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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち」(2014)

 
 

アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち」(原題:Stonehearst Asylum2014)という映画をふとしたきっかけで見た。
 
「衝撃のラストを持つ映画」という投票を始めたが、ある人のコメント(公開)に「アサイラム・・・」とあったのでさっそく見てみた。
 
これはエドガー・アラン・ポーの短編小説「タール博士とフェザー教授の療法原作ミステリーサスペンス。サイコパス映画かもしれない。
 
映画のタイトル「アサイラムAsylum)」というのは、精神薄弱者、孤児、障害者、老人などの保護施設のこと。 そうした患者たちに完全に乗っ取られてしまった精神病患者医療施設にやって来た研修医が、監禁された職員たちを救おうとする物語だが、ラストで「あっ」と言わせる番狂わせがある
 
出演は「鑑定士と顔のない依頼人」「ラスベガスをぶっつぶせ」のジム・スタージェス、「アビエイター」「トータル・リコール」のケイト・ベッキンセイルのほか、名優ベン・キングズレー(「ガンジー」「シンドラーのリスト」)、マイケル・ケイン(「探偵スルース」「インセプション」「インターステラー」)などが脇を固めている。
 
・・・
オックスフォード大学では、ヒステリー患者の女性を目の前に、講義が行われている。彼女はとても美しく「私は正常よ!」と訴えるが、講師は彼女の腹を殴って静かにさせる。それを見守っている学生たち。講師は言う。「聞いたことは何も信じるな。見たことは全部信じろ」。
 
時は移り流れ、エドワード・ニューゲートジム・スタージェスは森の中を彷徨う。
たまたま通りかかった人たちに助けてもらうが、森の奥にある精神病棟はまるで陸の孤島のようだ。
 
貴族の身内しか入院できない精神病院を、警備担当のミッキー・フィンデヴィッド・シューリスに案内されるエドワード。サイラス・ラム院長(ベン・キングズレー院長とも面談する。
 
実習を願い出る手紙を送っていたのだが、待ち構えていたラム院長によると、手紙は届いていなイという。それでもニューゲートの熱意により実習の許可が下りる。
 
 
 
様々な患者がいたが、院長は薬を与えるといった治療をせず、自由に生活させていた。そんな中に、美しい女性患者イライザ・グレーブス夫人ケイト・ベッキンセイルがいた異常な愛情を持つ夫により、ヒステリーに悩まされるようになったというイライザ。エドワードはイライザに心を奪われる。
 
その夜、食事会が開かれる。職員たちだけの食事会と思ったエドワードだったが、患者と職員との交流も兼ねたものだった。そしてそれも治療の一環だという院長。
 
 
 
警備責任者のミッキー・フィンの名前には、”酒に薬を盛る”という意味があり、本名なのかと尋ねるエドワード。するとフィンはエドワードに酒を勧める。
 
その酒には毒が盛られていることを知っているイライザはその酒を飲ませないようにして、今すぐに出ていくようエドワードに言う。夜中になって、地下からの物音に気付くエドワード。そこには、本物の職員たちとベンジャミン・ソルト(マイケル・ケイン院長が監禁されていた。病院は、患者たちによって乗っ取られていたのだ。そしてラム院長も、本当は患者だった。
 
 
 
 
地下にいる職員たちを助けると約束するが、危険視されたエドワードは病院から出られなくなった。エドワードが職員とつながっているのを知るのはイライザだけ。
 
しかしイライザも患者で、本物の看護主任マリオンガブリエル・ダウニー以外の職員たちは信用していない。
 
 
 
盗んだ食料を、地下の職員たちに差し入れするくらいが関の山。エドワードはラムを出し抜き、説得して全員を解放させようと考える。ソルト院長は、ラムのカルテの隠し場所を教える。地下の職員たちと自分の命を背負うことになったエドワード。
 
 
 
そしてラム院長から、見世物小屋で赤鬼と呼ばれていた男の怪我の治療を任される。力の強い赤鬼に暴力を振るわれるが、本名のアーサーと呼ぶとおとなしくなった。
 
 
 
怪我を負ったエドワードの治療をするイライザは、彼の体にある無数の傷跡を見せられる。そして、実験動物のように扱われたイライザの気持ちがわかる、と言うエドワード。
 
 
 
地下から2人の職員が脱走する。しかしすぐに見つかり、1人は自殺。
もう1人はフィンに殺される。
 
 
 
