進国と途上国(自身のアフリカ)の格差を訴え、テロ行動を起こす。
■ザンバ:ウイリー・ドーシー…ゲリラ・メンバー。
■テンボ:マスド・ラシド・ローン…ゲリラ・メンバー。
■ムボゴ:イクバル・ハニフ…ゲリラ・メンバー。

<スタッフ>
製作:田中友幸、田中収
監督:石田勝心
特技監督中野昭慶
原作:田中光二「爆発の臨界」(1974年、祥伝社
脚本:大野靖子舛田利雄

 

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映画「ラストマイル」(監督・塚原あゆ子、脚本家・野木亜紀子、2024)を見る。

映画「ラストマイル」(2024)を見る。MOVIX さいたまにて。タイトルは、物流サービスの用語で「荷物を顧客に届ける最後の区間」のこと。邦画の実写映画ですでに45億円突破の大ヒット。(追加:9月末時点で動員が338万人、興行収入48億円を突破。)

テレビドラマの「アンナチュラ」と「MIU404」でタッグを組んだ監督・塚原あゆ子脚本家・野木亜紀子によって描かれたノンストップ・サスペンスエンタテインメント。この2作と世界観を共有する”アベンジャーズ”があるシェアード・ユニバース作品。

大手ショッピングサイトの関東センターから出荷された荷物に次々と爆発物が仕掛けられる謎の連続爆破事件が発生。そのセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)が未曽有の危機に立ち向かっていく姿を描く。

主演の満島ひかりが元気はつらつと演じていて「スオミの話をしよう」の長澤まさみと、主演女優賞を争うことになりそうだ。

・・・
冒頭、ロッカーの中にサインペンで殴り書きされた文字が目に飛び込んでくる。そこには、2.7m/s → 70kg 〇とある。そして「ラストマイル」のタイトル。 

流通業界最大のイベントである11月のブラックフライデー前夜、世界規模のショッピングサイトの関東センターから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生し、やがて日本中を恐怖に陥れる連続爆破事件へと発展する。

関東センター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)とともに事態の収拾にあたるが…。

・・・
ネット通販などの巨大なショッピングサイト(アマゾンを連想させる)の配送システムなどが興味深い。荷物の爆破事件が相次ぐが、誰が何の目的で…という謎が明らかになっていく。

また、送料無料というのが多いが、配送運賃はどこがカバーしているかと言えば、巨大なショッピングサイトから委託された配送業者がかなり安い料金で請け負っている(劇中、1個150円という会話があり、20円値上げになるという話も)からである。

かつての配送仲間で一日に200個扱ったツワモノがいたというが、結局過労からか亡くなったという。

巨大な物流と配達業者の実態を背景に次々に起こる荷物の爆発の理由とは…。

この映画は劇場で観るべきと思った。何度か爆発が起こるが、爆音が心臓にズキンとくる迫力だった。

映画がヒットしているのは、テレビドラマ2作品を見ている視聴者が劇場まで足を運んだとも考えられる。2つのドラマは未見だが、登場人物がその役のまま映画にも登場している。

というわけで、主役を張れるような俳優、女優が短いカットで多数出演していて、贅沢な印象を持った。

出演俳優のエンドクレジットで、トップは主演女優(満島ひかり)だが、トメ(キャストの中で最後に名前が出る人;W主演に近い重要な役柄)は麻生久美子だった。西武蔵野署・署長役で連続爆破事件の捜査を指揮していた。

爆破事件のニュースを伝える大型スクリーンは新宿のユニカビジョンが使われている。2016年にヒットした新海誠監督作品「君の名は。」でも東京のシーンで登場し「聖地」として知名度を上げた。

外資系の会社のドライさと日本人の勤勉さとの狭間の苦悩というのも垣間見えた。

「企業理念」が12項目のスローガンに集約されていたが、その中でも「全てはお客様のために」(Customer-centric)という言葉が何度も繰り返される。流通の課題・問題(人手不足、委託配達料の安さなど)に優先される。ほかにも「限界は自分で決める」(No Limit)「自らの責任で行動」(Responsibility)など。

