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映画「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」(2024)を見る。若松孝二監督がミニシアターを作る青春群像劇。

映画「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」(2024)を見る。青春群像劇「止められるか、俺たちを」の続編。1980年代、ビデオが普及し始め映画館から人が遠のき始める中、それに逆行するように若松孝二監督は名古屋に「シネマスコーレ」(1983年2月開館)というミニシアターを作る。
若松孝二監督に師事し、若松プロダクションにて助監督を務め「戦争と一人の女」やドキュメンタリー「誰がために憲法はある」などを監督、「男たちの大和」「止められるか、俺たちを」など数々の作品の脚本を手がけてきた井上淳一が、本作の企画・脚本・監督を務める。

若松孝二を前作から引き続き井浦新が、シネマスコーレの支配人に据えられる木全(きまた)純治を「天上の花」の東出昌大が演じる。

1980年代の日本は、高度成長からバブルへと移行。かつての学生運動や政治活動が沈静化し「個の時代」「消費社会」へと移っていった時期。

本作はそんな中で「何かを表現したい」と模索する若者たちが、自主映画や文化運動、アングラ表現などを通じて葛藤し、時代に抗おうとする姿を描いていいる。

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舞台は1983〜80年代半ば。バブル前夜の名古屋。VHSビデオが普及し始めたことにより、レンタルビデオが広まり、映画館離れが始まる時代。

ビデオカメラのセールスマン・木全純治(きまた・じゅんじ、東出昌大)が、ビデオカメラで撮影をしていると、高校生たちが寄ってきて、8ミリカメラかと聞く。

「これは日本ビクターから発売されたビデオカメラで、一式50万円くらいだ。いままで20分しか撮れなかったが、これなら2時間撮れる。しかもフイルム現像代はいらない」というと、生徒たちは「高い」と驚くが、去年は倍の100万円だったという。

ピンク映画の黒澤明」ともいわれた若松孝二監督が、大手映画会社が、ピンク映画の上映を渋るので、ピンク映画を上映できる映画館をつくってしまえと、名古屋にミニシアターをオープンさせる。

支配人を探そうと、東京・池袋の名画座文芸坐」に連絡すると、「文芸坐」を辞めて、名古屋に移った木全(きまた)純治を紹介される。

映画館名は「シネマスコーレ」。スコーレはギリシャで「学び、学校」の意味で、schoolの語源。木全純治は、支配人として、映画の上映プログラムは、ピンクだけでなく、一般映画も上映したいと、若松監督と交渉する。月間4週の内、1週は一般映画を上映することになった。

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映画を守り、映画を撮り続けようとする監督と若者たちの情熱と葛藤が、映画の過渡期を背景に描かれる。井浦新が怪演ともいうべき型破りの演技で若松孝二を演じている。東出昌大は、映画から遠ざかっていたが、映画館の支配人役で復帰している。

この時代ではポルノ映画を撮っていて、のちに有名になる滝田洋二郎監督(「おくりびと」)や黒沢清(「トウキョウソナタ」「スパイの妻」)といった名前のほか、大林信彦赤塚不二夫などの実名や本人役がポンポン出るのが映画ファンの心をくすぐる。

ミニシアターのオープニングには、ピンク映画を見ようとおっさんたちの行列ができる。大島渚の「祝・開店」の花束が入口に飾られていた。

<主な登場人物>
若松孝二井浦新…70年代から活動する鬼才監督。名古屋にミニシアター「シネマスコーレ」を作り、映画を愛する若者たちを引き寄せる。
■木全純治:東出昌大…池袋・文芸坐を辞めたビデオカメラの元セールスマン。若松に誘われ名古屋へ来て映画館経営(ミニシアターの支配人)に奮闘。
■金本法子:芋生悠(いもう・はるか)…女性映研出身で8ミリ撮影に挑んだものの挫折した大学生。自身が在日であることなど“三重苦”を抱えつつ、井上淳一との関係の中で自己を再発見。若松プロの映画スタッフ。「シネマスコーレ」の受付係。
井上淳一杉田雷麟(らいる)…予備校生で映画監督をめざし、若松監督に弟子入りを申し出る。監督からまず大学に受かるようにとアドバイスされ、早稲田大学2文に合格。河合塾を舞台にした映画で監督デビュー。
赤塚不二夫吉岡睦雄…伝説の漫画家。若松作品に警官役として映画出演。
大和屋竺大西信満若松プロと親交のあったATG(アート・シアター・ギルド)系映画作家。自主・実験映画の系譜を象徴し“ミニシアターの父”とも呼ぶべき存在として登場。
■田本清嵐:タモト清嵐(本人)…80年代に活躍した俳優。ミニシアター界隈のリアルな空気を体現するゲスト的存在。
■木全雅子:コムアイ…木全純治のパートナー。
■磯崎真人:田中俊介若松孝二のもとで映画制作に携わる青年。
■美加理:向里祐香…映画と演劇を志す文化系女子大生。自己表現への憧れと内面の葛藤を抱える。
牧野剛成田浬…映画制作チームの一員。業界志望というよりも映画を通じて自分の居場所を模索する。
■石原祥吾:山崎竜太郎井上淳一らと共に自主映画を志す若者。映研出身で理想と現実の間で揺れる。
横井英樹田中偉登若松プロ周辺で活動する映画関係者の卵。熱意と未熟さが同居。
■澤田浩明:高橋雄祐…映画撮影・制作の裏方に関わる。
■井上千束:有森也実…淳一の母。
井上進一:田中要次…淳一の父。
■金由美:笹岡ひなり在日コリアン女性。社会の中での“居場所のなさ”などで生きる苦しさを抱え、金本法子と重なる。
斎藤博上川周作…政治・表現に関わる学生のリーダー格的存在。
■伊東英男:西本竜樹…ミニシアターや若松の活動を手伝う現場スタッフ。
■磯貝一:柴田鷹雄…名古屋の映画事情に精通した人物。地元文化人で、木全純治の活動を支える。
■名古屋東映支配人:林家たこ蔵
岡留安則田口トモロヲ…実話系スキャンダル雑誌「噂の眞相」の編集長兼発行人。
■佐々木美紀:碧木愛莉…井上の映研の後輩。
■田川:三木美毅…名古屋の地元関係者。資金調達や運営などで若松監督と関わる。
■高屋齋:間根山雄太…照明技師。
■シネマスコーレの客:市川洋、飯島洋一
■ゴールデンダストの客:岩崎聡子
■立ちんぼ:西垣内牧子
■吉積めぐみ:門脇麦…バーの客。
■バーのママ:田中麗奈…映画関係者が集まるバー「ゴールデンダスト」のママ。
竹中直人竹中直人(本人)…劇中劇にも出演。

www.youtube.com

若松孝二(1936年4月1日 - 2012年10月17日):

日本の映画監督・映画プロデューサー・脚本家。宮城県出身。1965年「若松プロダクション」を創設。デビュー作は「甘い罠」(1963)。
主な作品としては「白い人造美女」(1966)「日本暴行暗黒史 異常者の血」(1967)「犯された白衣」(1967)「通り魔の告白 現代性犯罪暗黒篇」(1969)「赤軍-PFLP・世界戦争宣言」(1971)「天使の恍惚」(1972)「水のないプール」(1982)「松居一代の衝撃」(1986)(別題:衝撃 パフォーマンス)「エロティックな関係」(1992)「明日なき街角」(1997)「キャタピラー」(2010)「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」(2012)「千年の愉楽」(2012、遺作)など多数。

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