「スーサイド・スクワッド」(2016)を見る。監督は、ブラット・ピット主演の「フューリー」で高い評価を受けた期待のデヴィッド・エアー。「名作に進路を取れ」のサブタイトルのブログが、迷作に向かっているという声が聞こえてきそう(笑)。
バットマンをはじめとするヒーローたちによって投獄され、死刑や終身刑となった悪党たちが、減刑と引き換えに「スーサイド・スクワッド(自殺部隊)」の結成を強制され、危険なミッションに挑む。一見ゾンビ映画のようだが、面白く飽きさせない。
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登場するワルではマーゴット・ロビーが演じるハーレイ・クインのキャラが強烈。ポップでキュートなルックスだが、常識も法律もお構いなしに我が道を行くアブナすぎる極悪キャラ。マーゴット・ロビーは「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013)のときはあまり気付かなかったが「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019)でシャロン・テートを演じるなど若手実力派女優。
現在「バビロン」(2022)という映画の撮影中で、1920年代の伝説の名女優クララ・ボウを演じるというので興味津々。監督が「ラ・ラ・ランド」のディミアン・チャゼルで主演はブラッド・ピット。
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脱獄困難と言われるベルレーブ刑務所には、極悪の犯罪者が多数収監されている。政府高官ウォーラー(ヴィオラ・ディビス)は、彼ら囚人を特殊部隊「タスクフォークX」として、死ぬかもしれない危険な任務に就かせようと画策していた。
スーパーマンがいなくなり、世界には再び悪がはびこっている。悪人の中に、スーパーマンのようなメタヒューマン(超人間)がいたら、普通の軍隊では歯が立たない。そこで戦闘能力が高く、死をも怖れない部隊が必要だと考えたのだ。
減刑を餌に集められたのは、射撃の名手デッド・ショット(ウィル・スミス)。可愛い外見に似合わず、冷酷非情の殺人鬼ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)。ブーメランを巧みに操る強盗のキャプテン・ブーメラン(ジェイ・コートニー)。ワニのような皮膚を持つ怪人のキラー・クロック。縄使いの暗殺者スリップノットなどだった。
そしてもう一人、逮捕ではなく自首してきた犯罪者、炎を自在に繰るエル・ディアプロ(ジェイ・フェルナンデス)が仲間に加えられる。
彼らを束ねることになったのは、陸軍特殊部隊のフラッグ大佐(ジョエル・ギナマン)だ。大佐は犯罪者の部隊よりも軍人の部隊のほうが役に立つと考えているが、ウォーラーは聞き入れない。犯罪者を支配するために首に特殊なナノ爆弾を埋め込み、逃亡したり反抗したりしたら首が吹き飛ぶと脅すことによって、支配出来ると思っていたのだ。犯罪者軍団は、悪の一味を倒すことができるのか。
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「スーサイド・スクワッド」は、アメリカの出版社DCコミックスが版権を持っている一連の作品群を映像化した「DCエクステンデッド・ユニバース」という世界観で繰り広げられる連作のひとつで、「マン・オブ・スティール」(2013)「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」(2016)に続く第3作目に当たる。前作でバットマンが死んでしまうが、その後を描いたのが「スーサイド・スクワッド」となる。
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シリーズの最新作「ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結」(2021)が8月13日から公開されているので、オリジナルを見てみた。暗い闇の世界を描いているが、強烈なド派手なキャラクターとアクションで、見始めると引き込まれるところがある。
ハーレイ・クイーンのセリフ「馬鹿なコウモリ。デートの邪魔よ」(笑)。コウモリ(バットマン)でなく、悪の権化ジョーカーに想いを寄せるのだ。
日本人の女性暗殺者・山城たつ/カタナ(コードネーム、福原かれん)も登場する。
主な登場人物:
■デッド・ショット(ウィル・スミス)
絶対に外さない腕を持つ狙撃の名手。冷酷な殺し屋だが、愛娘には弱い。
■ハーレイ・クイン / ハーリーン・クインゼル博士(マーゴット・ロビー)
精神科医として悪役ジョーカーのカウンセリングをしていたが、彼に恋してしまい人格崩壊。それ以後は、可愛いが最強最悪の殺人鬼となった。
■エル・ディアブロ(ジェイ・フェルナンデス)
炎を自由自在に駆使する。妻と子供を殺してしまった罪悪感から厭世的になっている。
■アマンダ・ウォーラー(ヴィオラ・ディビス)
野心を持つ冷酷な政府高官。部隊のメンバーを指名し、巧妙に利用しようとしている。
■リック・フラッグ大佐(ジョエル・ギナマン)
陸軍特殊部隊の大佐で優秀な軍人。部隊の指揮を任されている。ジューン・ムーン博士の護衛をしているうちに、恋仲になってしまったという弱みがある。
■エンチャントレス / ジューン・ムーン博士(カーラ・デルヴィーニュ)
古代の遺跡に眠っていた魔女エンチャントレスが、ムーン博士に憑依してしまう。魔女は弟を蘇らせて味方とし、世界を支配しようとしていた。
■キャプテン・ブーメラン(ジェイ・コートニー)
ヒーローのザ・フラッシュのヴィランとして登場。名前のとおりブーメランを武器に戦う。
■ジョーカー(ジャレッド・レト)
バットマンの宿敵であるサイコパスの犯罪者。ハーレイを救出するために暗躍する。
■山城たつ/カタナ(福原かれん)
刀を使う日本人の女性暗殺者。マスク仮面をつけている。