こうしたことが勤勉な日本人にプレッシャーとなったのか。一年で最も稼ぎ時である「ブラックフライデー」が怖いということに結びついていく。

有名ショッピングサイトDAILY FAST」に模したサイト「DAILY FAUST」が登場するのも消費者を混乱させる。

<スタッフ>

監督: 塚原あゆ子
映画脚本: 野木亜紀子
主題歌: 米津玄師「がらくた」
制作会社: TBSスパークル

<主な登場人物>
■舟渡(ふなど)エレナ:満島ひかり…ショッピングサイト「DAILY FAST」のアメリカ本社から日本の物流拠点・関東センターのセンター長の後任としてとしてやってくる。
■梨本孔:岡田将生…転職して2年前からセンターのチームマネジャー。エレナに振り回されながらも事件解決に奔走する。
■八木竜平:阿部サダヲ…ショッピングサイト「DAILY FAST」の輸送を担う運送会社、羊急便の関東局局長。
■五十嵐道元ディーン・フジオカ…日本支社統括本部長。エレナの上司。
■桔梗ゆずる:麻生久美子…西武蔵野署・署長で、連続爆破事件の捜査の指揮を執る。かつては女性初の警視庁刑事部機動隊の隊長だった。
■伊吹藍:綾野剛…警視庁刑事部・第4機動捜査隊・隊員。機動力と運動神経に優れる。
■志摩一未:星野源…警視庁刑事部・第4機動捜査隊・隊員。観察眼と社交性に長けた理性的な刑事。

■勝俣奏太:前田旺志郎…機動隊の初動捜査で活動。

■陣馬耕平:橋本じゅん…警視庁刑事部・第4機動捜査隊・班長
■毛利忠治:大倉孝二…西武蔵野署の刑事。本事案の捜査にあたり、捜査一課の刈谷とコンビを組むように命じられた。
刈谷貴教:酒向芳…捜査一課所属刑事。西武蔵野署の毛利を案内役として捜査にあたる。
■小田島:丸山智己…警視庁警備部爆発物処理班・班長
■佐野昭:火野正平…羊急便の委託ドライバー。
■佐野亘:宇野祥平…昭の息子。父とともに配達員となる。
■三澄ミコト:石原さとみ…「不自然死究明研究所(UDIラボ)」法医解剖医。
■中堂系(なかどうけい):井浦新…UDI法医解剖医。
■久部六郎:窪田正孝…6年前、UDIラボアルバイト。現在は東央医大研修医。
■東海林夕子:市川実日子…UDIラボ臨床検査技師
■坂本誠:飯尾和樹…UDIラボ臨床検査技師
■神倉保夫:松重豊…UDIラボ所長。元厚生労働省医政局職員。

■三澄夏代:薬師丸ひろ子…民事事件担当弁護士。ミコトの義理の母。

■松本里帆:安藤玉恵…2人の子供をもつシングルマザー。
■木林南雲:竜星涼…葬儀屋。

白井一馬:望月歩…バイク便で働く。

映画館入場者に「シール」が配布されていた。

 

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シネコン、MOVIX さいたま周辺の巨大モール(Cocoon 1,2,3)と反対側はさいたまアリーナなど。

 

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映画「日本誕生」(稲垣浩監督、円谷英二特撮監督、1959)を見る。東宝1,000本記念として製作。

日本誕生」(1959)を見る。東宝1,000本記念として製作。目標は壮大なスケールの「十戒」(1956)のような映画だったといわれる。

阿蘇山にて400名のスタッフでロケを敢行。東宝のオールスターキャストで描くスペクタクル。日本”沈没”映画は新旧含めて何度も見たが、日本”誕生”映画は初めてかもしれない。日本神話の一つ、国生み(くにうみ)神話を描いているようだ。

日本神話のイザナギ(伊雅那岐)、イザナミ伊邪那美)と、アメテラスノオオミノカミ(天照大御神)、スサノウ(須佐之男素戔男尊)、ヤマトタケルノミコト日本武尊)などが登場し、物語は、小椎命(日本武尊)を主人公としつつ、合間に太古の神々の物語を挿入した二重構造として描いている。

