

全員が嘘つき。
映画「六人の嘘つきな大学生」(2024)を見る。浅倉秋成の大ヒットミステリー小説を映画化した密室サスペンス。監督は「キサラギ」「シティーハンター」の佐藤祐市。脚本はテレビドラマ「毒島ゆり子のせきらら日記」の矢島弘一。
二転三転するスリリングな密室劇に引き込まれる。就職活動を舞台に集まった6人の大学生が、互いに嘘と秘密を抱えながら最終選考で対決する構図が中心。
やがて8年後に再会し、事件の真相と「犯人」を炙り出すために再び集まるという複雑な人間関係を描いている。
全員が嘘をついており、誰もが疑心暗鬼になる中で、最後に「犯人」と「合格者」が明らかになる。



・・・
<ストーリー>
誰もが憧れるエンタテインメント企業「スピラリンクス」の新卒採用。人気エンタテインメント企業「スピラリンクス」の新卒採用で1万人の応募から最終選考に残ったのはわずかに6人の就活生。
最終選考まで勝ち残った6人の就活生に課せられたのは“6人でチームを作り上げ、1か月後のグループディスカッションに臨むこと”だった。
全員での内定獲得を夢見て万全の準備で選考を迎えた6人だったが…急な課題の変更が通達される。
「勝ち残るのは1人だけ。その1人は皆さん」決めてください」
デスカッションの内容はカメラにより会社の担当者に見られているという。
その1人は彼ら自身で決めるというのだ。数回の投票により、自分以外の人物に投票する仕組みが提案される。
会議室という密室で、共に戦う仲間から1つの席を奪い合うライバルになった6人に追い打ちをかけるかのように6通の怪しい封筒が発見される。その中の1通を開けると…
「×××は人殺し」
そして次々と暴かれていく、6人の嘘と罪。誰もが疑心暗鬼になる異様な空気の中、1人の犯人と1人の合格者を出す形で最終選考は幕を閉じる。
悪夢の最終面接から8年が経ったある日、スピラリンクスに1通の手紙が届くことで衝撃の事実が発覚する。
それは、<犯人の死>。
犯人が残したその手紙には「犯人、×××さんへ。」という告発めいた書き出しに続き、あの日のすべてを覆す衝撃的な内容が記されていた。
残された5人は、真犯人の存在をあぶりだすため、再びあの密室に集結することに…。
嘘に次ぐ嘘の果てに明らかになる、あの日の「真実」とは―。


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地球から見える月は常に同じ表面。
月の公転と地球の自転が同期しているため、常に月の同じ面(表側)しか見えず、その裏側は見えないという。人間も同じ。表面だけでは裏側の人物の本質が見えない。時に、表と裏側ではそれこそ月とスッポンと言いたげだが…。
就活でライバルの他人を蹴落とすためにそこまでやるかという疑問が残るが、写真、映像のトリック、アリバイ、証拠記録といったサスペンス、ミステリーにつながる要素が目白押しで飽きさせない。
「善人に見える人ほど脆(もろ)く、嘘を抱えている」「就活は“能力”より“物語(自己演出)”が評価される場」がテーマ。
密室で行われる「告発ゲーム」を通じて描かれるのは、誰もが“選ばれるため”に、何かを隠し、何かを演じている。嘘は悪意だけでなく、自己防衛として生まれるもののようだ。
若手俳優の熱演の演技が見どころ。
ツッコミどころも結構ある映画。一流企業なら、応募者同士を戦わせて選ぶことはないはず。モニターで、採用者側は議論を見ているが、途中で(会社が関与していない)不可解な封筒などが出てきて、それぞれの人物の負の面(悪行など)を告発。これを見逃して、議論を継続させるのも不自然。

<主な登場人物>
■嶌衣織:浜辺美波…洞察力・情報力がある。表向きは冷静・理知的・公平。正しさに執着しすぎるあまり、他者を裁く側に回りがちという自己認識の嘘。早稲田大学社会科学部。
■波多野祥吾:赤楚衛二…ムードメーカーで優男。協調性抜群・人当たりが良いが、本音を言わず、空気に流されやすい。物語のキーパーソン。立教大学。
■九賀蒼太:佐野勇斗…冷静で的確なリーダーシップをとる。慶應義塾大学環境情報学部(SFC)。
■矢代つばさ:山下美月…中国語・韓国語など語学力と人脈に自信を持つ。努力家で真面目だが、自分を守るために隠蔽もある。キャバクラで働いていたことも母の援助のため。お茶の水女子大・国際文化専攻。
■森久保公彦:倉悠貴…口数が少なく分析力に優れる。期待に応え続けることに疲弊し“理想の自分像”を守るために虚勢を張る。一橋大学社会学部社会学科。
■袴田亮:西垣匠…気合と根性があるスポーツマン。ボランティアサークル(散歩)の代表。影が薄く控えめで存在感が薄い。強いコンプレックスがあり「目立たない=安全」という思い込む。明治大学国際日本学部。
■鴻上達章:木村了…入社選考担当。
■石川宣親:渡辺大…スピラリンクスの部長。
■波多野芳恵:中田青渚…波多野祥吾の妹。
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