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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「望み」(2020)を見る。主演・堤真一、石田ゆり子。

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映画「望み」(2020)を見る。殺人事件で行方不明となった息子を巡って「加害者か、それとも被害者か」揺れ動く家族の心情とマスコミのバッシング、遠ざかる知り合い、そして夫婦の価値観の相違などを家を通して描いている。

原作は雫井脩介の長編小説。堤幸彦監督作品(「十二人の死にたい子供たち」)。

主演は堤真一。共演は石田ゆり子、清原果耶、岡田健史、市毛良枝松田翔太竜雷太など。かなり重苦しい映画だが、考えさせられる映画。

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上空から一軒のデザイナーハウスを映し出す。

一級建築士の石川一登(かずと、堤真一)とフリー校正者の妻・貴代美(きよみ、石田ゆり子)は、一登がデザインを手掛けた邸宅で、高校生の息子・規士(ただし、岡田健史)と中三の娘・雅(みやび、清原果耶)と共に幸せに暮らしていた。

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家は、吹き抜けのリビングが一番の魅力で、アイランドキッチンも自慢。

時々顧客を招いて、家の間取りを紹介したり、快適空間を見せるとともに「仲の良い家族」をアピールしている。実際に家の中はきれいに整頓されている。

一枚板の食卓テーブル上やキッチンカウンターの上、また書棚に至っては少しも動かしてはいけないような緊張感があるほど整理整頓されている。

規士は同じサッカー仲間の悪質で故意により生じた怪我でサッカー部を辞めてしまう。以来遊び仲間が増え、無断外泊が多くなっていた。

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受験を控えた雅は、志望校合格を目指し、毎日塾通いに励んでいた。冬休みのある晩、規士は家を出たきり帰らず、連絡すら途絶えてしまう。

翌日、一登と貴代美が警察に通報すべきか心配していると、同級生が殺害されたというニュースが流れる。

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警察の調べによると、規士が事件へ関与している可能性が高いという。行方不明者は三人。そのうち犯人だと見られる逃走中の少年は二人。息子は犯人なのか、それとももう一人の被害者なのか。

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規士は夢中になっていたサッカーで致命傷を負い、心を閉ざしてしまう。それからは、家族との会話を避けるようになり、ナイフを隠し持っていることが発覚。父親がナイフを取り上げ、別の場所に隠す。

後日、規士がナイフを持ち帰っていたことが分かり、果たして、少年殺人事件に規士が加害者として、あるいは被害者の一人として関わっていたのかというストーリー。

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真相は徐々に明らかになっていくが、初めから加害者と決めつけているマスコミ、記者の家族への取材攻勢は、相変わらず横暴で目に余る。一方的に垂れ流すだけで、あとから、過剰取材であったことを当事者に詫びたという話は聞いたことがない。

また、家や車にスプレイで落書きをするなどの暴挙があって、いったん犯罪者の家族(実際は被害者)というレッテルで見られると、世間の目は一挙に冷たくなる。

高校生の中には、女子高生のグループは、規士の無実を信じていて、一連の報道などに抗議しようとしていた。父と母、妹と一家の考え方など家族の思いにもズレがあり、考えさせられる。

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母親は、むしろ生きていて加害者であることを願っていた。犯罪一家とみなされ、仕事を断られたり、前途が不透明になったが、最後に被害者となった規士の姿が、周りの目を180度変えることになった。悲劇だが、やや救いはあった。

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