登場人物のキャラクターの読み方が難しく聴きとれなかったり、人物の関係性を頭に入れるのが難しい(日本語字幕が必要。笑)。登場人物の一覧を手元に置いてみるのもいいかもしれない。日本神話の一端を知ることができる。

・・・
(大まかなストーリー)語り部の媼(おうな=老女のこと)が話すイザナギ(伊雅那岐)、イザナミ伊邪那美)の両神の国産みを中心に日本神話の幻想的な映像から始まり、主題である日本武尊の物語に入っていく。

小椎命(オウスノミコト、三船敏郎)は、兄を追放するという勇猛な性格を父である景行天皇(けいこうてんのう、二代目中村鴈治郎)に警戒され、九州の熊曽征伐を命じられる。

大伴建日連(オオトモノタケヒ、東野英治郎)が一族出身で天皇の後添いの子・若帯日子命(タラシナカツヒコノスメラミコト、宝田明、後の成務天皇)を皇位につけようと画策しているのである。

伊勢のおばの倭姫(ヤマトノヒメ、田中絹代)のところで巫女の弟橘姫(オトタチバナヒメ司葉子)に出会う。

女装して近づくという巧みな計略で見事に熊曽建(志村喬)を討ち取った小椎は熊曽の弟タケルから兄の非道の報いだが、兄を討ってもいいと思っていたと告白される。

そして日本武尊ヤマトタケル)を名乗ってくれと頼まれる。大手柄を立てて都に帰った日本武尊に、天皇は休む間もなく東国の征伐を命じる。父は自分を嫌っているのか、と沈痛な気分になる。

語り部の媼(オウナ)は天照大神(アメテラスノオオミノカミ、原節子)が高天原にいた時、弟の須佐之男スサノオ三船敏郎、2役)が悪戯を繰り返し、天岩戸(アマノイワト)に隠れてしまい、災いが起こった話をする。

 

倭姫は須佐之男が父の伊邪那岐から疎まれていた話をして、日本武尊天皇からという一振りの剣(叢雲剣、別名・草薙の剣)と私からという万が一に開けるべき袋を与えられて力づけられる。

その剣の由来は神代の昔、須佐之男スサノオ)が八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治して奇稲田姫クシナダヒメ、上原美佐)を助けた際に手に入れたものであったが、天皇ではなく倭姫がくれたものであった。

尾張で美夜受姫(ミヤビヒメ、宮簀媛、香川京子)に招かれ、殺されそうになるが、心が通じる。相模国に入り、焼津でだまし討ちにあって猛火に囲まれた日本武尊の命を剣が救い「草薙(くさなぎ)の剣」と呼ばれるようになる。

天皇の悪意を確信し、征伐の無意味さを知り、大和に引き返すことにする。途上の船で、大嵐で遭難しそうになる。この時、弟橘姫が人身御供となって海の中に飛び込み、皆を助ける。

日本武尊は戦いは無益と倭姫と熊襲の弟(鶴田浩二)に教えられたからもはや大和には帰らぬという。

しかし、大伴一派に父が討伐を止める命令を出し、日本武尊を待っていると騙され、敵の総攻撃に遭い命を落とす。

魂が一羽の白鳥となって空に向かい、大伴の一味と手勢は神罰により洪水と溶岩流に飲まれて全滅。白鳥は倭姫の館を旋回した後、高天原に向かって飛んでいく。

・・・

CGのない時代に八岐大蛇(やまたのおろちなどの特撮は見どころだった。八岐大蛇は初の操演(特殊撮影で、着ぐるみや模型などを、さまざまな手法を用いて動かすこと、また、その技術)による怪物として描写された。

湖から現われる八岐大蛇は、水底にレールを敷いて動かした。頭部は内蔵したゴムチューブに圧搾空気を送ることで操作するものと、スタッフが腕を入れて操るギニョールが併用された。オロチの操演者は4人がかりで、かなりの気苦労があったとのこと。

