
映画「ナイトフラワー」(2025)は、貧困に苦しむシングルマザー夏希(北川景子)が子供のためにドラッグの売人となり、孤独な格闘家・多摩恵(森田望智)とタッグを組んで危険な裏社会を駆け抜けるという衝撃的なヒューマンサスペンス。森田望智が日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。
二人の子供を抱えながら困窮した生活を送る主人公・永島夏希(北川景子)が、ドラッグの売人になることを決意するなか、森田演じる孤独な格闘家・多摩恵と出会い、苦しいなかにも希望を見出していくストーリー。
主人公・永島を演じる北川景子がこれまでと違って、経済苦で追い込まれて役所に駆け込んだり、裏社会に染まり「お金が欲しいんです」と切々と訴える切羽詰まったシングルマザーを熱演している。
一方、永島に共鳴し、薬物の受け渡しという危ない橋を渡る闇の仕事を紹介する森田望智(みさと)は、永島とともに子供たちを守ろうと奔走する。
森田は、ボクサーという役柄のため、米と肉で7キロ増量し、格闘家役という未知のゾーン体験をしたという。


森田といえば「全裸監督」(2019)で圧倒的な存在感を見せた。
「ナイトフラワー」では、格闘家を演じてボクシングシーンも圧巻だった。日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞を獲得したときは、共演の北川景子がわがことのように喜んでいたのが印象的だった。映画を見て受賞は納得した。
この映画は、心に傷を負った総合格闘家・芳井多摩恵(森田望智)の過酷なまでの肉体改造を経て手に入れた研ぎ澄まされた肉体と魂が「演じる」という言葉を超えた説得力を放っている。
「ミリオンダラー・ベイビー」「百円の恋」「ケイコ 目を澄ませて」などの女性ボクサーの例があるが、どれと比べても引けを取らないリアルな臨場感がある。
「全裸監督」などの内田英治監督とは4度目のタッグを組み、森田望智にとっては新たな扉を開いたようだ。
<ネタバレ>
ラストは悲劇が待っていたが、亡くなったはずの子供らが明るく元気に母親の元に戻ってきたのは現実ではなくファンタジーの世界であるようだ。明確には語られていないが観客にゆだねているのかもいしれない。






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夏希の生活環境が負の苦しみの連鎖のように落ちていく姿が凄まじく、昼のパートの仕事では、地球儀の表面に世界地図を張っていく仕事だが、職場の上司のイビリがパワハラを超えるほど。
「ニューヨークがどこにあるのかも知らないのだろう。高校も中退で遊び惚けていたんだろう」などと言いたい放題に、夏希もついに限界を超えてキレてしまい、地球儀を6個も踏みつけて壊してしまう。あとで弁償させられるのだという。
そんな時に声をかけてきたのが多摩恵で、で「私と組まないか」と提案してきた。やがて裏社会のボスのサトウ(渋谷龍太)に全財産の小銭をみせて「父親は借金を残して逃げた。子供が二人います。お金が必要なんです」と訴える。
違法薬物(MDMA)別名「エクスタシー」をウーバーの配達人から受け取り、それを夏希と多摩恵が売りさばくのだ。だんだんエスカレートしていき、夏希は「今の5倍稼ぎたい」などと欲を出し、ますます泥沼にはまっていく。
夏希の娘の小春の発表会に夏希が多摩恵に「小春が多摩恵さんにも来てほしいと言っていた」というと、多摩恵がなんども「え、まじ」「え、まじ」というのがおかしかった。そういった保護者見学会のような家族の雰囲気を味わったことがなかったからに違いない。
小春が舞台でバイオリンで「ラ・フォーリア」の演奏を行うと、「小春、スゲーェな」と感嘆するのだ。
多摩恵にチャンスが訪れ、「ウォリアーズ」という大試合でチャンピョンのKYOKAと闘うことが決まる。5分3ラウンドだったが、試合中にかかる曲が小春が演奏した曲「ラ・フォーリア」だった。
試合ではリング上で倒れた多摩恵の横顔の目つきがすさまじかったが負けてしまった。
「あかんかったわ」と何度も夏希に繰り返し語る。いままで、多摩恵の関西弁はヒドイと言っていた夏希も「ようやったよ」と励まし「(関西弁が)うまくなった」と感心していた。
<ストーリー>
借金取りに追われ、ふたりの子どもを抱えて東京へ逃げてきた夏希(北川景子)は、昼夜を問わず必死に働きながらも、明日食べるものにさえ困る生活を送っていた。
ある日、夜の街で偶然ドラッグの密売現場に遭遇し、子どもたちのために自らもドラッグの売人になることを決意する。
そんな夏希の前に現れたのは、孤独を抱える格闘家・多摩恵(森田望智)。
夜の街のルールを何も知らない夏希を見かね「守ってやるよ」とボディーガード役を買って出る。
タッグを組み、夜の街でドラッグを売り捌いていくふたり。ところがある女子大生の死をきっかけに、ふたりの運命は思わぬ方向へ狂いだす――。
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永島小春役の子役、渡瀬結美は「私は4歳からヴァイオリンを習っています。大好きなヴァイオリンと大好きなお芝居、両方に夢中で取り組むことができ、とても幸せな時間でした」と語っている。経験者をキャスティングする監督も大変だ。
<主な登場人物>
■永島夏希:北川景子…借金取りに追われて東京へ逃げてきた、2児のシングルマザー。昼はパート、夜はスナックで働いている。それでも子供を養う生活に追いつかず、ある日ドラッグの密売現場に遭遇したことで、自らも売人になる道を選ぶ。
■芳井多摩恵:森田望智(みさと)…格闘家として長年戦い続けてきたが、なかなか花が開かない。心に孤独を抱える中、夏希と出会い、ボディガードを引き受けることになる。
■永島小春:渡瀬結美…夏希の娘。弟の小太郎とともに母に連れられて東京へやってきた子ども。バイオリンが得意で教室に通う。
■永島小太郎:加藤侑大…夏希の息子。姉の小春と一緒に暮らしている。ギョーザが好みで、母にギョーザが食べたいとおりにふれせがむ。
■池田海:佐久間大介…多摩恵の幼なじみ。多摩恵への想いを胸に抱き続けている。多摩恵が危険な世界に踏み込んでいくのを複雑な気持ちで見守る。
■サトウ:渋谷龍太…夏希と多摩恵が関わる麻薬密売組織の元締め。母親に対する思い入れが強い。夏希の母としての強さには感服する。
■岩倉:渋川清彦…元刑事の探偵。麻薬密売のネタを追って夏希たちの周囲に現れる。依頼人・星崎に夏木らの情報と拳銃を300万円で渡す。
■星崎みゆき:田中麗奈…総合病院の院長夫人。娘・桜がいるが、外泊が多く心配する。夫は無関心。娘が夏希たちからドラッグを購入していたことがわかり、死に追いやられたことから復讐を企てる。
■星崎桜:瀧七海…みゆきの娘。
■のりこ先生:亀岡園子…近所のヴァイオリン教室の先生。小春の実力を認め、上級教室を勧める。
■木村楓:岡谷瞳…ヴァイオリンの個人指導の先生。基礎ができていないと難しいと指導は厳しい。
■多田真司:光石研…多摩恵が所属するジムの会長。借金を抱えながらも、ジムと選手を支え続けるが、ある日ギャンブルの借金から夜逃げをしてしまう。
■柳一郎:池内博之…多摩恵のジムのコーチ。日々の練習で多摩恵を指導する。
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