「戒厳令」(仏: État de siège、英: State of Siege、1972、日本の劇場公開は1974年2月)を再見。1970年、ウルグアイの首都であるモンテビデオで起こったイタリア系アメリカ人のダン・アンソニー・ミトリオンがゲリラグループのトゥバロスによって誘拐され最終的に殺害された事件をモデルとして製作された。
「Z」「告白」と共にコスタ・ガヴラス監督の反体制“三部作”といわれている。かなり硬派な作品で「Z」ではエンタメ性もあったが「戒厳令」では娯楽性を排し、ドキュメンタリー風な作品となっている。
三部作はともにイヴ・モンタンが主演。共演は「Z」のレナート・サルバトーリなど。音楽は「Z」のミキス・テオドラキスで、「Z」に近い音楽が一部にあった。未見の場合は「Z」「告白」を見てから「戒厳令」がいいようだ。
蛇足だが、この三部作のDVDは、レア商品のようで、3作品セットで110,000円!でネットで販売されている。
ストーリー:
1970年代、軍事政権になる前の緊迫した情勢下にあったウルグアイで、国際開発局(USAID)に勤務するイタリア系アメリカ人で技師であるフィリップ・マイケル・サントーレ(イヴ・モンタン)とブラジル大使館の領事が、ゲリラであるトゥパマロスによって誘拐された。
政府によって戒厳令が布告され、街には警官があふれ、人々は恐怖に慄いた。進歩的なジャーナリストであるデュカスはサントーレについて取材を進めていくが、サントーレはアメリカ本国では警察学校の教官で、本来の交通・通信関係の仕事とは別に、左翼勢力の弾圧をウルグアイの公安当局に指導するために派遣された人物であることが明らかになる。
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南米ウルグアイで実際に起こった左翼ゲリラによる政府要人の誘拐殺人事件を題材にしたポリティカルスリラー。当時アメリカの裏にあった治安維持活動の技術指導という名の拷問の指導を告発する意味も含めた政治スキャンダルを描く。
問答無用でゲリラの仲間たちを銃殺するシーンは警察の横暴さを浮き彫りにしているが、ゲリラメンバーたちの行動を細かく描いているため、ゲリラ側の視点で事件をとらえている。
誘拐されたアメリカ人とゲリラメンバーの頭の回る者同士が互いを理解する展開は見どころ。
キャスト
- イヴ・モンタン:フィリップ・マイケル・サントーレ
- レナート・サルヴァトーリ:ロペス
- O・E・ハッセ:カルロス・デュカス
- ジャック・ヴェベール:ヒューゴ
- ジャン・リュック・ビドー:エステ
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