
映画「アメリカン・バーニング」(原題:American Pastoral、2016)はアメリカ合衆国・香港合作。監督・主演はユアン・マクレガー。原作はフィリップ・ロスが1997年に発表した小説「American Pastoral」(アメリカ的牧歌)。
実話ベースのようで、アメリカの父親と娘の関係、過激派運動などに飲み込まれる娘と取り戻そうとする父親の構図、アメリカの父親像や家族の崩壊などが描かれる。
父親にしてみれば、幼いころの娘の純真無垢な可愛さが脳裏にあるが、現在の10代後半の娘は、テロ組織に加わり変わり果て、気持ちも遠くに行ってしまった娘との距離に困惑するしかない。救いようがない結末で、映画的には批評家の評価も低い作品だという。

ユアン・マクレガーの初監督作品で、ユアンと言えば、「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』にて、オビ=ワン・ケノービ役で出演。その後も同シリーズに出演。他では「ムーラン・ルージュ」「ゴーストライター」などが有名。
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<ストーリー>
1996年、作家のネイサン・ザッカーマン(デヴィッド・ストラザーン)は高校の同窓会に出席し、旧友のジェリー・レヴォフ(ルパート・エヴァンス)と再会した。2人が思い出話に花を咲かせていると、いつの間にか話題がジェリーの兄、スウェード(ユアン・マクレガー)へと及んだ。
スウェードはネイサンの2つ上の先輩でスポーツ選手として輝かしい業績を残し、卒業後はビジネスマンとして成功したが、晩年は孤独に苦しめられたのだった。
舞台は、1960年代のアメリカに。ベトナム戦争反対運動や、ニクソン大統領(当時)への反発などが激しかった時代。
元高校のスター選手で“理想的なアメリカ人”と称された スウェード・レヴォウ(ユアン・マクレガー) は、元ミス・ニュージャージーのドーン(ジェニファー・コネリー)と結婚し、娘メリーに恵まれ、誰もが羨む家庭を築いていた。

しかし、ベトナム戦争と公民権運動で社会が揺れる中、吃音に悩み、世界への怒りを抱える思春期のメリー(ダコタ・ファニング)は徐々に過激な思想に傾いていく。
そしてある日、地元の郵便局が爆破され、死者が出る事件が発生。メリーは容疑者として指名され、家から逃亡する。
スウェードは「娘はテロリストではない。必ず連れ戻す」という思いだけで何年もメリーを探し続け、その過程で夫婦関係も家庭も崩壊していく。
ついにメリーの居場所を突き止めるものの、彼女は事件への関与を否定せず、父の愛情をも拒み、スウェードは「理想のアメリカ」「理想の家族」が完全に崩れ去ったことを痛感するのだった。
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ラストで墓の前に現れる人物は、後ろ姿しか移さなかったが、大人になった娘・メリーだった。
父・スウェードが亡くなり、その葬儀(墓前)に、長年消息不明だったメリーが姿を見せるシーンで映画は終わる。
やつれた姿で静かに立つだけで、父と和解するわけではなく、母ドーンとも会話しない。この短い登場は、父スウェードが最後まで信じ続けた娘への愛情が、わずかではあっても確かに彼女の心に残っていたことを示しているというエンディングになっている。
<主な登場人物>
■スウェード・レヴォウ:ユアン・マクレガー…元高校のスター選手で“理想のアメリカ人”と呼ばれた男。家族を愛し、完璧な家庭を築きたいと願う。娘メリー失踪後は、全人生を娘の行方探しに費やす。
■ドーン・レヴォウ:ジェニファー・コネリー…元ミス・ニュージャージー。スウェードの妻。当初は理想の家庭の象徴だったが、メリーの事件をきっかけに精神的に追い詰められる。
■メリー・レヴォウ:ダコタ・ファニング…スウェード&ドーンの一人娘。吃音により劣等感が強く社会の矛盾に怒りを抱く。やがて過激派思想に傾倒し、郵便局爆破の容疑者となって失踪。
■リタ・コーエン:ヴァル・ローレン…メリーの失踪後にスウェードの前に現れる少女。「メリーの居場所を知っている」と言いスウェードを翻弄する。
■ジェリー・レヴォウ:ルパート・エヴァンス…・スウェードの弟。兄を支えようとするが、スウェードの“娘を信じる執念”にはついていけず距離が生まれる。
■モーリス…スウェードの父。ユダヤ系の父親。息子スウェードとメリーの関係を心配しつつも、価値観の違いから対立する場面も。
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