
映画「アリバイ」(1963、日活)を見る。監督は「赤い靴とろくでなし」の牛原陽一。日活リアリズム路線の1作で見ごたえがあった。脚本は熊井啓による社会派サスペンスミステリー。黒澤明の「野良犬」を意識、踏襲していることは間違いなさそう。撮影は「夜霧のブルース」の高村倉太郎。
警視庁協力のもと、リアリズムと白黒映像の静かな迫力が見どころ。“替玉”によるアリバイ工作を崩す警察と、手形詐欺などの金融汚職を、銃撃戦も交えてスリリングに描く。




<ストーリー>
世田谷の小住宅で、極東電機の経理担当・中島芳夫が射殺体で発見される。捜査一課に捜査本部が設けられ、畑中部長刑事(二谷英明)とベテラン刑事・佐川(宮口精二)が中心となって、捜査が開始される。
銃は米軍基地から盗まれた八挺の拳銃(コルト45自動拳銃)のうちの一挺で、ブローカー・大野(小高雄二)が逮捕される。
ところが、大野と事件当時大阪で行動を共にしていた松田千恵(渡辺美佐子)が、事件当日の11時頃家の近くの薬屋でアンプルの薬を飲んでいたというアリバイがあった。
しかし大野と同じような服装の別人だったのではないかと“替玉”捜査を用いた再検証により大野は犯行を自供した。
そこから、背後に中国系貿易会社の会長・呉羽(陶隆)が絡む巨大な手形詐欺と金融汚職の構図が浮上する。
さらに呉羽は証拠隠滅のため、妹の大野とし子(進千賀子)を誘拐。そこに共犯者としてヤクザ風の林(郷鍈治)が関与していることが判明し、銃撃戦の末、救出と事件が解決をみる。ベテラン刑事・佐川は、この事件を最後に警察を引退した。
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1960年代の都内の夜の盛り場、ネオン街、風俗などのシーンが見られ、時代を感じさせる。ラストシーンの夜のネオン風景の中で、映画「マタンゴ」の大きなネオン看板が見えた。この東宝のホラー映画は1963年8月に公開されており「アリバイ」撮影が真夏の8月に行われていたことがわかる。
ナレーション(ナレーター:内藤武敏)が入り、ドキュメンタリータッチの作りとなっている。
<主要キャスト>
■二谷英明:畑中英次…捜査一課の若手部長刑事。
■宮口精二:佐川朝吉…現場重視のベテラン刑事。妻の病気のことも同僚に隠していたが、病死する。
■鈴木瑞穂:滝村剛…捜査二課から参画した知能犯専門の刑事。
■小高雄二:大野…拳銃ブローカー。愛人の千恵が薬局でのアリバイ工作をする。
■渡辺美佐子:松田千恵…呉羽と同居。大野の愛人。大野のアリバイを警察に供述。いったんはシロとされる。
■陶隆:呉羽…中国系中央貿易公司の社長。犯行の黒幕的存在。
■大滝秀治:陳…呉羽の手下のワル。
■郷鍈治:林(変名:武林)…ヤクザ風の共犯者。姉妹誘拐に関与。銃撃戦に登場。
■進千賀子:大野とし子…呉羽に誘拐される妹。
■高品格:高橋…捜査に関与する刑事のひとり。
■柳瀬志郎:梶本…立川のポン引きのボス。
■安田千永子:マリー…立川基地の女。
■武智豊子:たけ…管理人。
<スタッフ>
監督:牛原陽一
脚本:熊井啓
撮影:高村倉太郎
音楽:小杉太一郎
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