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映画「密輸 1970」(2023、韓国)を見る。郷愁をそそる音楽&痛快な海洋クライムアクション。

 

映画「密輸 1970」(2023、韓国)を見る。1970年代、韓国の沖合で盛んにおこなわれていた海女(あま)たちと密輸王との金塊を巡る争奪戦を描いた痛快な海洋クライム・アクション。活劇という言葉が似合う。
1970年前後の時代を反映した音楽とメロディ、歌詞などが懐かしさを感じさせる。これらの曲は当時流行していたチェ・ホン、パール・シスターズ、キム・トリオ、パク・ギョンヒなどの韓国歌謡だといい、全編に流れている。

この映画は、2023年夏、韓国で封切られ、500万人超動員の大ヒットとなり「韓国のアカデミー賞」ともいわれる第59回「大鐘(テジョン)賞」で監督賞を受賞。韓国最大の映画の祭典である第44回「青龍映画賞」では作品賞、助演男優賞、新人女優賞、音楽賞の四冠に輝いた。

<ストーリー>
1970年代半ば、クンチョン(群川)は平和な海辺の村だったが、近くに出来た化学工場の廃棄物で海が汚染され、地元の海女(あま)たちが潜って収穫したアワビは全て死んで腐っていた。彼女たちは失職の危機に直面していた。

そんな中、密輸ブローカー(キム・ウォネ)が「海に落とされた荷物を拾ってくるだけ」という仕事を持ち掛けて来る。正確には海底から密輸品を引き上げる作業なのだが、仕方なく引き受けると、これがアワビ採りよりも何倍も金になることがわかった。

海女仲間で親友同士のジンスク(ヨム・ジョンア)とチュンジャ(キム・ヘス)は、景気がよくなり、流行りのファッションで町に繰り出すなど、すっかり派手な生活を送るようになる。

しかし、船主のジンスクの父親が、こんな仕事は危なっかしいからもうやめると言い出し、密輸ブローカーはあんたたちが頼みだとジンスクとチュンジャのところにやって来た。なんと次に引き上げるのは金塊だという。

父親には黙っていればいいと言われたジンスクとチュンジャは仕事を引き受け、海女仲間たちと海に潜る。

その時、普段、この時間には絶対現れない税関の監視船が姿を見せた。あわてて船長が錨を上げようとすると何かにひっかかっているらしく動かない。

船を動かすため、縄を切ると、縄が跳ね返ってジンスクの弟に命中し、彼は意識を失って海に放り出され、あわてて船長が助けに飛び込むが、運悪く二人はスクリューに巻き込まれて死亡してしまう。

チュンジャはひとり、海に飛び込んで逃げるが、ジンスクと他の海女仲間は皆、捕まってしまい刑務所送りとなった。

それから2年後。チュンジャはソウルの明洞で密輸品の服を売りさばいていたが、密輸王のクォン軍曹(チョ・インソン)に縄張り荒らしとして捕まってしまう。椅子に座った状態で縛られた彼女は腕を切り落すと脅され、多額の金を要求される。

チュンジャは苦し紛れにクンチョンの名前を出し、税関に賄賂を渡す必要もないからそこで一緒に金儲けしようと密輸王に持ち掛けた。

その頃、ジンスクたちは出所して村に帰っていたが、皆、生活に困っていた。彼女たちの間では、チュンジャは税関に密告した裏切り者になっていた。

ジンクスの父親の運送会社もチンピラのドリ(パク・ジョンミン)のものになっていた。彼が下っ端の漁師だったときは、ジンスンが小遣いを上げて面倒をみたものだが、今では、立場は逆転していた。

クンチョンに戻って来たチュンジャは、まず苦労して喫茶店を買い取りオーナーとなったオップン(コ・ミンシ)のところに顔を出し、自分が裏切り者扱いされていることを知る。

次いでジンスクと再会するが、ジンスクはチュンジャの言うことが信じられない。親友だと思っていたからなおさらだ。しかし、海女仲間が生活に困窮していることを思い、仕方なくチュンジャの儲け話に乗ることにした。

クォン軍曹も片目のボディーガードを連れてクンチョンにやって来た。海女チームとクォン軍曹とドリたちは、税関の目を欺き、荒稼ぎを始める。

しかし、ドリはクォン軍曹を目の敵にするようになり、町の無法者たちを集め始める…。

・・・
音楽映像がいい。
まず、映画の冒頭で流れるチェ・ホンの「さくらん(앵두)」から引き込まれる。素潜り漁をするシーンのBGMになっている曲で、恋する人の気持ちについて歌ったもの。

「信じてもいいですか あなたの心を流れる雲ではないでしょう 信じてもいいですか あなたの瞳 絵の中の太陽ではないでしょう」という歌詞で、以降の騙し騙される人間関係を予告しているかのようでもある。

映像では、俯瞰を多用したダイナミックなカメラワークがいい。漁に出る漁船と海女たちの姿を生き生きととらえたり、特に素晴らしいのは海底の撮影。本物の海女のように自在に動くシーンが息をのむ。

また、サメが登場するシーンなどは「ジョーズ」のような迫力。

チュンジャとジンスクを中心とした海女たちのチームの図太くいきるパワーとファンキーな乗りの良さがいい。

<主な登場人物>
■チュンジャ:キム・ヘス…主人公の海女(あま)。 
■ジンスク:ヨム・ジョンア…海女のリーダー。
■クォン軍曹:チョ・インソン…密輸王。 
■ドリ:パク・ジョンミン…チンピラ。
■ジャンチュン:キム・ジョンス…税関職員。
■オップン:コ・ミンシ…若手の海女。
■ブローカー:キム・ウォネ
■船長:キム・ギチョン

監督は「モガディシュ 脱出までの14日間」のリュ・スンワン、音楽はチャン・ギハが担当。

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