
映画「海辺のリア」(小林政広監督、2017)を見る。仲代達矢主演。共演は、黒木華、阿部寛、原田美枝子、小林薫。認知症による記憶のゆらぎの中で、過去の罪や家族への後悔に向き合う老人の姿を描くヒューマンドラマ。
仲代達矢が演じるのは、舞台や映画で役者として半世紀以上のキャリアを積み、さらに俳優養成所を主宰する大スター・桑畑兆吉。
シェイクスピア悲劇の「リア王」を物語に絡めながら、認知症の疑いがある兆吉の人生最後の輝きを描き出している。舞台のリア王を演じるようなしぐさ、言い回しは舞台並みの所作。
タイトル・ロールで二番目に来る黒木華がこれまでの日本的な控えめな役柄と異なり、かなり感情をむき出しにするような女性というのが印象的。登場人物たちは皆、兆吉の過ぎた人生の影響を受けた人々で、彼の記憶の中で現実と幻が入り混じる形で描かれるのが特徴。
家族に対して「あんた、どちらさん?」という認知症の厳しさも。





<ストーリー>
かつて名俳優として舞台や映画で活躍した桑畑兆吉(仲代達矢)は、認知症の疑いから長女夫婦に裏切られ高級老人ホームへ送られるが、脱走して海辺をさまよう。
海辺で、妻とは別の女性に産ませた娘の伸子(黒木華)と再会した兆吉は、彼女に「リア王」の娘・コーディーリアの幻影を見る。
そして「リア王」の狂気が兆吉の身に乗り移り、過去の記憶が溢れ出す中で、人生最後の輝きを見せる。

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第32回「高崎映画祭」で最優秀監督賞(小林政広)/最優秀主演男優賞(仲代達矢/最優秀助演女優賞(黒木華)を受賞。
<主な登場人物>
■桑畑兆吉:仲代達矢…かつての名俳優。認知症が進行し、過去と現在の区別がつかなくなりつつある。
■伸子:黒木華…兆吉の愛人の娘。弟子のような立場で、最も献身的に兆吉を支え、身の回りの世話をしている。
■行男:阿部寛…兆吉の長年の付き人。兆吉の芸能人生をずっと支えてきた。癖のある兆吉に振り回されながらも、どこか父を思うような忠誠心がある。
■由紀子:原田美枝子…兆吉の娘。幼い頃から父の不在や奔放さに振り回され、距離を置いてきた。老いと認知症の進行で変わりゆく父を前に、複雑な感情を抱えつつ再び向き合おうとする。
■謎の運転手:小林薫…由紀子と愛人関係にある。お抱え運転手。
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<スタッフ>
脚本・監督:小林政広
エグゼクティブプロデューサー:杉田成道
プロデューサー:宮川朋之、小林政広
アソシエイトプロデューサー:ニック・ウエムラ、塚田洋子
音楽:佐久間順平
演奏:マティアス・ストリングス
撮影監督:神戸千木
撮影:古屋幸一
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