
「アドレセンス」(原題:Adolescence、全4話)というイギリスのドラマが話題になっているというので見た。このドラマを見るきっかけは、途切れなくカメラを回し続ける「長回し(ワンカット)」で撮影が行われたというのを目にしたからだった。
Netflixで3月13日から配信が開始されたが、配信後2週間で視聴回数は6630万回を記録し、これはNetflixのリミテッドシリーズとしては史上最多となったという。
13歳の少年が引き起こした衝撃的な事件を軸に、捜査する刑事、少年の同級生たち、加害者家族など、関係者の姿がリアルに描かれ、根底にある問題が浮き彫りにされる。
タイトルは思春期、青年期といった意味だそうで、クラスメイトの女子を殺した罪に問われた13歳の少年と、答えの見えない疑問を突きつけられた両親、刑事、セラピストそれぞれの葛藤を描いたヒューマンドラマ。
1時間も本当にワンシーンなのかと「目を凝らして」(笑)実際に見てみると…。
確かに、画面のつなぎ目がなく、われわれ視聴者はまるで自分がその現場に立ち会っているような没入感や緊迫感が得られる。

4話の背景(場所)はそれぞれ変化する
全4話の場所がすべて異なっている点も見どころ。第1話は警察署、第2話は学校、第3話は少年院、第4話は家族の日常と、視点が移動していく。
そして、
4話のそれぞれの1話(エピソード)がすべてワンカット
だった。
登場人物が動くシーンをカメラが追うが、観客がカメラ目線になったり、ドローンを使っているのか、空中撮影も自然。
トリックを使ってワンテイクと称している作品も多い中、この作品は一切トリックを用いていないという。撮影監督マシュー・ルイスは「バラエティ誌」のインタビューで「カットをつなぎ合わせることは、まったくしていません。私にとっては大変だったが、この作品は1つの長いカットだけで撮影されました」と語っている。
ドラマの内容は、ごく普通の家庭に暮らす13歳の少年ジェイミーが、ある日突然“殺人事件の容疑者”として拘束されるところからスタートする。これが緊迫感にあふれている。

息子の無実を信じる両親
13歳の少年が同級生の少女をナイフでめった刺しにするはずがない、ラストで無罪になるはずだとみていると、肩透かしを食う。父親からしてみたら、無罪と信じていた息子が怪物になったことを悟り号泣するのだ。

閑静な住宅地にものものしく警察隊が突撃する。

ターゲットの容疑者はなんと13歳の少年

事件を担当する刑事

取り調べに対応するため監視カメラを見せられる
警察から息子が少女に暴行を加えている監視カメラを見せら苦悩する父親
・・・
13歳の中学生ジェイミーが同じクラスメイトの女子中学生ケイティをナイフで刺して殺したというショッキングなストーリーから始まる。
本人は「殺していない」と主張する。凶器のナイフも見つかっていない。ジェイミーは一見内気そうな印象。
本当に犯人なのか、真犯人がほかにいるのか…。動機は?その後監視カメラがジミーと女子生徒が争っているシーンがあり、これが動かぬ証拠となるが…。
物語が進むと、ジェイミーは「マノスフィア」(主にオンライン上で展開される、女性蔑視的な男性中心の思想のこと:くだけた言葉で言えば、非モテ男子たちの居心地のいいサークル的なコミュニティ)の思想に傾倒していたことも明かされていく。
これに対し両親は、息子がパソコンで何に触れていたのかなどを知ることは難しかったし、自室にいれば安全だと思っていたといった後悔の言葉も聞かれた。
両親の苦悩、中学生のジェイミーの突然豹変した態度を見せる、サイコという言葉では片づけられない複雑な心理、警察や心理療法士などとの葛藤が見ごたえがある。13歳の少年役は全くの新人だそうで驚かされる。
ジェイミーと女性の心理療法士と1対1の対面会話がすさまじい展開を見せる。

この映画は、事件の背景に浮かぶSNS(ソーシャルメディア)と若者の関連性について問いかけている。社会的な孤立感や、ソーシャルメディアがいかに悪しき形で若者の生活に浸透してきているかを作品を通して告発し、親世代とデジタルネイティブ世代の若者たちの間の断絶を描いている。

・・・
【ワンカット映画の例】
「大空港2013」は三谷幸喜監督のワン・シーン、ワンカット映画。
【編集によるワンテイク風の映画】
「1917 命をかけた伝令」(2019/イギリス・アメリカ)は、見た目はワンショットだが、実際には巧妙に編集されている。
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014/アメリカ)編集で長回し風に見せている。
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