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映画「ルノワール」(早川千絵、2025)を見る。カンヌ国際映画祭コンペティション部門にノミネート。

映画「ルノワール」(2025)は「Plan75」の早川千絵監督の最新作で、製作国には日本、フランス、シンガポール、フィリピン、インドネシア、カタールが関わっている。上映時間:122分。第78回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にノミネートされ、国際的な注目を集めた。

主演の沖田フキ役を新人・鈴木唯(ゆい)が演じ、母・石田ひかり、父・リリー・フランキーのといった豪華キャストが家族を演じる1980年代の日本を描いた群像劇。

フキと出会う大人たちを中島歩、河合優実、坂東龍汰ら若手実力派が演じているのも見どころ。

1987年、東京郊外でのひと夏を舞台に、闘病中の父と仕事に追われる母と3人で暮らす感受性と想像力豊かな11歳の少女・フキがそれぞれに事情を抱えた大人たちと触れ合う姿が描かれる。

タイトルはルノワールの絵画(イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢)に由来する。劇中でフキがこの絵に惹かれ、自宅の部屋に複製画を飾る場面が描かれていて監督の早川自身も幼少期にこの絵の複製画を父から贈られた経験があるという。

 

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冒頭のシーンでは世界の子ども、赤ん坊が泣いているシーンが次々に映し出される。それは、ビデオをテレビで再生した映像で、見ていた少女・フキ(鈴木唯)がそのVHSビデオを取り出して、袋に入れて、週刊誌(「FOCUS」)などの束とともにゴミ出しの廃品回収の場所に持っていく。

続いて、少女殺害のニュース報道。同級生の子どもや葬儀列席者が泣いている。「子供が死んだから泣いているのか、自分が可哀そうだから泣いているのか」という少女フキの声。

「私が死んだことは実感がわかなかったが、だんだん実感が湧いてきた。夢でよかった」といったフキの声は作文の発表の一節だった。

その後、学校の教師がフキの母親・詩子(石田ひかり)を訪ねてきて「11歳の文章としてはユニークで作文は素晴らしいが、先月書いた作文のタイトルが「みなしごになってみたい」ということだったので、こうした発想に心当たりはないですか、というものだった。

教師が帰った後、詩子は、娘のフキに「勝手に母親を殺すな。先生って暇なのか、たかが作文で」と不満を口にする。

テレビでは「超能力者のマジック」の映像。暴露雑誌「Focus」、VHSビデオLPレコード、ユリゲラーを彷彿とさせる超能力者、怪しげな占い師、伝言ダイヤル(NTTの音声蓄積型サービス)、「マスター(師匠)の気功を受け取りましょう」という気功(中国の伝統的な健康法)など80年代に流行したモノや背景が描かれる。

病院のベッドで、担当看護婦が入院中のフキの父に高額商品を売りつけて、紹介料を請求するが、お金の入った封筒を受け取ると「百万円で助かるなら安いものでしょう」という悪徳看護婦もいる。

伝言ダイヤルで、フキが男からの電話で男が「心を知りたい」などと巧みに誘いがあり、フキは「はい」と返事をしてのこのこと大学生の男の自宅まで会いに行くという無防備、不用心さにはあきれる。

男がキスをしようとして口を近づけると「くさい」と言って風呂場で女の子の歯を磨いてやるのだが、マレーシアに出張していたという母親が帰ってきて、子どもは風呂の湯船に蓋をして隠れていて、あとで大学生が逃がすが、子どもにとっては事なきを得た。

フキは「いろいろな国の子供が泣いている。ただひたすら執拗に撮っている映像が次から次に続くの。最初は何のために作ったのか、見てなぜ喜んでいるのか、見なければよかったと思ったが、だんだんわかってきた」という。

とくにフキが病院の廊下で家族を亡くして、大声で床に顔をうずめて号泣し慟哭する女性を見てハッとするシーンがある。人の死の悲しみを理解したのだろう。

ヨット上で若い人たちの踊るシーンや、焚火の周りで円になって踊るダンスと音楽は印象に残る。

思春期の目から見た大人の世界を描いている。

<ストーリー>
日本がバブル経済絶頂期にあった、1980年代後半のある夏。

11歳のフキ(鈴木唯)は、両親と3人で郊外に暮らしている。ときには大人たちを戸惑わせるほどの豊かな感受性をもつフキは、得意の想像力を膨らませながら、自由気ままな夏休みを過ごしていた。

ときどき垣間見る大人の世界は複雑な事情が絡み合い、どこか滑稽で刺激的だった。

だが、闘病中の父・沖田圭司(リリー・フランキー)と、仕事に追われる母・詩子(石田ひかり)の間にはいつしか大きな溝が生まれ、フキの日常も否応なしに揺らいでいく――。

<主な登場人物>
■鈴木唯:沖田フキ:両親と3人で暮らす11歳の多感な小学5年生。マイペースで想像力が豊か。馬、ヤギなどの動物のモノマネが得意。
■石田ひかり:沖田詩子…フキの母。仕事に追われ、神経が衰弱しかかっている。
■リリー・フランキー:沖田圭司…フキの父、闘病中でのちに亡くなる。
■中島歩:御前崎透…フキが出会う大人。メンタルトレーニング専門家。
■河合優実:北久里子…フキが出会う大人。
■坂東龍汰:濱野薫…フキが出会う大人。
■高梨琴乃:大竹ちひろ…フキと同じ英語教室のクラスメイト。
■西原亜希:大竹梨花…ちひろの母。
■Hana Hope…フキの英語の先生。フキが父親を亡くしたことを知り同情する。自身も中学生で父親を亡くしたという。
■谷川昭一朗
■宮下今日子
■中村恩恵

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