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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「まる」(荻上直子監督、2024)を見る。  3月14日は何の日?(円周率の日)

     

映画「まる」(2024)を見る。監督・脚本は「かもめ食堂」「彼らが本気で編むときは、」の荻上直子。主演は「劇場版 金田一少年の事件簿 上海魚人伝説」以来27年ぶりの映画主演となる堂本剛

まる(〇)を巡り繰り広げられる奇想天外なドラマ。共演は綾野剛吉岡里帆森崎ウィン小林聡美吉田鋼太郎など。片桐はいりがどこに出ているのかわからなかったが、骨董屋の店主だった。

蟻が何かを暗示するようにたびたび登場するが「蟻の2割は働かず、人間社会も2割の人間がサボっている」という。蟻の周りを筆で円を描くと蟻がそこからでられなくなるというのも面白い。

〇にとらわれた主人公の沢田には、世の中のすべてのベースが〇であるように映る。自転車のタイヤ、時計、犬の顔(笑)、観覧車、かぼちゃなどすべたが〇のイメージに映し出される。

 

池のほとりで先生と呼ばれる人物が沢田に「3月14日は何の日か知っているか?」と聞いてきた。(まさか、ホワイトデーという答えか?と思ったら…笑)「円周率の日」だという。

3.14」は…と先生が語りだす。食パンの真ん中を丸くちぎり穴をあけ「円には始まりも終わりもありません」と語り「3.14159265358979323846264338327950 288…」と言いながら去っていった。

 

沢田が描いた円相は1枚100万円という驚きの値が付いたのだった。また、沢田が描いた青みがかった絵の真ん中にこぶしで穴をあけた絵が、なんとフランスの美術館に収められることになった。

・・・

美大を卒業したもののアートで成功できず、人気現代美術家のアシスタントとして働く沢田(堂本剛)。独立する気力さえも失い、言われたことを淡々とこなすだけの日々を過ごしていた。

そんなある日、彼は通勤途中の雨の坂道で自転車事故に遭い、右腕にケガをしたためにクビになり職を失ってしまう。

部屋に帰ると、床には1匹の蟻がいた。その蟻に導かれるように描いた○(まる)が知らないうちにSNSで拡散され、彼は正体不明のアーティスト「さわだ」として一躍有名人になってしまう。

 

沢田のアルバイト先のコンビニに女子高生二人が現れ、嬉々として一緒の写真を撮る。社会現象を巻き起こして誰もが知る存在となる「さわだ」だったが、徐々に○にとらわれ始めていくのだが…。

 

・・・

「まる」というタイトルが不思議だと思ったが、まる(〇)には「始まりも終わりもない」などと仏教の無の世界が根底にあるとする。主人公の沢田が「祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の声 諸行無常の響きあり…」と平家物語の一説を常につぶやいている。日本人なら大抵そらんじている句が続く。

この映画で丸く描いた絵は「円相」と呼ばれ、その意味は「始まりも終わりもなく、角に引っ掛かることのない円の流れ続ける動きは、仏教が教える捕らわれのない心、執着から解放された心を表している」とされる。己を映す鏡ともいわれる。

禅宗の書画で、円形を一筆で描いたもので、悟りや真理、仏性、宇宙全体などを円形で表現したものという。

ラストシーンはあっけにとられるエンディング(笑)。

<主な登場人物>

■沢田:堂本剛

人気現代美術家のアシスタント。フードショップ岡野でアルバイトをする。何気なく描いた〇が注目され一躍時の人になり注目を集める。

■横山:綾野剛

売れない漫画家。沢田が住むアパートの隣人。大声で叫んだり、どんどんと音をたてたり気性が荒い。隣に住む沢田との間の壁に穴をあけ、足を出すなどサイコ野郎。地球の軸がずれると地殻変動により人類が滅亡すると心配する。

■矢島:吉岡里帆

現代美術家のアシスタント。一部の金持ちが貧しい者から搾取していると格差社会に疑問を持ち、仲間たちと路上で「寿司が食べたーい」と抗議デモを行う。

■モー:森崎ウィン

ミャンマー出身のコンビニ店員。客から「日本語を勉強しなよ」などと揶揄されるが、すべて前向きにとらえる。

■田中:戸塚純貴

現代美術家の新人アシスタント。沢田の後輩だが、彼に対してふてぶてしい態度を取る。

■吉村:おいでやす小田

高校時代に沢田と同級生だった男。コンビニで働く沢田を小ばかにするが、沢田が有名になるとマネージャーになりたいと身勝手。

■大家さん:濱田マリ

沢田と横山が暮らすアパートの大家。壁を壊した修理代、変なペットを飼っている罰金を請求するが、沢田が有名になると、すべてチャラにするから「〇を描いて」と催促してくる。

■先生柄本明…いつも池で魚に食パンをちぎって投げている。家では茶道に精通しているようだが謎に包まれた人物。円周率にこだわる。

■土屋:早乙女太一…アートディーラー。名刺には「つちや」とひらがなの名前と携帯の番号のみ。

■古道具屋:片桐はいり…古道具屋の店主。沢田が品物を持ち込むたびに「質屋じゃねえよ」という。沢田の3枚の〇が売れて沢田に3万円を支払う。

■秋元洋治:吉田鋼太郎…沢田がアシスタントを務める人気現代美術家。取材を受けるが、スタッフに描かせて完成品は秋元さんの名前かと問われ激怒する。沢田が人気になると、「俺が育てたようなもの」と手柄にする。

■若草萌子:小林聡美

「若草画廊」を運営し、話題の絵などの個展を開く野心的なギャラリーオーナー。

2024年製作/117分/G/日本

劇場公開日:2024年10月18日

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