
映画「誘拐」(1997)は見逃していたが、アマゾンプライムの配信で見た。東京のど真ん中で身代金受け渡しを生中継するという前代未聞の「劇場型犯罪」を描いた娯楽サスペンス大作。大規模なロケーションと迫力ある空撮による群衆シーンに驚かされる。これらのロケには、新宿や銀座で数千人規模のエキストラを動員したという。壮観。ヘリもトンボのように十台以上も宙に浮かぶ。
誘拐事件の背景には過去のある事件が関係しており、徐々に真相が明かされていく。そして最後にはどんでん返しを迎える。終盤までよく練られた脚本がサスペンスを盛り上げる。
監督は「ゴジラVSデストロイア」の大河原孝夫。脚本は森下直の1995年度城戸賞受賞作。撮影は「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」の木村大作。 1997年度キネマ旬報ベスト・テン第7位。






<ストーリー>
とある日曜日の早朝、東昭物産常務の跡宮(石濱朗)が何者かに誘拐されるという事件が発生した。目撃者の証言によると、犯人グループは運転手の狭間(江藤漢)も一緒に連れ去ったらしい。
翌日、犯人は東昭物産に対し3億円の身代金と、その受け渡しのテレビ生中継を要求してきた。
警察や世間に犯行を隠そうとせず、むしろ大きくアピールするような要求の裏には、身代金の運び役に指名された人間を装った替え玉を使うことを封じようとする犯人の思惑があると捜査に当たる警視庁の面々は判断する。
そして犯人グループは運び役として同じ東昭グループの東昭開発監査役・神崎(西沢利明)を指名して来た。
何十台ものテレビ・カメラと何百人もの報道陣が取り囲むなか、犯人はまるでゲームを楽しむかのように、公衆電話経由で次々と場所を指定して、神崎を走らせる。
3億円の入った30キロものバッグを運ばされた神崎は、やがて心筋梗塞の発作で倒れてしまった。
後日、犯人は次の運び役に東昭銀行専務の山根(山本清)を指名するが、彼もまた力尽きて途中で倒れる。
犯人の手口の正体が「重さ30キロという3億円の現金を背負わせて走らせることで、運び役に指名した人間に地獄のような苦しみを与える」であると気付き激昂した警視庁のベテラン刑事・津波(渡哲也)が、山根の身代わりとなって現金を運び、後輩の若手刑事・藤(永瀬正敏)も彼の後を追った。

だが、犯人が指定した新橋の喫茶店を出た後で津波もまた力尽きてしまう。
報道陣の中に紛れ込んでいた藤は思わず飛び出し、津波の代わりにバッグを持って走り犯人の指示通り首都高速の非常駐車帯へバッグを置くが、犯人が姿を現さなかったにもかかわらず、バッグの中身はいつの間にかすり替えられていたのだった…。
・・・
消えた3億円のトリック、地下水汚染、産業廃棄物不法投棄、公害訴訟を起こした住民名簿、事件の驚くべき真犯人などが最後に明かされる衝撃。
警視庁のベテラン刑事・津波の「人間は一度は死ぬほどの嘘をつく」という言葉が印象に残る。常々「オレが何を考えてるかわかるか」という言葉を発していた理由もわかっていく。


<主な登場人物>
■津波浩:渡哲也…警視庁のベテラン刑事。藤とバディを組む。「オレが何を考えてるかわかるか」が口癖。
■藤一郎:永瀬正敏…ロス市警経験後、アメリカ帰りの若手刑事。(少年時代:伊藤淳史)
■橘:柄本明…警視庁の警視。誘拐事件の捜査責任者。
■米崎マヨ:酒井美紀
■跡宮壮一郎:石濱朗…東昭物産・常務。元東昭グループ傘下の産業廃棄物処理業者。
■山根伸一:山本清…東昭銀行・専務。元東昭グループ傘下の産業廃棄物処理業者。
■神崎守:西沢利明…東昭グループの東昭開発・監査役。元東昭グループ傘下の産業廃棄物処理業者。
■狭間兼人:江藤漢…東昭物産のお抱え運転手。
■折田英正:新克利…弁護士。かつて公害訴訟を担当した。
■安藤刑事:磯部勉
■佐々木刑事:岡野進一郎
■田畑刑事:渕野直幸
■中本刑事:西川忠志
■門田刑事:木村栄
■原田堅吾:上田耕一
■刑事:渡辺哲
■川島啓司:深江卓次
■浜口:奥村公延
■刑事:大森嘉之
■オカマ:梅垣義明
■クラブハウス支配人:近藤芳正
■中継ヘリのアナウンサー:ボンバー森尾
1997年当時の新宿歌舞伎町界隈の風景が懐かしい。今は閉館した「新宿プラザ劇場」も出ている。
■「にほんブログ村」にポチをお願い申し上げます。