
映画「マルサの女2」(1988)を見る。「マルサの女」シリーズの第二弾で、脚本・監督は同作の伊丹十三、撮影は「いとしのエリー」の前田米造が担当。マルサ(国税局査察部)の地上げ屋や宗教法人に対する戦いを描く。マルサとは「国税局査察部」のことで「査」を○で囲んでマルサ。
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<ストーリー>
マルサこと国税局査察部査察官・板倉亮子(宮本信子)に、東京大学を卒業したばかりという部下・三島(益岡徹)がついた。亮子はある地上げ屋の脱税を追求していたが、その裏にはもっと大きな力がうごめいていた。
それはヤクザであり、宗教法人であり、さらに大物政治家までもが絡んでいた。
宗教法人というのはいくらお金をもうけても税金はかからない。そこに目をつけた悪人たちは、宗教法人を隠れミノに金儲けを企む。

亮子たちは地上げ屋を繰る鬼沢鉄平(三國連太郎)という天の道教団の代表に目をつけ調査を始めるが、なかなかシッポをつかまえることができない。
亮子らはあるとき税務署員を装い教団へと潜入するが、教徒らによって追い出されてしまった。
地上げ屋のマンションの住人や大衆食堂に対する横暴が続く中で、何億円という巨額な金が動いていた。
しかし、亮子たちが証拠をつかもうとすると、次々にトカゲのシッポを切るように人が殺されていく。
いよいよ脱税の確信をつかんだ査察部は、天の道教団へ乗り込み、証拠書類を押収。鬼沢鉄平を取り調べまで追い込んだ。
しかし、最後まで鬼沢は口を割らず挙句の果てに自ら顔を壁にぶつけて血だらけになりながら「国税局は納税者を拷問にかけるのか」とすごむ始末。
しかし、そんなとき取り調べ室まで狙撃された。鬼沢までトカゲのシッポでしかなかったのか。
やがて鬼沢の腹心・猫田(上田耕一)が死体となって発見され、鬼沢は身重の愛人・奈々(洞口依子)と巨額の財産を隠していた自分の墓に逃げ込み高笑いし続ける。
鬼沢の地上げした土地ではビルの着工を前に地鎮祭が行われ、鬼沢を背後で操って自らは手を汚すことなく利益を得た大臣・代議士・企業幹部が談笑する。
その姿を少数の同僚とともにフェンス越しに隠れて見つめていた亮子は、やりきれなさに唇を噛むのだった。

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伊丹十三は「前作はマルサの入門編」であり、本当に描きたかったのは今作であるという趣旨を述べているという。昭和末期の作品で、土地の地上げなどバブル真っ最中の脱税とマルサの闘いをユーモアもたっぷりに描いている。
バーのホステスが、風邪でスカートが捲れてパンティが丸見えになるシーンをこれでもかと見せているのは、もちろんマリリン・モンロー作品(「七年目の浮気」)へのオマージュ。
某女性市長が「卒業業証書」を0.5秒くらいの「ちら見せ」が話題になっているが、この映画では、女性が屋根に上るシーンにまで下着を見せてサービス精神が過ぎる(笑)。
丹波哲郎は短い登場ながら、国税局員たちにハッパを掛けるシーンは、”丹波流”のいつもの調子(「砂の器」の合同捜査会議の名シーンにも似て。笑)。
昭和も終わるころの1980年代後半のバブル突入前後の雰囲気があふれたドタバタ群像劇。
<主な登場人物>
■板倉亮子:宮本信子…東京国税局査察部の査察官。男に負けない仕事ぶりで、同僚たちからも一目置かれている。トレードマークはボブヘアーとそばかす。非常に勇敢で、暴力にも屈しない。
■鬼沢鉄平:三國連太郎…宗教法人「天の道」の管長。温厚な善人を演じているが、本業は冷酷無比な地上げ屋の親玉。ヤクザや政治家との繋がりも深く、巧妙な手口で巨額の脱税をしている。
■花村:津川雅彦…亮子の直属の上司。マルサのプロフェッショナル。
■佐渡原:丹波哲郎…国税局査察部管理課長。一徹な性格で漆原の圧力にも屈しない。
■伊集院:大地康雄…国税局査察官。
■三島:益岡徹…涼子のアシスタント。東京大学出身の大蔵省キャリア官僚。東大の事を「僕の学校」と言う癖があり、初っ端から亮子に「出身校を自慢するなら堂々としろ」と叱責される。
■金子:桜金造…国税局査察官。ダミー会社に入金された9億円の行方を追うも、領収書の多さにお手上げ状態となってしまう。
■赤羽キヌ:加藤治子…鬼沢の妻。「天の道」の教祖様。鬼沢が浮気するたびに、高級な毛皮のコートなどを衝動買いする。
■受口繁子:柴田美保子…鬼沢の家の女中で教祖・キヌの側近。鬼沢に心を寄せており、米田をハメるのに利用された見返りに鬼沢に同衾するよう求める。「繁子」の源氏名で銀座クリスティーンのホステスとしても働いている。
■猫田:上田耕一…鬼沢の忠実な側近。教団では幹部として働き、地上げの面では鬼沢とヤクザのパイプ役となる。
■チビ政:不破万作…鬼沢の地上げを手伝うヤクザ。鬼沢と猫田に利用されている。
■サダオ:きたろう…猫田配下のヤクザ。マルサに押収された鬼沢の秘密のノートを取り戻そうと、合鍵で国税局の倉庫へ忍び込むが、内側は暗証番号式の鍵があり脱出に失敗。
■ハカセ:佐藤昇…猫田配下のヤクザ。チビ政の手伝いに任命され、ダミー会社経営と地上げを行う。
■奈々:洞口依子…父親が借金の担保として鬼沢に進呈した。まだ十代の少女だが、鬼沢の愛人となって子供を身ごもる。
■漆原:中村竹弥…大物政治家。陰の黒幕で鬼沢たちを利用して私腹を肥やしている。
■大衆食堂の主人:小鹿番…鬼沢の地上げのターゲットで日の出食堂の主人。頑強に地上げに抵抗するが、鬼沢の手下が切り落とした手首(ニセモノ)を見せられる脅しに屈して店を明け渡す。
■清原:石田弦太郎…写真週刊誌のカメラマンで鬼沢の地上げのターゲット。「自衛手段」として地上げ屋への過剰融資を記事にするとほのめかして銀行幹部を脅すが、鬼沢に巧みに謀られ、弱みを握られて部屋の明け渡し承諾書を書かせてくれと自ら懇願する。
■元・僧侶:笠智衆…還俗していたが、鬼沢が教団を立ち上げる際に言葉巧みに僧服を着せられ写真を撮られる。

■ホステス:岡本麗…鬼沢が経営するクラブ「黒猫」にかつて勤めていたホステス一筋の女。知らぬ間に鬼沢の宗教法人の役員にさせられていたことを三島に尋ねられ、鬼沢がかつてホステス全員の名義を借りた事がある事を証言する。
■毛皮店主人:浅利香津代…店の常連であるキヌに4500万円の毛皮のコートを売る。
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