サイラス・ラムのカルテを手に入れたエドワード。サイラスは軍医をしていた頃、5人の少年兵を射殺していた。しかし、彼が心を病んだ原因は掴めていなかった。
 
 
 

ラムの逆鱗に触れたソルトは、妄想癖によって病院長だと言い張るようになった厄介な患者にされてしまう。そして、頭に電流を流す治療をされる。呼び出されたエドワードも加担させられ、ソルトは記憶を失った。
 
 
 
ミリー(ソフィー・ケネディー・クラークを妹のように思うイライザは、ミリーを置いて逃げることは無理だとエドワードに言う。エドワードは、ミリーも連れて3人で逃げようと提案する。イライザは、その提案に乗った。
 
 
 
 
 
1990年1月1日を祝うパーティーが開催される。その夜、残った職員たちを逃がすことに決めたエドワード。ミリーは鍵をかけて部屋に残るよう、イライザからきつく言われる。しかし外に出たミリーは、フィンに殺されてしまう。
 
ラムたちが飲むシャンパンに毒を入れたエドワード。
 
だがフィンに見つかり、ラムたちに飲ませることに失敗する。エドワードは捕らえられ、ソルトと同じ電気ショックを行われそうになる。イライザの写真が入った懐中時計を見つけ、イライザもエドワードを疑う。
 
 
 
医大の講義でイライザに一目ぼれしたエドワードは、彼女を探しに来たと言う。最後の頼みと言い、ポケットの中を見るようラムに頼むエドワード。そこには少年兵の写真があり、ラムは正気を失う。
 
 
 
イライザとアーサーに助けられたエドワード。エドワードに電気ショックを行おうとしたフィンは燃え、病院は火事になる。
 
 
 
(以下、ネタバレ!)
 
 
 
 
 
(実は・・・)
なんと、その後、ストーンハースト病院に”本物のエドワード・ニューゲート医師とイライザの夫がやって来るたのだ。え?じゃあ、マジメそうなニューゲート医師は?
虚言癖のある精神病院の患者が、エドワード・ニューゲートになりすまして脱走したことが明らかになるのだ。その患者がイライザに一目ぼれしていて、会いたいばっかりに探しだして病棟にやってきたのだった。
 
 
その頃、すでに偽エドワードとイライザは、ラム先生とラム夫人として、イタリアの精神病院で暮らしていたとさ。
 
 
主な出演者:
 
エドワード・ニューゲート(ジム・スタージェス
 
オックスフォード大学出身の医者。精神医学に興味があり、ストーンハースト病院で実習を望む。
 

イライザ・グレーブス(ケイト・ベッキンセイル
 
気品のある美しい女性。男性を極度に嫌うヒステリー患者。夫の異常な愛に耐え切れず、片耳と片目を抉って逃げようとしたが、父親によって入院させられた。未だに夫から執着されている。
 
ミリー(ソフィー・ケネディー・クラーク
 
幼さが抜けきらない偽の看護師。イライザの妹のような存在。
 
ミッキー・フィン(デヴィッド・シューリス
 
ストーンハースト病院の偽の警備責任者。“ミッキー・フィン”には、酒に薬を盛るという意味もある。
 
サイラス・ラム(ベン・キングズレー
 
ストーンハースト病院の偽の院長。元軍医の患者だったが、職員たちに薬を盛って地下に監禁し、病院を乗っ取った。
 
ベンジャミン・ソルト(マイケル・ケイン
 
ストーンハースト病院の本物の院長。
 
マリオン・パイク(ガブリエル・ダウニー
 
ストーンハースト病院の本物の看護主任。薬を大量に使うようなソルト院長の治療法に、反感を持っていた。                                    

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恐ろしいほどの衝撃の映画だった。
この病院の患者たちはお金持ちや伯爵家の子弟ばかり。いわば「家の面汚し」的な連中が集まっている。家業が鉄道会社だが、鉄道にまったく関心を持たない男も患者の中にいた。ファミリーから変人扱いをされ、疎外され、精神病院に放り込まれたのかもしれない。そうした厄介ものばかりが集まった病院が舞台となっている。
 
異常者に病院が乗っ取られるというのも驚きだが、人体実験や常軌を逸した行動などがインパクトがある。ニセ院長は、意のままにできる本物のドクター(医者)を必要とし、ニューゲートを利用しようとするが、その医者が実は・・・だったという最後の”どんでん返し”にもあっけにとられる。
 
 
 
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