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ドラマ「当確師」(2020)を見る。香川照之が敏腕選挙コンサルタント。

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ドラマスペシャル「当確師」(2020年12月27日放送、テレビ朝日)を見る。ちょうど1年前に放送されたドラマだが、Netflixで配信が始まった。

香川照之の「半沢直樹」「七つの会議」並みの独壇場が大きな見所だが、檀れいのラストのカッコよさにも痺れる(笑)。

当確師という正式な職業があるわけではなく、選挙の当選確実を助ける選挙コンサルタントのこと。

当確師が雇われるのは、選挙で現職や圧倒する有力な候補に対抗する、正面突破ではまるで歯が立ちそうにない対立候補、いわば”泡沫候補”陣営だ。

当確師は、コンサル料として高額な報酬を得るが、告示(公示)後に報酬を受けると公職選挙法に触れるので、告示後は「ボランテイア」でアドバイスすることになるという。相手候補の票を奪い取るためには手段を選ばないやり口で、有権者の心をガッチリ押さえ込む作戦だ。

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聖(ひじり)達磨(香川照之)は当選確率99%を誇り、“当確師”の異名を持つ敏腕選挙コンサルタント。そんな聖に旧知の仲である衆議院議員・大國克人(木場勝己)が全国から注目を集める静岡県政令指定都市・高天(たかあま)市長選の大本命である現職市長・鏑木(かぶらぎ)次郎(高橋克実)の3選を阻止してほしいと依頼を持ち込んでくる。

元検事の鏑木(かぶらぎ)は7年前に当時の市長の不正を暴いて高天市長選で当選し、革新的な政策を次々実行して高天市を急成長させた“日本一有名な市長”として全国に知れ渡っている。

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実は、聖はその7年前の鏑木の市長選で大國からの依頼で選挙アドバイザーを引き受けたが、アドバイザーの自分の指南に従わず、対立候補を中傷する怪文章をばらまこうとする鏑木の姑息なやり口にあきれて途中で鏑木のアドバイザーを降りた過去があった。

本来、鏑木派であったはずの大國がなぜか3名の対立候補リストと札束を持参し「鏑木を市長の座から引きずり落してほしい」と依頼をかけてきたことに聖は不審に思い探りを入れるが、大國は何も答えようとしない。

不審に思いつつも聖は大國の依頼を引き受け、渡された対立候補のリストから高天市で保育園を経営する黒松幸子(檀れい)が市長候補としてふさわしいと絞り込む。

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黒松幸子の身辺調査を行うと鏑木の妻・瑞穂(奥貫薫)と学生時代からの親友であったため、瑞穂との関係から考えて、幸子を市長選に擁立できる可能性は限りなくゼロに近いと思われたのだが…。

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約90分の中にコンパクトにストーリーをまとめているので見やすい。現職市長・鏑木(かぶらぎ)が市長に初当選できたのは、グループ企業を有する財閥の娘で、現在トップに君臨する妻の瑞穂の力によるものだった。

しかし2期目に当選できたのは自分の力だと過信するようになった鏑木は、妻の会社を排除する動きに出て、会社を潰してリゾート地を建設しようとしたのだった。

しかし妻の工場のある土地から古跡が発掘され、世界遺産に登録されるかもしれないと夫のやり方には反対で、影で動いていて、学生時代からの友人の黒松幸子に対抗馬として出るように暗躍していた。夫の対抗馬を応援するというので、既に離婚届も用意していた。

当確師は、劣勢候補を当選に押し上げると、息つく暇もなく、次の仕事に向かうのだった。保育園を経営する女性がなぜ市長の対抗馬になったのか…などのいきさつがおもしろかった(実は、ある事情でアメリカの大学で政治学を学んでいた!)。

当確師を演じる香川照之は、ピザが好物で、タバスコの小瓶を使い切るほどタバスコをかけるし、スパゲッティにもタバスコをたっぷりかける。助手の男は辛すぎないですかと横で目を白黒させて見守るが、「辛くない」と言い張る(このセリフは、選挙の行く末が、辛くない、と言った言葉に掛けている)。ピザにタバスコをたっぷりとかけたくなった(笑)。

主要人物:

聖達磨(ひじりたつま):香川照之

選挙参謀を務めた候補者の当選率が99%を誇ることから“当確師”の異名を持つ凄腕選挙コンサルタント公職選挙法を熟知。公選法に抵触しないギリギリのところで相手陣営の選挙スタッフを買収したように見せかけ、疑心暗鬼で相手陣営を内部崩壊させるなど、依頼者を当選させるためなら手段を選ばない男。高天市長選でアドバイザーを務めることになった黒松幸子が元副総裁・橋爪正義の隠し子である出自を隠し経歴詐称の罪に問われるピンチを、市長選公示日の前に敢えてマスコミにリークし、幸子自身が母と自分を捨てた父との確執からいままで出自を隠していたこと、アメリカでの留学時に父との軋轢、和解を経て市長選への立候補を決意した背景を語ることを見越して釈明会見の場をセッティングすることで、有権者に幸子の出馬の決意をアピールする場に転換し、膿を出し切ることに成功する。

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高天市市長選の関係者

■黒松幸子:檀れい(学生時代:杉本真子)

高天市内で保育園「霧笛こども園」を経営する女性。鏑木の妻・瑞穂の学生時代からの親友。保育園の経営以外にもホームレスへの炊き出しなどの地域活動にも尽力。清廉潔白という言葉がぴったりな人物。かつてコロンビア大学に留学し政治学を専攻して政治に関心があり、鏑木市政に思うところがある様子が伺えたことから聖から市長選への擁立を打診されるがその要請を拒む。しかし裏では瑞穂(みずほ)からの市長選への擁立を快諾していた。

■鏑木次郎(かぶらぎ じろう):高橋克実

現・高天市市長。元検事。7年前に当時の市長の不正を暴き高天市長選で当選。革新的な政策を次々実行し、高天市を日本屈指の自治体に成長させたことから「日本一有名な市長」と称賛されており、3期目を目指している。

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■鏑木瑞穂(かぶらぎ みずほ)奥貫薫

次郎の妻。高天市随一の財閥・小早川グループの令嬢で現総帥。幸子とは学生時代からの親友。市長に当選し傲慢になった夫の次郎を落選させ、昔のような正義感のある真っ直ぐな人物に戻って欲しいと裏で大國と繋がり、市長選に立候補させた親友の幸子の選挙アドバイザーに聖が就くよう手を回していた張本人。

■和田:矢島健一

現・高天市副市長。鏑木の側近。寄らば大樹の陰、長い物には巻かれろを地で行く人物で、権力者に媚びへつらう。

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■大國克人(おおくに かつひと):木場勝己

高天市出身の衆議院議員。7年前の市長選では鏑木のサポートを聖に依頼した鏑木派であったはずが、何故か3名の対立候補リストと札束を持参し、鏑木の市長選3選阻止を聖に依頼する。

 

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