当初は陸上で使用する前提で前者が製作されたが、水中では使えないため、急遽後者が製作された。口はラジコンで可動する。

須佐之男と八岐大蛇との戦いは、ブルーバック合成で表現された。撮影では、スクリプターの秒読みにあわせて助監督が大蛇の首に振った番号を指示し、演じる三船敏郎がそれに従い動くという手順だったという。

ゴジラシリーズなどに登場するキングギドラは、本作品の八岐大蛇を参考にしたとされる。

・・・
<主要人物>
■小椎命(オウスノミコト、日本武尊)・須佐之男命(スサノオのミコト、2役) - 三船敏郎
■弟橘姫(おとたちばなひめ)- 司葉子
■薊(あざみ)- 水野久美
奇稲田姫クシナダヒメ) - 上原美佐
■美夜受姫(ミヤビヒメ) - 香川京子
■倭姫(ヤマトノヒメ) - 田中絹代
■天宇受女命- 乙羽信子
語り部の媼(オウナ) - 杉村春子
■若帯日子命- 宝田明
五百木之入日子命 - 久保明
景行天皇- 二代目中村鴈治郎大映
■大伴建日連 - 東野英治郎
■吉備武彦 - 平田昭彦
■八雲 - 三島耕
■大伴小建 - 伊藤久哉
■大伴久呂比古- 田崎潤
■熊曽建・兄- 志村喬

 

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【限定品DVD】「四丁目」ギドラさんから「ダンディー少佐」「秦・始皇帝」「日本誕生」など届く。

「四丁目」のギドラさんから年間ポイントによる特典DVD(四丁目限定品)が昨日届きました。ギドラさん、ありがとうございます

郵便配達の誤配があり19日到着のはずが「3日遅れの便り♪をのせた」到着となりました。不着で郵便局とやりとりをしていたら、近所に同姓の家があり間違えたといつもの配達員さんでしたが恐縮していました。

それはともかく、今回お願いしたのは、三船敏郎など東宝オールスターキャストでありながら未見だった「日本誕生」や、最近「キングダム」シリーズなどを見て中国史も興味があったので「秦・始皇帝」。ほかにオードリー・ヘプバーンの「おしゃれ泥棒丹波哲郎の「東京湾炎上チャールトン・ヘストンの「ダンディー少佐」と様々。

■「ダンディー少佐」(原題:Major Dundee、1965)

 

サム・ペキンパー監督チャールトン・ヘストン主演の西部劇。主題曲“ダンディー少佐のマーチ”をミッチ・ミラー合唱団が担当。

南北戦争中、先住民による開拓者虐殺事件が発生。北軍ダンディー少佐は復讐戦を決意するも兵力が足りず、仕方なく南軍捕虜からも志願者を募る。

志願兵を率いる南軍タイリーン大尉は少佐の旧友だが、南北戦争で2人は敵味方、さらには勝者敗者の関係になり、以来、大尉は少佐を憎悪してきた。

しかし、作戦終了までは少佐の指揮に従うことを大尉は誓約。かくしてダンディー少佐率いる南北混成部隊は、先住民追撃作戦に乗り出す。

■「おしゃれ泥棒」(原題:How to Steal a Million、1966)

 

監督は「ローマの休日」「噂の二人」でヘプバーン映画を作ったウィリアム・ワイラーオードリー・ヘプバーンピーター・オトゥール主演のロマンティック・コメディ。共演はシャルル・ボワイエ、ヒュー・グリフィス、イーライ・ウォラックなど。

■「日本誕生」(1959)

 

東宝映画の1,000本目の製作を記念する映画というのは意外と知られていない。上映時間は途中休憩が入り180分という長編。

監督:稲垣浩特技監督円谷英二。主なキャストは三船敏郎司葉子水野久美香川京子田中絹代杉村春子原節子乙羽信子宝田明久保明東野英治郎平田昭彦など東宝スターが総出演。三船敏郎出演作品で未見だった1本。

