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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ザ・メニュー」(原題:The Menu、2022)を見る。美食テーマの狂気の世界。

映画「ザ・メニュー」(原題:The Menu、2022)を見る。主演は、最近の映画「教皇選挙」で名演技を見せたレイフ・ファインズと、ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」や「マッドマックス:フュリオサ」でフュリオサを演じたアニャ・テイラー=ジョイ

太平洋岸の孤島にある超高級レストランを舞台に、超一流シェフが提供する究極のフルコースを求めてやって来たセレブたちに衝撃のコースメニューが展開されていく様をブラック・ユーモア満載で描く。かなり衝撃的な内容。

料理映画でありながら、登場する料理は美味しそうというより不気味で冷たい印象。セレブたちが孤島の高級レストランに招かれ、料理長による“復讐のフルコース”が展開される。

料理長は料理を芸術と捉え、客たちの傲慢さや空虚さに絶望しており、それぞれのゲストは過去の行いによって“裁かれる”立場にある。

最後に登場するチーズバーガーは、料理長がかつての純粋な料理への情熱を一瞬だけ取り戻す象徴であり、物語の緊張に対する見事なアクセントとなっている。

この映画で唯一食べたくなるのが9ドル50セント(10ドルで釣りがくる)のチーズバーガーというのが皮肉でありブラックが効いているマクドナルドに直行してチーズバーガーを食べたい。

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冒頭、島に到着した際に映し出されるのは、砂浜一面に散らばった倒木と枯れ木。これが陽気な音楽とは対照的で、その存在感がすごく、先行きの不安さを感じさせる。

そんな中、風景の不吉さに気づくのはマーゴただ一人で、他の金持ち連中はそんなことも気にもせず、レストランへ入っていく。

店は離れ小島にあり、フェリーで向かうことになる。乗船の手続きをするのは東洋系の顔立ちのエルサ。エルサは、マーゴを別の予約名で呼ぶので、気まずそうなタイラー。

実はタイラーは他の女性と予約していたが愛想を尽かされ、それを伏せたまま急遽マーゴが呼ばれたのだった。タイラーはマーゴに詫びると、いいのよという返事…(これから恐ろしい事態が待ち構えていようとは想像すらできずに…)。

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料理長は、ターゲットにしておたすべての客を道連れにして死ぬつもりでいるので、マーゴはシェフに対して、賭けに出るようなことばを発した。

「あなたの料理は嫌いだ。あなたは食べる楽しみを奪った。それに全料理のテーマが難解だ。あなたの料理に込めているのは愛情ではなく”執着”で、客を喜ばせるという一番の目的に失敗している。そして私はいまだに空腹のままなんですけど。」

これはシェフにとっては聞き捨てならないことだった。シェフは何が食べたいのかマーゴに聞いた。すると返ってきた言葉は「チーズバーガー。装飾的でも前衛的でもない、本物のチーズバーガー。あなたにできる?」シェフはわずかに表情が変わりながらも、自信を持ってその注文を受けた。

伝統的且つ庶民的な作り方。作っているシェフの表情はかすかに和らいでいる。完成したチーズバーガーにマーゴはかぶりつく。一口食べて、うなづき、味を認めるマーゴ。
その様子を見て、シェフも安心したように笑顔になった。

マーゴは、食べきれないから「持ち帰りはできるか」かと尋ねる。料理長は、チーズバーガーの持ち帰るようにボックスに入れ、マーゴに渡す。マーゴはその場をあとにして、古いフェリーにたどり着く。なんとか、フェリーのエンジンをかけて島を離れることができた。

後ろの今いた小島のレストランは、炎で燃え上がっていた。マーゴは、チーズバーガーの残りをがぶりと食べる。

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<主な登場人物>
■ジュリアン・スローヴィク:レイフ・ファインズ…料理長。かつて料理に情熱を持っていたが、次第にセレブや評論家、金持ちたちに利用されることで虚無感を抱くようになる。今回のゲストは、彼が「料理文化を堕落させた者たち」として選んだ人物たち。
■マーゴット・ミルズ(エリン):アニャ・テイラー=ジョイ…タイラーに誘われて孤島の高級レストランに誘われる。常に冷静。コールガール。
■タイラー:ニコラス・ホルト…食通を気取るグルメオタク。料理長を崇拝するが本質を理解せず、料理への敬意も技量もない。同伴者にふられ代わりにマーゴを自分の欲のために巻き込む。
■エルサ:ホン・チャウ…料理長に忠実な中国系の側近。孤島レストラン行きの船の乗船手続きを行う。
リリアン・ブルーム:ジャネット・マクティア…料理評論家。的外れな批評で多くの店を潰し、料理人の人生を狂わせた。
■テッド:ポール・アデルスタイン…料理評論家リリアンの担当編集者。
■ジョージ・ディアズ:ジョン・レグイザモ…落ちぶれた映画俳優。料理長が「芸術に対する侮辱」とみなした。
■フェリシティーエイミー・カレロ…俳優ジョージのアシスタント。
リチャード・リーブラント:リード・バーニー…大富豪の老人。アンの夫。レストランに何度も(料理長によると11回)来店しているが、料理の名前も知らず料理に対する敬意はゼロ。
■アン:ジュディス・ライト…大富豪リチャードの妻。
■ソレン:アルトゥーロ・カストロ…IT業界の若手グループの一人。r酢トランのオーナー企業関係者。
ブライスロブ・ヤン…IT業界グループの一人でソレンの悪友。
■デイブ:マーク・セント・シア…IT業界グループの一人でソレンの悪友。
■料理人たち…スローヴィクの狂気と理念に完全服従。彼らはカルトの信者のよう厳格な規律の中で動く。料理長の哲学に洗脳されたように「献身」を美徳として死をも辞さない。

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映画は、ホアキン・フェニックス新興宗教の教祖を演じた「ザ・マスター」のような、全員が洗脳されたグループの恐ろしさにも似ている。

小顔で顔の3分の1が目のようなアニャ・テイラー=ジョイが、一度見たら忘れられないような顔でこの映画でも印象的だった。

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