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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

【SKIP映画祭】国際コンペ作品⑤:「ルッツ」(2021、マルタ)を見る。

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ルッツ」(原題:LUZZU、2021、マルタ)を見る。SKIPシティ国際Dシネマ」国際コンペティション・ノミネート作品。ルッツは、マルタの伝統的な木造漁船。現代の近代的な漁船から見ると古いタイプ。

先祖から受け継がれてきた漁業を引き継いできた男・ジェスマークは、仕事に没頭して家庭をおろそかにしがちだった。そんな時、妻のきつ〜い一言で新たな人生に挑戦する決意をする。退屈極まりない映画かと思って見ていたら、最後の方にはほのぼのとしたエンディングがあって一見の価値があった。

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漁師のジェスマーク(ジェスマーク・シクルーナ)はある日、曽祖父、祖父、父親と引き継がれてきた漁船ルッツが水漏れをしていることに気づき修理をする。折しも、家業としてきた漁業は、生計を立てるには厳しさが増してきていた。妻と生まれたばかりの成長障害の息子を養うため、彼は決断を迫られていく。

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物語が特になく単調なので、ある程度の忍耐が必要な映画。漁に出かけた男の姿を淡々と描く描写が続くので、面白みもなく”睡魔との戦い”を余儀なくされる。途中で投げ出したくなるが、我慢して見続けると、ラストの20分ほどは、映画のメッセージのようなものがじわじわと伝わってくる。

主人公のジェスマークは、短気な性格で、仕事といえば、獲った魚を市場の仲介人を介して売るだけの日銭稼ぎの毎日。そんなジェスマークに、しっかりものの妻は、お灸を吸えるような言葉を投げる。

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「毎日ぶらぶらして、夜は酒ばかり飲んで、時々魚を売るだけ。家賃の支払いに困っていることも、請求書が山のようにあることも知らない。」と。

あるとき、ジェスマークは漁業からの転職を斡旋する組織があったので訪問する。

そこでは、船の種類、大きさ、製造年月などを聞かれ、一定金額で船が買い上げられ廃船とされるのだ。金額を聞くと、7,000ユーロ(約80万円)だった。それを元手に,中古のバンを買い、いままで、魚の市場で魚をほそぼそと売る仕事から、ダンボールで冷凍の魚を輸送する仕事をすることになった。

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いままで、汲々として「いくらになる?」と報酬ばかりが頭にあったが、穏やかな表情で明るくなっていた。

市場で、魚を売っていた時に仕事をしていた仲間に配送の手伝いをしてもらい、手間代を払う立場になっていた。

その元同僚にお金を渡すと「(札束が)厚いよ(=こんなにもらっていいのかということ)」という。ジェスマークは「刺激は大事だ(That’s the spice)」と返すのだった。「憎たらしい男だ」(仲間の男)。

赤ん坊の洗礼のシーンがあり、それが終わって、シスターからか「赤ん坊は周りの人の言葉で、言葉を覚えていく。物語を聞かせることが大事だ」という。

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その言葉が頭に残っていたジェスマークは、乳母車の中の赤ん坊に語り始める。「昔々、ある村に船が1雙ありました。その船ではたくさんお魚が取れました。・・・」

■監督:アレックス・カミレーリ 

■出演:ジェスマーク・シクルーナ、ミケーラ・ファルジア、デイヴィッド・シクルーナ 

■製作年/製作国:2021年 / マルタ / 94分