映画の内容は、主に古事記が題材で日本武尊(やまとたける)の活躍を描くファンタジーなスペクタクル映画。伝説の怪獣八岐大蛇(やまたのおろち)や山火事、火山噴火、巨大な地割れ、洪水シーンなど東宝が得意とする特撮による数多くの見せ場がある。

特撮シーンでは、特技監督を務めた円谷英二が自ら設計し、当時の金額で6200万円の製作費をかけて造られたカラー・シネスコ合成機が初めて使用され、これにより、日本映画技術賞を受賞。

■「秦・始皇帝」(THE GREAT WALL、1962)

 

紀元前230年代、戦国時代の中国大陸にあって、中国の統一を果たした初代皇帝・始皇帝の半生を描いた歴史スペクタクル。台湾の国府軍をエキストラとして動員した戦闘シーンや、大規模なオープンセットが話題を呼んだ。

「釈迦」に続く70ミリ・スーパーテクニラマの第二弾。大映の創立二十周年を記念して製作された。出演は山本富士子勝新太郎若尾文子中村玉緒市川雷蔵、田中重雄、川口浩山田五十鈴、八尋不二、叶順子など。

■「東京湾炎上」(1975)

 

日本の特撮映画。制作は東宝映画・東宝映像、配給は東宝。カラー、シネマスコープ。同時上映は「がんばれ!若大将」だった。

1970年代、パニック映画が世界的に大ブームとなる中、東宝が「日本沈没(1973)」や「ノストラダムスの大予言」などに続いて放った特撮パニック巨編

原油を満載して東京湾に戻って来たタンカーをシージャックした外国人ゲリラたちが、タンカーを爆破して関東一円を火の海にするぞと脅迫。

未曽有の危機に直面した日本政府が、やむなく彼らの要求をのむかに見せかけ、あっと驚く対抗策に打って出るさまをサスペンスと意外なユーモアを織り交ぜ、見せ場満載でスリリングに描く。出演は丹波哲郎藤岡弘、水谷豊、宍戸錠ほか。

  

配信(Netflix)の間にしばらく楽しめます。

 

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【ミニシアター】”街の小さな映画館” 酒蔵跡地に生まれた「深谷シネマ」(NPO法人運営)

先日、テレビで深谷市に唯一あるミニシアター深谷シネマ」が紹介されていました。

全国の映画館数がピークを迎えた1960年の時点では、深谷市の映画館は豊年座、ムサシノ館、電気館の3館が存在していました。1970年代初めまでにはこの3軒の映画館がすべて閉館。映画を見るためには、隣の熊谷市や、群馬県高崎市に行くしかなかった。


その後、深谷市には映画館が30年間もなく、2002年に映画好きの人がNPO法人によりミニシアター「深谷シネマ」を誕生させた。その後、2010年4月、300年の歴史を持つ「七ツ梅酒造」跡へ移転しました。


ここは酒蔵が大きな倉庫になっていて、映画の撮影でよく使われています。
全国でも唯一の酒蔵を改装した映画館で、全席自由席(固定57席)。

           敷地内には古書店もある

  

テレビで紹介されていたのは、映画の看板を今でも手書きで描いているということでした。映画の看板を描く職人がいるようですが、中学生が描いた看板もあるようです。手作りの映画館といった印象です。


深谷市は映画のロケが行われることが多く、古くは「恋は緑の風の中」(1974、原田美枝子のデビュー作)ドキュメンタリー映画ゆきゆきて、神軍」(1987)などがある。

 

近年では、塚本晋也監督「ほかげ」「野火」沖田修一「おらおらでひとりいぐも」「モリのいる場所内田英治「ミッドナイトスワン」鈴木卓爾ゲゲゲの女房」「正欲」「言えない秘密」「ランサム」「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」「ゾン100」「Gメン」(現在の深谷駅などがバッチリ)「チェリまほ」「るろうに剣心最終章」「キャラクター」「音楽」など。


10月には2回ほど同窓会などで深谷市に出かけるので「深谷シネマ」にも立ち寄る予定。

Viva Fukaya Cinema!

ja.wikipedia.org

 

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