
映画「犬の裁判」(原題:Le proces du chien、英題:Dog on Trial、2024)を見る。今年オープンしたカフェ兼ミニシアター「Otto(オットー)」にて(1,400円)。フランス・スイスの合作。実話をもとにした前代未聞の法廷コメディ。裁判で敗北を重ねる女性弁護士アヴリルが「物」と見なされる犬コスモスを「被告」として戦う異色の裁判に挑む物語。
前代未聞の犬の裁判を描いているが、裁判の被告となる雄犬コスモスはカンヌ映画祭の「パルム・ドッグ賞」を受賞、名演技を見せている。「パルム・ドッグ賞」を過去に受賞した「アーティスト」(2011)のアギーと比べても見劣りしない。
監督はこれがデビュー作となるレティシア・ドッシュで主演も務める。
・・・
<あらすじ>
主人公の弁護士アヴリル(レティシア・ドッシュ)は、連敗続きで解雇寸前。上司からは下ネタのセクハラ発言を浴びせられたり、負けそうな案件は引き受けるなと強く言われる。
そんな矢先、視覚障害者のダリウシュ(フランソワ・ダミアン)から、愛犬・コスモスが3人を噛んでしまい、1万フランの罰金と安楽死の判決を下されたため、コスモスを助けて欲しいと依頼される。

アヴリルは、勝ち目のない裁判と判断し断るが、ダリウシュとコスモスの深い関係性などから、断りきれずにまたしても引き受けてしまう。
犬の安楽死の判決などに違和感を覚え、犬を被告とする異例の裁判を起こすのだった。
・・・
この映画はなんといっても、犬・コスモス(コディ)の名演技に尽きる。シャンソンの音楽を聴くと人間のように、感動してうっとりとした表情を見せるかと思えば、優れたジャンプ力を見せたり、森での遠吠えなど、まるで人間の感情を思わせるリアクションが圧巻。
法廷内では、人間と犬の地位や命に関する議論が活発に交わされ、鋭い風刺と社会問題への問いかけがユーモアと共に描かれている。
裁判官の質問に「ボタン」(はい、いいえなど)を踏んで応えるコスモス
コスモスが人を噛むのは、それなりの人間に対してであり、決して獰猛なわけではないと訴える。シリアスな社会問題(動物の権利、ジェンダーや差別など)も盛り込みつつ、法廷コメディとして軽快なテンポで進む。
法律では“モノ”のみなされる犬を人もしくは“誰か”とみなして裁判すべきだという主張が通り、中世以来の犬の裁判では、次第に世間も注目し、賛成派、反対派によるデモにまで発展していく。
裁判の過程では、アヴリルとコスモスの間に絆が生まれ、コスモスの過去や、彼がなぜ噛みついたのかという理由も明らかになっていく。
最終的に、コスモスが無罪放免になるのか、それとも有罪となり安楽死を免れないのか、裁判の行方は…?。



<主な登場人物>
■アヴリル:レティシア・ドッシュ…裁判に敗北続きの女性弁護士。初監督作でもあり、自ら主演も務める。
■ダリウシュ:フランソワ・ダミアン…愛犬家でコスモスの飼い主。愛犬の安楽死に絶望しているが、強く裁判を希望。
■マルク:ジャン=パスカル・ザディ…動物行動の専門学者として、犬の心理や行動を専門的に分析。
■原告側弁護士:アンヌ・ドルヴァル…強硬な姿勢で犬は「物」であると主張。
■コスモス:犬・コディ…サーカス犬出身。表情豊かで、観客に「表情がある」と言わしめた演技が話題。第77回カンヌ国際映画祭でパルム・ドック賞を受賞。
■裁判官:マチュー・ドゥミ
■ロレーン・ファータド:アナベラ・モレイラ
■ピエール・ドゥラドンシャン
■「にほんブログ村」にポチッと!お願い申し上げます。